九斬り目
美悦子の最大の武器?うーん「正義」かな…
もう…お仕舞いの幕を閉じた。私達の温もりが消え、平穏で冷たいを空気を吸う。羅瑠渡はこの時も恥ずかしがる様子はなく、いつもの羅瑠渡へ戻っていた。
布団で一緒に天井を眺めた。私はまた尋ねた。
「どうしても知りたい?…知ってどうするのか現状わきまえてくれのか…必要ないか…」
何が何でも…止める事なんてできない。自分から言えば、この子が危うい事に遭うかもしれない。でも責任を張ってこの子を守れる。大方役の流儀だから。
「美悦が世界ここへ来るその十年前、私は十代の若い武家の者だった。特武ではない、武術も若い方だった。今の私とは違い、光の如く長照より輝いていた」
羅瑠渡さんが長照さんよりも明るかった?と私は疑義の念を込めた。
「子供みたいだったのよ。冒険家みたいで無邪気で外で駆け走るのが好きだった」
若かった羅瑠渡はその高い自信家で周りでの駆け回りが飽き暮れた時、壮大たる物事に行ずる事を決めた。広大な大地ルブスの長い旅だった。理由はともかく、仲間を組んで魔物を倒して、功績を収める。単純だった。
楽もあれば苦もあったが…電撃的とも言うべき、旅の進みは順調だった。
我ながらもその功績に目を輝かせた。もしかしたら、大地に浸る程の名を馳せる英雄的な存在に築ける事ができるのかもしれないと羅瑠渡は熱い期待を上昇していた。
一日でも早く出世できるよう望みが強かった。しかしとも何も深く考慮せず、瞬時に次項を決めた。
それは魔王との決戦だった。
「それさえ乗り越えば受賞どころではないと私、皆が強く確信した。苦戦の門は必ずしも通りざるを得ないと察して万全な装いで私達は魔王の据える城へ、真っ向からへと入り込んだ。今考えて見れば…馬鹿馬鹿しいのよ。本当に」
美しい程とも言えない。洞窟内のようで湿気が濃い程だった。魔王の手下の襲撃に応じて、羅瑠渡達は既に刃を出した状態で警戒を鋭く立てながら奥へと進んだ。ところが異様な気配が不穏を覆った。
手下らしき姿が一匹も現さなかった。このまるでこの城は既に孤立してしまったかのように、静けさが続いていた。
あの時の記憶が今の羅瑠渡に真っ青に陥りさせる。
「あの時の妙な気配を忘れられない。ただ事ではないと私そう感じた」
当時の世間は魔王の脅威に轟いていた風潮だった。いつかきっと軍勢が世界に覆い尽くすのかと悪い予想がかけられていた。
それが嘘みたいだった。
不審の眉をひそめていた。
魔王って作品によってどんな機会を向かえるのだろうか?