声
(お、怒られた!?)僕は辺りを見渡した。
(誰もいない…?)
『上』また声がした。僕は上を向いてみた。
高い木の太い枝のところに寝そべっている女の人の姿が見えた。ここから5,6メートルはありそうだ。
その女の人は、制服みたいなものを着ていて、茶色の髪の毛が風になびいて、とても綺麗に見えた。
「す、すみません。ん?あっあの~。そんな高い所で寝てるんですか?」僕は言った。
『そうだけど。悪い?』女の人は、答えた。
「いやっ。悪いって訳じゃないけど…。大丈夫なんですか?」僕は言った。
『何が?私はここが好きなの!いいでしょ。別にっ!』女の人は、すごく不機嫌だった。
「すみません…。」僕は下を向いた。
『で?なんで叫んだの?』女の人は聞いた。
「えっ?あっ。えっと…。僕は小さい頃、この森でよく遊んでて…今日、久しぶりに来て…それでなんか叫びました。」僕は上手く説明出来なかった。
『答えになってないんだけど?』女の人は鼻で笑った。
「すみません。自分でもよく分かんなくて…。気持ち良かったんです。きっと…。」僕は言った。
『そう…。ここ良いところよね。私も昔よく遊びに来てたわ。』女の人の口調が優しくなった。
「そうなんですか?良いところです。本当に。」僕は頷く。
少し沈黙が続いた。風音と風に揺れる草木の音ー。
包み込まれそうだった。木と木の間から夕日がさしこむ。
「僕、そろそろ帰りますね…」僕は、木を見上げて言った。女の人は頷いたように見えた。そして、歩き出した。
(ここはどこだー!?)僕は立ち止まった。何処を見渡しても同じ景色だ。
(ヤバイ!どうしよう…帰れないっ!?)僕は焦った。




