ヤンキーアネゴと真顔少女と変な女【誘拐編】
キッ!
「ちょっくら行ってくる。マキは車で待機しててくれ。すぐ聞いてくる」
「わ、わかりやした!」
俺たちは、今朝、会ったばかりの白ひげにまた会いに来た。なんらかの情報が得られればそれでいいんだが…。
「おーい!白ひげー!いるかー!」
「おい!うるせーぞ!近所迷惑を考えろー!!」
「俺だよ!俺!」
「なんだ、またお前さんかい。朝に来て、昼にくるなんてなんの嫌がらせじゃい?」
「今朝、話した奴が誘拐されやがった。見つけるのにちょっと力を貸してほしい!」
「ほう?そうか、そうか、それは災難じゃったな」
「な!事情は話したろ!なんでそんなそっけないんだよ!」
「わしは忙しい。アネゴ。わしゃー車についてしかしらん。それに、そんなどこの馬の骨かわからん奴に手を貸すなんて義理もないわけじゃ。わかるか?それにお前さんはその子の事嫌っていたじゃないか?何を焦る理由があるのじゃ?」
「あー!そういう話は後でいくらでも聞くから!とりあえず、早くこの車について教えてくれ!たのむ!」
「…ふむ、いくらだす?それ次第じゃ」
「チッ!金とるのかよ!ケチジジーが!」
「なんとでも言えばいい。情報はな、金より貴重なんじゃよ。簡単にほいっ!と渡せるものじゃないんじゃ?」
「チッ!…じゃあ一万でどうだ?」
「ふむ、そうじゃのう。初回ってことで、それで今回は手を打とうとするかのう。焦っているようじゃしな。ほれ、写真を見せてみ」
「おし!この写真なんだが…」
「あーふむ、なるほどな。この車は先週ワシが貸した車じゃなー」
「お?知っているのか?」
「ああ、住所もわかる」
「おお!まじか!で?どこなんだ?」
一方、真顔少女はと言うと…
「やーん!可愛い!髪が銀だからなに着せてもにあう〜♡写真撮るから動かないでね♡」
「…………………………」
真顔少女は着せ替え人形にされていた。部屋はどこかの知らないアパートの一室。周りには子供用の服が色々と用意されていた。マイはどうしていいのかわからなかった。
「今度はこれ着てちょうだい♡」
「…うん」
マイはせっせとママらしき人の言うことを聞いて、どんどん服を着替えては写真を撮った。それが夕暮れ時までつづいた。すると着替えているときにチャイムが鳴った。
ピンポーン…
「宅配便でーす!開けろ…開けてくださーい!」
「ぁ」マイはどこか聞いたことある声に安堵した。
「あ!頼んでた奴が届いたのね!あなたちょっと待っててね!」
ピンポーン…
「はいはい!今開けまーす!」
ガチャ…
ガッ!グワ!っと ドアを一気に開いて突入した。
「みーつーけーたーぞ!この人さらいのキチガイ野郎!!」
「あ!えっと…その…」
「マイ!生きてるっすか!?」
「あ、マキ?アネゴ?」
マイはゴスロリを着せられていて、呆然としていた。マイを誘拐した変な女も呆然としていた。するとアネゴは変な女の胸ぐらを掴んで睨んで言った。
「てめぇ?俺からものを盗むなんていい度胸してんじゃねーか??覚悟できてんだろうな???ああん?」
「ひいいい!ごめんなさい!ごめんなさい!」
「アネゴ、マイはものじゃないっすよ…。マイは大丈夫っすか?」
「うん」
「よし、どうケジメつけてもらおうか?このキチガイ女。ボコるか?」
変な女は恐怖で震えて泣いていた。マイはそれを見て、アネゴに言った。
「待って!」
「ん?何のつもりだ?マイ?こいつを許すとでも言いたそうだが?」
「ごはん…食べさせてもらった」
「は?飯食わしてもらったから許せってーのか?」
「うん。この人、凄く寂しい人。」
「あのなマイ。こいつは犯罪を犯したんだぜ?許せるわけねーだろ?」
「私も悪いことした…。アネゴは許してくれた…。だから…」
「チッ、本当イラつかせるのが得意のようだな!マイ!俺は別にお前を許した覚えはないぞ!!こいつも許すつもりもない!!」
「アネゴ!落ち着いてください。何か事情がありそうすっから、まずはその人をおろしてくださいっす。」
「チッ」アネゴは渋々、変な女をおろした。
全くなんだってんだ。イライラする。ここまでたどり着くのに何十軒回ったと思ってんだ。助けに来たと思えば《許せ》なんて、全くわけわからねーよ。
「まずは落ち着いて、話し合いましょっす。えっと…貴方の名前を聞いていいっすか?」
「私は『ミナ』って言います」
「ミナさん、なんで誘拐なんてしたんすか?誰が見ても犯罪なのは明白っすよね?」
「可愛いかったから誘拐しました。」
「それはもうわかってるっす。詳しい事情があるとマイも言ってますし、どういうことなのか教えて欲しいんっすよ」
「1週間前…、事故で…、娘を亡くしました」
「娘さんがいたんっすか…。だから服がいっぱいあるんすね…」
「はい。ちょうどマイちゃんぐらいの歳でした。後部座席にチャイルドシートに座れせていました。」
ミナは徐々に話し始めた。アネゴもタバコ吸いながら聞き耳を立てて聞いていた。
「それがいけなかったのかもわかりません。気づいたら、車は半分に分裂していて、後部座席は、跡形もなく粉々になっていました。私は幸いなことに無事でした。娘は道路に転がっていて、近づいて呼んでも返事がなくて…何が起こったのかわからず。そこから記憶がありません。マイちゃんと会うまでの記憶が曖昧で、自分が何をしてきたのかもわかりませんでした。多分、マイちゃんのことを、私の娘に見えたのかもしれません。本当にごめんなさい…」
ミナは泣きながら頭を下げ、謝罪した。
「……そういう事情があったんすか…」
「くだらねぇ。俺は帰るぞ。お前の諸事情なんて知ったことか」
「アネゴ!」
「マイ!たまにはこいつのところに会いに来てやれ。気がすむまで遊ばせてやれ」
「うん」
「アネゴ…」
「ありがとうございます…」
「ふん、さぁ帰るぞお前ら!腹減ったしな」
こうしてアネゴたちの長い1日が終わった。今度からはこのミナとも絡んでいくだろう。それにしても…白ひげの野郎…10数軒もハシゴさせやがって…覚えてろよ…。




