第0話 小麦色の斜面
先々代の勇者アーサー・オーウェルは、病に倒れて引退し、光の力を息子エリックに受け渡した。その後、病状が悪化し逝去した。
先代の勇者エリックは、魔物討伐から帰還したその夜、戦いで受けた傷から毒が全身へと巡り、ついには帰らぬ人となった。
父と兄を短い間に失い、まだ少女の面影を残す若きシャロンが、勇者としてオーウェル家の使命と光の力を継承した。
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「……私は、これからどうすればいいの。……魔王は、どこにいるの。」
シャロンは、兄エリックの葬儀の日、誰に問いかけるわけもなく呟いた。
家族を失った喪失感と、勇者という役目を背負った重圧が心を占めていた。
不安、焦り、孤独。様々な感情を抱えたまま、それでも月日は過ぎていった。
自分と同じ悲しみを誰かに味わわせたくない。その思いから、誰かと共に戦うことさえ躊躇うようになっていた。
そんな、ある日。
夢を見た。
真っ白な何も無い空間に立っている。
目の前には眩い光。
光が語りかけてきた。
「ここから、北へ徒歩で一日半。小麦畑に建つ家に魔王がいる。」
この世界には、複数の魔王が存在している。
その中で、光が示したのは——北の小麦畑に暮らす、一人の魔王だった。
翌朝、シャロンは白銀の鎧を身に纏い、剣を携え北へ向かった。
ここまで『畑の魔王と光の勇者』を読んでいただき、本当にありがとうございました。
これにて、本作は完結となります。
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