対話その2
まあ、少し欠けたのでどうぞ。
「まあまあ、落ちつけ。儂だって考えなしにお前を拉致ってきたわけでは無い。お主、異世界好きじゃろ?」
「いや、そうだけどさ。もっとこう、スキルとかさ。もっとまともなのにしろよ」
「それじゃ、面白くないじゃろ?まあ、わしの与えたスキルで努力してくれ。この世界のルールルールを儂の力で超越させておるからな」
(いや、だからせめてそのスキルのないようをどうにかしろよ…)
「ま、何はともあれ。お主にはそのスキルで世界にトイレを布教してもらう。そうじゃな、こうしようお前がこの世界にトイレを布教し終わったら元の世界に儂が全力で返してやる」
「もし、出来なかったら?」
「その時はこの世界でお前が骨を埋めるだけだ」
自然と口に溜まっていたつばを飲み込む。覚悟を決めるか。今は戻れないらしいし、この世界で生きるしかないのか。うわあ、どうしよ。今さらになって冷静になって来た。異世界に来て、本当は夢だろうとかなんとかなるだろうとか思ってたけどこれがどうやら現実らしいし。
「なあ、一つお願いがあるんだが。俺がもし達成できたとして帰るときに元の世界で俺が拉致られた時間に帰れるか?」
「よかろう、そこんとこ善処しよう」
よし、これで家族には迷惑を変えずに済むな。
「決めたか?まあ、選択肢は一つしかないが」
「しゃあない、だって?やらなきゃ帰れないんだろ?じゃあやるよ不本意だけどな!」
「よし、契約成立だ。さて、そろそろ時間がないな。世界に無理やり干渉したからいま力があまり残っていないんじゃよ。最後にこれだけは言っておく」
「なんだ?」
爺が大きく息を吸い込む。
「我が名はTOTO!いずれトイレの神となる神だ!」
「いや待て!せめて伏字にしろ!消されんぞ!」
「む、何?わかった我が名はT〇T〇!」
いやだから、それじゃあ分かっちまうんだよ!伏字の位置がおかしいだろ!
「まだ文句がありそうな顔じゃな。しかたない我が名は〇O〇O!」
うん、もう何が何だかわからないな。
「そうだな、トトでいいんじゃないか?ローマ字読みで。こっちの世界にあるかわからんけど」
「ふっ、気に入った。儂の名前はトト、トイレの神じゃああああああああ!」
爺さんがそう叫ぶと、突如として暴風が吹き荒れトイレから体が吹き飛ばされる。トイレが見えなくなるまでドンドン飛ばされていく。何かに引き戻されるように意識が引っ張られ、ついには視界が途切れた。
『【スキル:命名】を手に入れた!』
天からネタが降ってきた。