恋の色 捌
怖いって言わないでね
君に会えたらそれで良いんだ
バイバイしていい?
ゆっくりと二人を探す。ふわふわと浮く体はだんだん私の思う通りに動いてくれるようになった。悠里くんと優奈を探してお墓を回ると三つ目の墓地で見つけた。
『見つけた…』
「悠里。」
「ん?」
「また、これるよね。」
「…もちろん、だろ?お前がもしこれなくても一人でも…」
「ふふっ、これない訳ないじゃん?大切な…私の親友なんだから…」
『…なんで、二人とも私にそんなに優しいんだろ。私、二人に全然なにもあげられてないのに…』
二人の哀しげな笑顔に心がギュッと痛くなる。私が悪いって、そんな事はわかってる!…わかってるけど…でも、だからって、こんな結果になるなんて思いもしなかった。
『ごめんなさい…』
「これからどうする?」
『聞こえないのはわかってるけど…』
「なんか食いに行くか?」
『それでも謝りたいから』
「お墓からの食事?…悠里、大丈夫?」
『ごめん。ごめんなさい、本当に』
「…ああ、なんだろうな、俺。」
「…なにが?」
「俺、あいつがいなくなって、ちょっとおかしくなったのかも。」
「…そんなこと、ないじゃん」
「だってあいつ、きっと泣いてる。俺らを悲しませたって謝ってる…そんな気、するんだ」
「そんな!?…ウソ、理夢がそんな事…」
なんで悠里くんは分かるんだろう。私でも分かんない奥底の事まで超能力みたいに分かってるのかな?そんなことはある訳ないけど…
「でも…それだったら、私、理夢になにも伝えられなかった…」
「俺もだ…」
「理夢といろんなことしたかったし…それこそこんなことを起こした鈴を、一瞬、殺してやりたいって…そう思った…でも」
「でも、理夢はそんなことじゃ報われないって、思ったんだろ?」
「!…うん。理夢、人が死んで喜ぶような子じゃない。それが、自分を殺した人だとしても…」
「俺も思った。恨んじまうんだろうな、こういう時って…それを理解していても、どうして理夢が死んだのに、周りの人間はのうのうと生きてんだよって…イラついて、そんな自分にもっとイラついた。」
「でも、誰をどうしたって死んだ人は帰ってこない…」
ゆっくり、嚙みしめるみたいにしゃべる二人をぼやけた視界でじっと見つめる。頬に熱い物が流れていて、でも、拭いたくないくらい、二人の話は私の心にじぃんと染み渡るものだった。
『二人とも、ありがとう』
『私を愛してくれてありがとう』
『悲しんでくれてありがとう』
『泣いてくれて…ありがとう』
『沢山のありがとうをあげたいんだ』
『私、悠里くんと優奈が大好き!…今まで、ありがとうっ!!』
口に出た言葉は誰にも聞かれないだろう。私の心に積もるだろう。でも、それでも。誰にも聞こえないとしても私は。私は…それを言いたかった。伝えたかった。感謝をしたかった。
「ねぇ、悠里。今、理夢の声が…?」
自分の体がお湯に浸かったみたいにほわっとあったかくなって、溶けていくみたい。
「あぁ、理夢の声だ…」
薄み、見えなくなる世界で、私に手を振る二人が見えた。あぁ、きっと夢だ。でも、とっても嬉しい夢だ。
『バイバイ。ありがとう、沢山の気持ち…』
end…




