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p.42[反省]

 俺は手元の魔導書を危うく落としかけた。そのぐらい格差があったのだ。


 「え、何コレ...全くの別物じゃん」

 『流石に私もこの地図は見にくいと思ったので私が見て、覚えていた範囲で修正しました』

 「グッジョブだ。...そこから、ドラゴンが隠れられそうな場所をピックアップしてくれる?例えば山があるだとか」

 『そのドラゴンの大きさにもよりますけど、どれを基準にすればいいんですか?』

 「あー、そっか...それは、そうだな.....ドラゴンの彼氏さんを基準で」


 すでにタダの紙束になってしまった地理書を余所に、カゼノさんと話す。

 セバスチャンが居るから気付かれないように小声で話さないといけないのがもどかしいが仕方ない。


 ドラゴンが居る場所を色を変えて教えてくれるが、結構候補がある。

 森の奥深く。山の中。湖の中。

 数えればソコソコの数がある。地面の中とかで冬眠されてしまっては打つ手が限られるから地中には居ないと信じて考える。

 湖はどうなんだろうか?かなり深くないと見つかってしまうと思うから外していいのかな?...いや、もしいたら困るからな。本当にどうしよう。


 ドラゴンの彼に話を聞いた方が早いな。ヒントを得られるかも知れない。


 「今日の夜辺りにドラゴンの彼に会いに行こうか」

 『分かりました』


 夜にこっそりと抜け出す形になるとお思うが闇魔法があるからバレずに出られるはずだ。

 ドラゴンの彼は随分と長く生きてると思うし、俺が知らない魔法があるかもしれない。魔法はドラゴンが創ったって事だから是非とも彼の魔法を見てみたい。


 「幾つか本を見繕って参りました。こちらが風土について。これが薬草。後はより詳しい魔物の分布ですね」

 「ありがとうございます」


 セバスチャンが持って来てくれた資料を見ながら、分からない場所を尋ねる。

 途中から俺の始末書を書いてくれていたアビーさんも参加して場所の絞り込みを手伝ってくれた。

 カゼノさんが提示してくれた場所はどんなところなのかを聞いたりしてその日は解散になった。





 場所は変わってオースティンさんの屋敷。

 帰って来たはいいものの、オースティンさんに呼び出されてしまった。


 案内してくれたメイドさんに軽く一礼して扉を開ける。

 オースティンさんだけかと思っていたのだが、エイデンさんも居て驚いた。何となく話の内容は分かるので居ても問題ないかと思い示された椅子へと座る。


 「オースティン様、お話があるようですが私に何か御用でしょうか」

 「ははは、まあそう焦る事は無いさ。せっかちは女性に嫌われるぞ?」

 「申し訳ありませんが私は貴族ではありませんので...」


 俺の言葉でその場の空気が凍った。

 オースティンさんは表情は笑顔だが纏っている空気は刃その物だし、エイデンさんはあからさまに眉間に皺を寄せている。


 何かまずい事を言ったのか?俺は貴族の様な回りくどい挨拶は要らないと思ったんだが。

 場の空気に圧倒されるばかりだがソレを顔に出すわけにはいかない。迂闊な対応をして更に悪化したらたまらない。


 「それはアリシアと結婚する気が無い、と思っていいのかな?」

 「まさか。そんな事、ありえる訳がありません」

 「では貴族としての礼儀は持っておくべきだ。それを要らないと言う事はアリシアを、ひいては我がシルフィック家の顔に泥を塗る事になる。よく覚えておくといい」

 「分かりました。軽率な発言、申し訳ありませんでした」


 オースティンさんの話を聞いて、なるほど と思った。

 確かに俺の失態はアリシアに恥をかかせる事になる。軽率な行動に出られては困ると言いたいのか。

ようするに、俺の意識が低いと。


 「今日の所は見逃すから次回からは気を付けてくれよ?ドラゴンの事で忙しいのは分かるが余裕があればそちらの勉強もしておいた方が良い。ドラゴンを討伐、もしくは撃退出来たとすれば王都から招集が掛かるのは目に見ているからな」

 「ご配慮感謝いたします」

 「で、本題になるのだが」


 オースティンさんは一息ついて話し出した。


 「今日、君は郊外で戦闘をしただろう?」

 「ええ、確かに」

 「それは戦闘訓練だと言えばどうとでもなるんだ。だが問題がある」

 「問題?」


 どうにかなるのか?と思ってしまったが、どうやら他に問題があるらしい。


 「...戦闘で失った片手をどうするかだ。このままではアリシアが悲しんでしまう」

 「そこですか」


 アリシアさんが悲しむって...。まあ、悲しむだろうけどよ。そこじゃないだろうに。

 俺が片腕を戦闘で失ったと思っているのは都合がいいがオースティンさんって親ばかだったのか。





 「大変でしたね」

 「全くだよ」


 地獄のような食事を終え、自室に帰ってきた。

 片腕が無い俺を見てアリシアが食事を口元まで運んでくれるのだ。

 アリシアと二人きりだったならば天国なのだがオースティンさんは表情が硬いし、エイデンさんは何も話さないし、クロエさんは終始ニコニコしているしで大変だったのだ。

 彼女の親切心を無為にするわけにもいかず、引きつった笑みを浮かべながら味のしない食事を食べきった俺を誰か褒めて欲しい。


 「それで?もう行くのか?」

 「万が一もありますからもう少ししてから出ます」

 「了解だ」


 自室に戻ってカゼノさんと作戦会議をする。

 ドラゴンの彼の元へ行こうと言う事になっているのだが、いつ出発するかで軽く話し合いをして時間をつぶす。

 部屋の近くに誰かが近寄ったらカゼノさんが反応してくれるので、一々気にしなくていいし、アドバイスをもらいながら魔法の練習も出来る。

 カゼノさんに教えて貰った、魔法名を唱えない魔法の発動の発動時間を速くしたり、その状態での維持等をやっていく。


 カゼノさんは今日は疲れているし休めばどうかと言ってくれたが、戦ってみて色々と気になる場面があったのでソレの修正なんかもする必要がある。

 ドラゴンと人とでは戦い方が違うので何とも言えないが、分かっている部分だけでも直しておきたい。

  油断しない事

  最初から本気を出す事

  剣を使えもしないのに相手の距離で戦わない事

 俺が思ったのはこの三つで、対処もしやすい。


 油断しない事。

 カメーリアさんの剣からビームが出たがアレを躱せたのはカゼノさんのおかげだ。

 躱すと言うような綺麗な避け方では無かったが、相手に切り札があると仮定して動く事でまだマシになる。


 最初から本気を出す事。

 戦ってみて分かったが、魔力は結構すぐに無くなる。MP増加系スキルにこれ以上の派生があるのかどうか分からないので魔力が有るうちに速攻をかける。

 泥人形なんか出してる場合じゃない。


 相手の距離で戦わない事。

 今回は[未来予測]で相手の初撃を躱すことが出来たが、相手が俺より速い場合や広範囲に渡る攻撃をしてこられたら上手く対処出来る自信が無い。

 接近はからっきし駄目なので近寄られる前に殺す。


 そんな事を話しながら時間は過ぎていく。

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