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多重人格のヒロインを手伝う件について  作者: るなふぃあ
第七章 例のイベント開始!!
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ごめんなさい、のせられました

「あ、副会長」

 急いで受付までやってきたら、副会長を発見。

 相変わらず見た目は爽やかだなあ。

 さっきは一度も会話がなかったけど、海梨の情報通りなら裏があるはず。気を引き締めないと。

「ん? 君は……誰だ?」

「海梨の幼馴染! 霧崎夕!」

「あぁ。そういえばいたね、そんなの」

「失礼な奴だな!」

 俺なんか眼中にないってか。

「確か君は参加候補者には入っていなかったはずだけど?」

「飛び入り参加だよ。今回も数名分欠場者が出たんだろ? 公式サイトに載っているの見たんだ」

「ふぅん、なるほど。それで出場する、と。賞金が狙い?」

「違う。先に宣戦布告しておく。俺はあんたの評判を落としに来た。邪魔をさせてもらうぜ」

「……やっぱりそうなったか」

「やっぱり?」

「会長の予想通りってこと。どんなことをしてくるかまではわからないけど、ちょっといいか?」

 ちょいちょいと手招きされた俺は人気がないところへ。

「邪魔をするな、と言ってもどうせ君は何かしでかすんだろ?」

「当然」

「だったらこっちから提案させてもらう。アピールタイムの時、俺と格闘技をやれ」

「格闘技? どういうつもりだ」

「最近身体を鍛えているんだ。アピールタイムで披露しようと思う。対戦相手はいる方が面白いだろ? 戦闘方法は自由。相手を屈服させた方が勝ち。ここまで言えば言いたいことはわかるな?」

「本番であんたをボコボコにできれば、弱いという悪評を与え、人気を減らすことができる、ってか?」

「そういうこと。予期せぬ邪魔をされるよりかは、あらかじめチャンスを与えておく方がこっちとしてはやりやすいからね。どうだ?」

「……一つ聞いておく。それは会長の命令なのか?」

「もちろん」

「あっさりばらすんだな。てっきりうやむやにするかと思っていたのに」

「別にそうする理由もないし。それで、どうする? 俺にボコボコにされる勇気があるか?」

「勝つ前提かよ」

「そりゃあね。君の体格を見るに負ける要素が見当たらない」

「へぇ、ふーん、そう」

 これは思わぬ穴を発見。

 さっき会長からの命令だって言っていたけど、会長も完璧じゃないな。

 どうやら知らないらしい。俺が小学生低学年の頃、空手などの戦闘術を学んでいたことを。

 そのおかげで小学生低学年の頃は喧嘩で負けたことがない。といっても小学生低学年までの話だ。それ以降は一度も喧嘩をした覚えがない。

 でもツンツンモードの相手を毎日しているから感覚は鈍っちゃいないはず。

「いいぜ、その提案乗った。あ、でもいいのか? 確かアピールタイムは個人で行うものだから、他人の協力はダメなんじゃ」

「それに関してはすでに許可を取ってあるから大丈夫」

「用意周到だな」

「もちろん。それじゃあ楽しみにしているよ」

 どうやら用件は終わったらしい。副会長は受付へ向かっていった。

 はっ、馬鹿な奴め。それだけで終わると思うなよ。

 副会長の邪魔をするため受付けを行い、飛び入り参加を――。

「すみません、すでに飛び入り参加分は終了いたしました」

「なにぃ!? ちょ、ちょっと待ってください。一人だけ。一人だけ余分に枠をとってください!」

「ダメです。一度ルールを破ると他のお客様にも適応しなければなりませんので。それに先ほど断った方にも失礼にあたります。申し訳ございませんが、お引き取りお願いいたします」

「そんなあ」

 嘆いていると、くっくっくと笑っている副会長の姿が目に入った。

 こ、こいつ、あの時わざと時間を取らせやがったな!

 こうなったらもう許さねえ。てめえの望み通りアピールタイムの時にボコボコにしてやんよ!

 と意気込んだはいいものの。

「アンタばかぁ!? 何みすみすチャンスを逃してんのよ!」

 はい、案の定新聞部に戻ったら天使モードに怒られました。

「あなた本当にどうしようもない人ね。それに、副会長の提案にまで乗ってしまうなんて」

 お嬢様モードには呆れられてしまいました。

「いやでも! 俺は小さいころに格闘技を習っていたんだ。副会長には負けない!」

「小さい頃の話でしょ! なまってんでしょーが」

「そんなことはない! ツンツンモードの相手を毎日しているんだぞ」

「それはあくまでも朝日野さんが相手でしょう。あなた、副会長を同等にみるつもり?」

「ぐ、そ、それは」

「ほんとバカね」

「クズすぎて何も言えないわ」

「……はい、調子に乗りました。その時の気分と浅はかな考えで副会長の提案に乗ってしまいました」

 だってしょうがないじゃないか。生徒会長が俺の過去を知らないみたいだったから。

 とりあえずそのことは触れないようにしよう。何を言っても言い返されるのは目に見えているし。

「ところで話は変わるけどさ、海梨がどうすれば元に戻れるのか、鍵らしきものは発見したぞ」

「え、ほんとに?」

「やっぱり陽花の予想通り、俺の行動にかかっているらしい」

「なんでそこまでわかったのよ。何か思い出したの?」

「思い出したわけじゃなくて、学長に言われたんだよ」

「何を」

「海梨に命令したのは俺だってことを」

「命令? なんの命令よ?」

「わからん」

「はぁ?」

「学長が教えてくれないんだからしょうがないじゃねえか」

「アンタねえ、自分自身のことでしょ。なんで覚えていないわけぇ?」

「そ、そう言われてもな……」

 またしても天使モードを怒らせてしまった。対してお嬢様モードは、うん、ため息ついているね。

「ここまで残念だと見放したくなるわね」

「同感」

「そ、そんなこと言わずにさ」

「とりあえずこうなってしまった以上やるしかないわね。アンタの目的は副会長の評判を落とすこと。暴力女に対するトラウマに関してはその後きっちり思い出しなさい」

「いい? 絶対に副会長に負けてはダメよ」

「りょ、了解!」

 陽花たちに叱咤された俺は、気合を入れなおしてスタジアムへ。

 と思ったら、

「ちょっと待った」

「なんだよ」

「今回の件は会長が仕組んだこと。普通に挑んだらおそらく向こうの思うつぼ。だからこそ、夕」

 耳元で作戦を囁かれる。

「えぇ!? 俺にそれをやれっていうのか!?」

「むしろそれくらいのことはやんなさいよ」

「そうね。それくらいできなければ会長を出し抜くことは不可能ね」

「……わかった。やればいいんだろやれば」

 どうやら俺も覚悟を決める時が来たようだ。

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