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第11話 素人質問

 新たにリヒトが加わった一行はズウェルテを目指し歩いている。


「あの…エインさんってやっぱり魔力ないッスよね? 極稀にそういう人もいるって聞いたことはあるんスけど、それでどうやってそんなに強くなったんスか?」


 エインは少し考え……


「めちゃくちゃ頑張ったからだ」


「ス、スゲー!!」


 バカみたいな会話してるわね。

 と、ホロスは思った。


「それでホロスさんはその歳(とし)であんなに魔法を使いこなせてるのはどうしてッスか?」


 リヒトはエインの頭上を見る。現在ホロスはエインに肩車をされている。


「めちゃくちゃ才能があったからよ」


「スゲー!!」


 バカみたいな会話してるなコイツら。

 と、エインは思った。


◇ ◇ ◇ ◇


 そんなこんなで歩きつつリヒトは引き続き質問を重ねる。


「というかエインさんもめちゃくちゃ若く見えますけど何歳なんスか? というかお二人ってどんな関係なんスか?」


 めっちゃ質問してくるなコイツ。……年齢。年齢か。あの千年間を入れるなら1016歳ということになるが……。


「16だ」


 流石にノーカンとさせてもらおう。


「ホロスさんは……」


「10よ!」


 ホロスは両手をパーにしてそれをリヒトに向けた。


 本人の中では今は10歳って設定なのか。実際はいくつなんだろうな。聞いたら怒りそうだからやめておくけど。


「若(わけ)ぇー! オレなんて19ッスよ」


「リヒトも十分若いじゃないか」


「でもお二人を見たら才能も努力も全然だなって…」


 ホロスはともかく俺はズルして手に入れた力だからな。なんと言ったらいいか。


「まあ、人生先は長い。才能が開花するのも努力の結果が出てくるのもこれからだろ」


「かっけぇー!!」


 懐いた途端全肯定してくるなコイツ……


「それで俺達の関係は……」


 やば……。全然考えていなかった。当然正直に言えるわけもないしどうしたものか。……兄妹ということにしとくか? いや、まったく似てないし無理あるか。

 そうだな、ここは──


「俺「私」が」


「ホロス「エイン」を」


「「拾った」」


 ………ホロスとセリフが駄々被りしてしまった。


「……つまりどういうことッスか…?」


 そうだよな。混乱するよな。それが正しい反応だと俺も思う。


「ホロスちょっと降りてくれ。リヒトはここで少し待ってくれないか」


「わ、わかったッス」


 俺はホロスを肩から下ろし、ホロスを連れリヒトに話し声が聞こえない所まで離れた。


◇ ◇ ◇ ◇


「おい、おかしいだろ。お前が俺を拾ったって設定は」


「設定じゃなくて事実じゃない。誰が千年間育ててあげたと思ってるの」


 ……確かに。俺がホロスに拾われたんだった。だが育てられたという表現は少々語弊がある。


「でもそれだと10歳が16歳拾ってることになるぞ。それはおかしいだろ!」


「いいじゃない別に10歳が16歳拾ったって! それだけ私がしっかり者ってことになるんだし!!」


「肩車をせがむしっかり者なんていないだろ!」


 その様子を見てリヒトは思う。


 なに話してるかはわからないけど本当に仲良いなー。あの二人。


◇ ◇ ◇ ◇


「──ということで俺達はリヒトが壊滅してる所を見たという『ルイグ』って村の出身だ。つまり同郷ということになる」


 最初からこういう設定にしておけばよかった……


「村では私がエインの世話をよくしてあげてたのよ」


「逆だろ!」


 暇だ暇だと叫ぶホロスに付き合って一緒にゲームしてやったのは誰だと思ってる。


 俺たちは睨み合い再び取っ組み合い寸前になる。すると──


「…すいませんッ!! お二人があの村の出身だと知らずあそこを襲った魔族扱いしてしまって……っ! オレはなんて無神経なことを……」


 そうか。そういうことになるのか。


「気にしないでくれ。もう済んだことだ」


 そう言葉を返すとホロスが俺の裾を引っ張り心配そうな目で見てきた。


「本当に大丈夫なの?」


「ああ、おかげさまでな」


 俺達の小声のやり取りはリヒトには届いていない。


「ちなみに魔族の襲撃時、俺達は村を留守にしていた」


 ということにしておこう。じゃないと辻褄が合わない。


「エインさんとホロスさんの留守中を襲うだなんて卑怯ですね! その魔族!」


 リヒトが一通り憤りを見せたのち、なにやら考え込むような仕草をする。


「……ちょっと思ったんスけどおかしくないですか? こんなところに魔族が来たの。魔族の勢力圏ってもっと北の方じゃなかったでしたっけ。いや目撃例自体は多少ありましたけどここらへんの村を襲撃したなんて話、少なくともオレは聞いたことないです。少し悪い言い方になりますけどあの村を襲って何か魔族側にメリットがあるとは思えないんです」


 そのことについては俺も散々考えたが結局結論はでないままだった。素直に考えればホロスが封じられていた祠が近くにあったことが関係してそうだがホロスも心当たりはないらしい。


「倒す前に聞いとけばよかったな……」


「え…ああ…! 既に倒してたんスね!! 流石ですエインさん!!」


 また褒められてしまった。


「まぁそこらへんも含めて魔法師ギルドに報告ッスね」


「……なあ、俺からも質問いいか?」


「もちろんいいッスよ! オレに答えられることならなんでも答えます!」


「魔法師ってなんだ? 魔法使いとは違うのか?」



    第11話 素人質問


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