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海のように深く  作者: 心雨
第6章
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とんでもない展開に!

「亮のこと、本当にありがとうございました」彼女は頭を深く下げました。これは彼女の本当の気持ちです、1ミリの偽りもありません。

「ハハハ、陳さん、これは教員の仕事です、気にしないでください」高橋先生は喜んで言いました「私も一人息子がいます、中学生の時も少し亮君と同じなことが起こりました。でも、その後私たちは教育の方法を変えて、息子はよくなりました。彼も東大の博士を卒業しました。」

「お子さんは何歳ですか?」

「もう30過ぎでした。本来私と同じ教授になってほしいですけど、付き合っている彼女の話を聞いて、大企業に就職して、今は私と同じ年収になりました」

静香の気持ちが微妙に変化しました。自分の息子はまだうつ病の中にもがいている時、他人の息子の自慢話を聞いたらどうしても自分の心の中には嫉妬とも言える感情が湧きました。でも、彼女は自分の気持ちを抑えて褒めました「息子さんもすごいですね」

「残念ですが、亮君はまだまだこれから道のりが長いですね」

「そうですね」

「これからもお母様とお父様の暖かい見守りが必要ですね」

静香は頷きました「私もそう努力したいですね」

「将来、亮君は普通に就職して、普通な生活ができるなら、それで十分ですね」高橋先生は静香の顔を見ながら優しく言いました。

どうして?なぜ亮は普通で十分ですか?静香は少し不満に思いました。彼女は自分の息子に大きな期待を持っていました。今は息子がうつ病になりましたが、それですべて絶望ではありません。自分の息子は絶対うつ病を乗り越えて、世界に羽ばたこうと静香は強く信じていました。

彼女はまだ高橋先生の言葉の中の真意が分かりませんでした、何年後、彼女はようやく分かるようになりますが、今の時、大学卒業した亮の状態から見ると、すでに回復の途上になっていました。静香も亮に新たな希望を持つようになりました。

「亮君の論文を見てください」高橋先生は自慢げに言いました。

それを言うと、高橋先生は立ち上がって、デスク上のコンピューターの前に座り、静香を自分の傍に座ると招きました。

「実は数学はよくわからなくて・・・」静香は残念そうに言いました。

「まあまあ、見てください」高橋先生もう一度勧めました、亮の論文のフォルダを開示してくれました。

長い論文でした、その中にたくさんの公式と推論がありました。それが静香は見たこともない公式でした。静香はマウスを動かして、論文を読んでいました。内容は全然分かりませんでしたが、でもこれは亮と高橋先生の努力の賜物でした。こんな長い論文、二人はどれほど頑張りましたか、どれぐらい心血を注ぎましたか、静香は感動さえ覚えました。彼女は最後まで見て、ようやく振りかえて、高橋先生に一礼して、言いました「本当に先生にお世話になりました」この一年のつらいことを思い出して、彼女の眼の中に涙が浮かびました。

高橋先生も静香の泣きそうな顔を見ました、彼は優しく言いました「お母様も大変ご苦労でした。」

二人は席に戻って、また面と面向かって座りました。この時、高橋先生はもうすでに静香の目の中に英雄になりました。彼女は高橋先生を見つめて、ゆっくりかつ大胆に言いました「私は先生と仲良くなりたいです」彼女の目の中にキラキラの光を見えました。

高橋先生は沈黙しました、彼は静香の目を注視して、だんだん彼女の本意が分かりました。彼は少し考え込んでいました。その後、静香は何万年が過ぎたと思う時、彼は口を開けました

「私、お金がないです」

お金?静香は一瞬何か言われているかが分かりませんでした。自分はお金のため?自分の年収は高橋先生よりずっと高いはずです。自分はそんな安いものですか?でも、次の一瞬彼女も考えました。中国人にはそういう噂が多いですよね、もしかして高橋先生も心配しているかも。彼女は怒りを抑えて、再度高橋先生に微笑みました。

高橋先生はすぐ止めました「私を巻き込まないでください」

巻き込まない、静香はようやく高橋先生の意志が分かりました。彼は私が好きなのに、彼女は思いました、依然として自分の失敗を認めたくないです。でも、これ以上もう話すことがありません。これ以上話すと、自分は恥ずかしくなるだけ、彼女はすぐ席を立ちあがり、帰ると言いました。高橋先生のために買ったバウムクーヘンはまだテーブルの上に置いていました、彼女は取り上げて、高橋先生に渡しました「これ、箱根のお土産です、先生どうぞ」

高橋先生は手土産を受け取り言いました「陳さん、駅まで送ります」

静香の心情は混乱していました、二人は無言のまま、4階から降りて、駅に向かって行きました。高橋先生も考え込んでいました、彼は何かを言いたかったけど、最終何も言いませんでした。

まもなく改札口に到着しました。高橋先生は足を止まって言いました「陳さん、今日ありがとうございました」静香の心が空っぽになりました、彼女は機械的に言葉が出ました「先生、今日ありがとうございました」その後彼女は寂しげに改札の中に行きました。高橋先生はずっと改札口の前で彼女を見送りました。静香は高橋先生が自分を見送っていると分かっていましたが、でも怒っているのか、彼女は振り返りもせず、まっすぐ改札の中に消えました。


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