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『真っ青な嘘』と『真っ赤な嘘』  作者: ベータ版
2章 1期生の参加者集め [その2] 怪物の息子

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20話 真実の飴



 道明寺は腕を組み、思考する姿勢をとったところで、椅子の後ろで黙っていた4人のうちの一人。ーーこの状況に苛立った青年がとうとう噛み付いた。


 「おいおい、冗談じゃないぜ。勝手に俺らを拉致ってきたと思えば、内輪うちわでゴニョゴニョやりやがって。一体いつになったら俺たちは自由になれるんだ?」


 銃口を向ける3人の黒服は4人にターゲットを絞っている。

 彼らは道明寺の直々の部下だろう。 


 そりゃ、物騒な銃口を常に向けられれば、文句の1つも言いたくなるだろう。


 この最悪な状態の脱却を目指して。


 青年はもし銃で抑えていなければ、殴りかかって来そうな少し野蛮な雰囲気を持ち合わせている。背は180cm以上はあるだろう。その威圧感は取り調べの有栖川にも負けない迫力があった。 


 大きく有栖川と異なる点は軽やかな体型だ。あの腕の筋肉や肩まわりはスポーツで鍛えていることが予想されるが、いづれにしても銃を向けている限りは何もこちらに手出しはできまい。


 一呼吸置いて、言葉とは裏腹に全く悪びれる素振りを見せずに道明寺が口を開いた。


 「すまん、すまん。こいつがさっさとゲロッちまえば、こんなことにはならなかったんだがな」


 椅子を軽く蹴り飛ばし、手足を拘束され、口に布まで噛ませられている大蔵おおくら 嵐志あらしの眼球を道明寺は顔をくっつけるほどに迫って睨み飛ばす。


 文字通り、手も足も出ない嵐志は精一杯の抵抗として目をつぶり、そっぽを向いて道明寺の怒りを買おうとしたみたいだが、意外にも道明寺はケロッとしていた。


 「ほう。その態度じゃ、お友達がどうなっても知らんぞ、嵐志くん」


 「道明寺さん。いいんですか? この男はあの方の息子と聞いています。そんなぞんざいな扱いをして、もし見つかりでもしたら....」


 「いいんだよ、どうせコイツはゲームの参加者になるんだ。もし死んだら、代わりを補充すればいいのさ。言い訳ならいくらでも作れるからなぁ」


 「では、えっと....藤堂 大地くん、だったかな。君が機嫌を悪くするもの無理はない。早くこんな所から出たいんだろう? わかっているさ。私も好きでこんなことをしているわけでない」


 「なら、さっさと用を済ませてくれ」


 「ふむ。 いいだろう。 私が聞きたいことを答えてくれれば、解放しようじゃないか」


 「言っておくが、質問に答えて、答え終わったら即殺すみたいな卑怯な手を使ったらただじゃおかねえからな」


 「私もそんなに鬼ではない。しっかり答えてくれれば、無事に解放すると約束しよう」


 「なら、交渉成立ってわけだ。んで、一体俺たちに何を聞きたい?」


 「簡単な質問さ。この大蔵() 嵐志()から妙な飴をもらったことは無いか? 私が知りたいのはそれだけだ」


 「飴だぁ? そんなのもらったことねぇよ。てか、そんなことのためだけに朝っぱらから拉致ってくるとか頭おかしいのか」


 「心外だな。これは極めて重要なことなんだ。で、月島、反応は?」


 「なしです。この青年は嘘をついていません」


 「ほう、ならば藤堂君。君は返してもいいだろう」


 「では、 鏡石 桜さん。君はどうかね? Yes か No か」


 「........」


 「ふむ。 では、答えられない、ってことで良いかな」


 「.........」


 「おい、サクラ。 嘘でもいいから、さっさと答えちまえ! 」


 「ダメなの......。 あのさっき入って来た女の人がいる限り、もう何を言っても.....」


 「なんでだよ! なんで、答えられねえんだよ。嵐志からもらった飴に一体何があるってんだ.....」


 「ってことで。鏡石 桜さん、君は確保だ。連れて行け」


 「はい、了解しました」


 部下の一人が銃を向けながら、桜の細い二の腕をがっしりと掴んで工場の外へと引きずるように連れて行った。


 「やだっ!? 離して、離してってば」


  椅子をガタガタ揺らし、大蔵が懸命に「やめろ」と声も出せない状態で必死に訴えかけるものの、その意思は当然聞き入れられるわけもなく、道明寺の指示通りに鏡石は運び出された。


 「頼む。 桜を離してやってくれ。なんでもやるから.....」


 藤堂 大地は頭を下げて、懇願した。彼にとって、頭を下げるとはどれほど屈辱なのだろうか。それは彼にしかわからない。が、どう見ても彼がやすやすと頭をさげるような性格とは思いづらい。


 ただ1つ言えるのは「なんでもやるから」と言わせるほどに、この場の主導権は道明寺が握っていた。


 「ダメダメ。 その要求は飲めないよ。 言ったろ? 私の質問に答えろ、と。彼女は質問に答えられなかった。だから、連れて行った。ただそれだけさ。このまま、この質問ゲームは続けさせてもらう。異論は認めない」


 「おい、道明寺! お前、言ってることとやってることがちげーじゃねぇか。質問に答えられなかったから、連れて言っただと!? ふざけるなよ。桜が正直に、はいって答えても連れ去る予定だっただろうが」


 「ふむ。良い着眼点だ」


 道明寺は藤堂を見直したばかりに、軽く手を叩き素直に評価した。


 「そうだ、君の言う通りだ。我々はその質問にNoと答えた者だけを解放する。Yesと答えた者あるいは答えれなかった者を見逃すわけには行かない」


 その道明寺の開き直った態度は藤堂をキレさせるには充分だった。藤堂は軽く握っていた拳を固く固めた。


 道明寺は冷静に返答をしたつもりだっただろうが、煽りとも取れるその発言は彼に火をつけてしまったようで道明寺へと走り込み、思いっきり拳を振るう。


 ーーーーバンッ。


 その刹那、工場の中を銃声が響かせた。


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