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Tricky Duo + 1  作者: 薄桜
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8/12

2011年3月4日

功一、真優、のぞみのホワイトデーのお話です。

・・・いや、功一、高井戸、横田の方が正しいかな。

ホワイトデーなので、野郎側ばっかです。

三部作 4、7、14日の更新になります。


では、どうぞ。

「功一、ちゃんと二人にお返しするのよ。その分上乗せしといてあげるから。」

三日前にそう言って渡された小遣いはいつもより5000円多かった。二人分とはいえ母さんは一体いくらの物を想定しているのだろう?

立ち寄ったコンビニで、普段は存在しないこのシーズン特有のきれいに包装されたクッキーやマシュマロに目をやるが、せいぜいが500円くらいのものだ。

どうしたものかと頭の隅で考えながら立ち読みをして、結局何も買わずに店を出た。そして自転車のスタンドを上げようと、足をかけた所で声がかかった。

「おー、いい所にいた。協力しろ。」

よく知る声に振り向くと、悪友の横田と高井戸がコンビニの駐車場を横切って段々と近付いて来ていた。

「・・・協力って何をだ?」

主語のない半端な命令文に質問を返すが、二人には答える意思が無いらしく含みのある笑みを返すばかりだ。

「まぁ、とりあえず家に来い。そうすれば分かるさ。・・・だが食い物と飲み物は持参だからな。」

「いや、腹減って無いし。」

今出てきたばかりの場所に、もう一度戻る気の無い俺は、一応拒否したのだが。

「俺等は肉まん買いに来たんだ、まぁ付き合え。」

ガキ大将ばりに制服の襟を掴んだ横田に引き摺られ、今出てきたばかりのコンビニに再び足を踏み入れる羽目になった。


*--*--*--*--*--*--*--*


高井戸の部屋に上がり込むと、すぐにPCの電源を入れた。起動までの待ち時間に高井戸は、ようやく今回の計画の概要を説明してくれた。

なるほど…納得した。

店で思い悩んで結局何も決められもせず、あげくに客観的かつ冷静に自分を分析し始め・・・非常に恥ずかしい思いをするよりも、合理的で、かつ種類も多い・・・いや多過ぎても困るんだが。ここでこいつらと同じような物を選んでしまえば、そんな煩わしい思いをする事無く問題は解決すると・・・素晴らしい提案だ。

『ネット通販で共同購入し送料を浮かそう』

もったいぶられた割にガッカリな内容だが、利害は一致する。

「乗った!」

と二つ返事で手を差し伸べると、

「裏切り者と結ぶ手はない!」

と素気なく叩かれた。

「なぁ、笹野くん。おそらく我々と君とでは、頂いた品に…大きな差が、それこそ大河のように遥かに広ーい隔たりがあると思われるのだが・・・そうなのだろう?」

高井戸はどこを見ているのか、いまいち分からない目をして語りだした。

「自分で言うのも悲しくなるが、我々のお返しは、義理も義理、お得意様だから…と、差し伸べられた奇跡の一品なのだ。」

横田は今にも泣き出しそうに項垂れる・・・相変わらず大袈裟だ。

「勝手に盛り上がるな、鬱陶しい。俺だって義理だよ。」

渡す側が楽しむためだとしか思えない、うちの母親まで参加して大騒ぎしたチョコフォンデュは疑う事は無いだろう・・・しかも、渡された気もしない素晴らしいアイディアだった・・・。それと、後で真優がくれたチョコもお菓子コーナーで見かけるチョコの詰め合わせだし、何故別にくれたのかは謎だが、いずれにせよ本命とは思い難い。

「・・・本当か?」

無駄に射抜くような鋭い目を向ける二人に、俺は誓うように言った。

「嘘偽りございません。」

嘘もついてないし、やましい事も無い。二人に裁かれる理由などまったく無い・・・もしあったとしても裁く権利の方が無いような気もするが・・・表情を変えない俺にようやく二人は態度を緩めた。

「わかった。同胞と認めよう。」

「やっぱり高井戸は無駄に偉そうだよな。」

無駄に重々しい口をきく高井戸に、つい本音が口から出た。

「我々はその場のノリだけだからな。」

横田も無駄に胸を張り、妙な事を自慢する。二人とも、俺の言葉を気にした様子は一向に見受けられない。ならば、

「・・・前から思ってたんだが、お前等演劇部にでも入ってそのノリを生かしたらどうだ?」

あそこまで役に成り切れるという事は、日常ではただ鬱陶しいだけだが、有効に活用すれば使える特技になるんじゃないか? と思い提案したのだが・・・

「ふっ、演劇部は以前に追い出された・・・。」

「アドリブをやり過ぎて、かなり怒られたな。」

「・・・そうか、悪い事言ったな。」

活用しようが無かったのか。


「で、お前等何にするか決めてんのか?」

どこか意気消沈気味の二人を無視して、とっくに起動しているPCを勝手に操作しブラウザを開いた。

タブに大手の通販サイトが残されていたので、そこを選ぶとチョコレートを染み込ませたラスクとやらが表示されていた。ちなみに始めに表示されたタブについては触れないでおいてやる。

「これか?」

振り返ると、高井戸が微妙な表情で頷いた。

「少し変り種で値段も手頃、チョコなら味に外れもないだろうって、優れものだろ? 5セット以上で送料無料になるんだが、我々二人だけだと母親に渡してもあと1つ足りなくてな。」

「おい、自分の手柄のように言うな、俺が見つけてきたんだからな。」

横田が高井戸に噛み付く。

「俺は笹野に説明しただけだ。」

「言い方が引っ掛かるんだ。」

後ろからいがみ合う声が聞こえるが、とりあえず無視して、そのページを眺めた。

「・・・なるほど、俺もこれでいい。」

特に反対する理由など無いし、そもそも案が無いからこの話に乗っかったんだ。探す手間が省けた俺に異論があろう筈も無い。

「じゃあこれでいいんだな?」

後ろを振り返ると日頃仲のいい二人は、まだ睨み合っているので、

「銀行振り込みにしとくぞ。」

と、一応一言断わりを入れて、勝手に選んで確定ボタンを押した。


もちろん、こいつらがそれを聞いていないのは百も承知している。

この三人は結局仲が良い。

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