家族会議
会議はまだ続いている。
「それじゃ、ラウルとシルフィが両思いになったことで、お祝いしないとね。」
「わしはまだ認めておらんぞ!」
奥様がすっかりお祝いムードで話す。
それを旦那様は否定する。
「あらそう? あなたが認めないのなら、私はシルフィを連れて家を出て行っても良いのよ? そうね、ラウルに私も養ってもらおうかしら?」
「な!? な、ななな、何を言い出すのだ?」
「あら、当然でしょう? 娘の幸せを第一に考えるならば、本当に好きな相手と一緒にさせてあげるべきだわ。ラウルは娘の相手としては十分合格だと私は思ってるわよ? あなただってそうでしょう? あなたもラウルの将来性を買って、奴隷から解放したのでしょう?」
「いや、娘の幸せを思うならば、辺境伯や侯爵家の三男などを婿として迎えるのが一番良かろう?」
「・・・、あなた、それは家のことしか考えていないわよ。。娘の気持ちはどうするのよ。」
「親の決めた相手に嫁ぐのは、貴族では当たり前だろう?」
「そうね・・・、そうやって私も無理矢理に嫁にされたわけだし。。それで私は辛い思いをしたわね。」
「・・・。」
(逃げたい、凄く逃げたい!)
「私は良いのよ。でもね、娘には私と同じ思いをしてほしくないのよ! 娘には本当に好きな相手と一緒になってほしいのよ!」
「そんな・・・、お前はワシと一緒になって幸せではないというのか・・・。」
「今は幸せよ。生活するのにも何不自由なく過ごせているしね。お金も沢山ある。ただ、当時は私にも好きな人はいたわ。無理矢理引き離された時は、この世の終わりだと感じましたわ。」
「・・・。」
旦那様がガックリと頭を垂れている。。余程、奥様の言葉がショックだったのだろう。
そして、お嬢様もお母様の話を聞いて、呆然としていた。
「ラウル。」
「はい、旦那様。」
「私の娘との結婚を認めよう。」
「何故そうなるのでしょう?」
「は?」
「いえ、お嬢様の護衛の話だったはずですが、何故結婚の話になったのでしょう?」
「お前、わしの娘と結婚したくないというのか!?」
(賛成なのか、反対なのか・・・、どっちなんだよ。)
「お嬢様は確かに美しいですし、見惚れてしまったこともあります。しかし、まだ自分たちは10歳ですよ? これからまだお嬢様にとって素敵な方が現れるかもしれません。せめて、成人まで待ってから結婚相手は決めたら如何でしょうか?」
「貴族の子供は結婚相手を決めるのも早いのだ。早い場合は、生まれたときにはもう許嫁が決まることもあるくらいだぞ。」
(結局、旦那様も結婚を勧めてきているのだが。さっきまで反対していたのに・・・。)
すると、奥様が口を開いた。
「ラウルが言うことも一理あるわね。それではこういうのはどうかしら? 今はとりあえず婚約して、成人してから結婚するというのは?」
「はい、お嬢様がよろしければ、自分はかまいません。」
「わっ、私も、それでいいですわ!」
こうして、ラウルとお嬢様の婚約が決まった。ラウル10歳の時であった。
「それで、肝心のお嬢様の護衛はどういたしましょう?」
「それだな・・・、結局何も決まっておらんではないか。。」
「恐れながら申し上げます。自分は冒険者としてレベルを上げたいと思っています。」
それを聞いたお嬢様が慌てて聞いてくる。
「それは、私と一緒に居たくないという事?」
「いえ、お嬢様を守れるほど強くなりたいのです。」
そう言うと、お嬢様は頬を赤く染めてしまう。そして、決心したようにお嬢様は言い切った。
「わかりました、それでは私も冒険者になります!」
「え・・・それはどうかと。」
「なにー? そんな危険なこと許せる訳ないじゃろうが!」
「ふふふ。」
俺と旦那様は反対意見を出した。
しかし、奥様は不気味に小さく笑っている。
「そうね、私の娘はラウルと一緒に居たいだけなのだから。ラウルが冒険者を止めないなら一緒について行くしかないわよね。」
「しかし、学校はどうするのじゃ!」
「ラウルと同じように、テストだけ受けさせて卒業させればよろしいのでは?」
「ラウルはもう授業を受ける必要はないと、聞いているから許可を出したのだぞ? シルフィは授業を受けなくてもテストだけで卒業できるのか?」
「う・・・。だっ、大丈夫ですわ! ラウルに教えてもらうから。。」
お嬢様は自信があまりないようです。
「ラウルは娘を守ることができるのか?」
「あ、はい。いざとなれば瞬間移動で屋敷に飛べば逃げられるでしょう。」
「・・・。そ、そうか。うーむ。」
そう言うと、旦那様は考え込んでしまった。
「わかった。娘を連れて行くことを許可する。ただし、娘の成績があまりにも酷く卒業できないようならば、連れ戻すからな?」
「畏まりました。」
「あと、成人までは同じ部屋で寝ることは禁ずる。」
「当たり前です。。」
「え、なんでよ。。」
(お嬢様・・・、それはまずい返答ですよ。)
「そ・・・そんな事あたりまえだろうが! 成人前の男女が同じ部屋で寝るなど駄目だ。」
「えー、婚約しているのに駄目なの?」
「駄目だ。子供でもできたらどうするのだ! 結婚もしていないのに、子供を産んだと知られると、他の貴族から揚げ足を取られる。絶好の的だぞ。」
「へ? 子供はコウノトリさんが運んできてくれるのでしょう?」
「は?」
「へ?」
「ぷっ!」
ラウルと旦那様は呆然とし、奥様だけは吹き出して笑っている。。
この世代の性教育はどうなっているのか。
「まったく、なんてかわいい娘なのかしら・・・。子供の作り方は後でメイド長から聞きなさい。ぷっ・・・・ぷぷぷ。」
「お母様?」
お嬢様はひとりだけ不思議そうな顔をして、周りをきょろきょろ見ている。
数時間後、ひとり顔をリンゴのように真っ赤にさせて悶えるお嬢様がいたとか、いなかったとか。




