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家が燃えている。
……家だけではない。街中が燃えている。
何度も繰り返し見たことのあるような光景。
俺は焦った。だがまずは、周りを確認する。家の中に誰か家族が残っていないか。
俺は大声で叫ぶ。
「母さん!柚子!親父!」
返答はない。
俺はTシャツを脱ぎ、側溝の蓋を開けた。溜まっていた汚水に浸し、口元に当てて、煙の立ちこめる家の中へ突っ込む。
家族はいた。リビングに3人揃って息絶えていた。
俺は泣き叫びながら外へ飛び出す。
途中で煙を吸ってしまったのか喉が焼けるように痛い。
辺りに人はいない。
ひとまず避難場所に指定されていた公園を目指しひたすらに走る。
「バンッ」
音が響く。右足が熱い。
撃たれた?俺がか?誰にだ?
思考が混乱して疑問を考えようにも頭が回らない。
嗚咽をあげながら這いつくばるように逃げる。
「俺が何かしたか?なんでこうなった?…悔しい…悔しい!」
なぜ悔しいのかもわからなかった。
目の前に誰かいる。
「痛いですか?」
誰が話しているのかを見ようとも体を起き上がらせることができない。
「あまりにも、あなたが気づかないので強引な手段を取らせてもらいました」
「何故こうなったのかを知りたいですか?」
「知りたいっ!」
誰が話しているのかもわからず、俺は痛みから逃げるように絞りだした声で叫んだ。
「後戻りはできませんよ?」
そうだ、俺は知りたい。真実を。誰がこんな事をしたのかを。どうすれば良かったのかを。
戻れなくなろうが。
「俺はまだ死にたくない……せめて…知ってから死にたい……」
血が流れすぎたのか、意識が遠のく中すがるような声を振り絞ったが答えはない。
「知りたいんだよ!!!」
喉が裂けるように叫んでいた。
涙が勝手に溢れた。
声に乗ったのは怒りだけではなかった。
それは、真実への『欲望』だった。
知りたいんだ……全部。
「ならば人を知りなさい。あなたの未来はあなたの欲で書き換えられる。」
誰かがそっと俺の目を触った。
そこで意識は途絶えた。
ハッと目が覚める。
寝汗でシャツが濡れ、喉が渇き、息切れしている。
俺はテーブルに置いてあった飲みかけのペットボトルを手に取り、水を一気に流し込む。
自分の部屋だ。
あたりを確認する。家は燃えていない。足は痛くない。
「……夢だったのか…」
煙の匂いや血の匂い。あまりにリアルに感じた夢に戸惑っていた。
右足に目をやる。昨日まではなかった銃創の痕がある。
しばらくして頭が回り始めた。
「……あれはただの夢だったのか?予知夢?もしあれが未来に起こるとするなら、俺が変えなきゃ……家族の誰一人も失いたくない」
ふと、枕元に目をやる。
ビーズがない。余っていた小瓶も消えていた。
ベッドに腰掛け、息を整える。
ふと顔を上げると鏡に映った自分に目が合う。
「顔の横に……何かある?」
鏡に近寄るとそれが空中に投影された画面であることに気づく。
目の横に浮いている画面にはこう書かれていた。
【ユニークスキル:強欲の目】




