103話 初雪の門出
それは、この世界に来て初めての雪が降った日の事だった。
昼過ぎに突然、玄関の呼び鈴が鳴り、クララが確認に行くと、ソーリンが慌てていたのだった。
「ソーリン、そんなに慌ててどうしたんだい?」
とりあえずDLに入ってもらい、水を飲ませる。ソーリンは一気に一飲みすると、真剣な表情で告げた。
「今直ぐに、旅立つ準備をして下さい!」
「は?一体、どうしたんだ?」
「デピッケルに、いえ、バルグ商会に勇者が訪ねて来ました!」
「なっ⁉︎」
「おそらく、王都に居たという、勤勉と純潔の勇者かと。今のところ、父が相手をしていますので、逃げるなら今です!」
アラヤ達は、驚きで一瞬言葉を失った。しかし、想定していなかったわけでもない。直ぐに冷静になって立ち上がる。
「皆んな、必要な物は遠慮なく出してくれ。亜空間収納で全て持って行くから。ソーリン、馬車は借りれるかい?」
「はい、以前の馬車を手配してあります。後、バルグ商会の会員証と各領土の運輸業許可証も積んであります」
流石、新社長になったソーリンだ。行き先をどこでも良い様に、全て準備は整えてあるようだ。
「準備はいいね?皆んな、出発するよ。ソーリン、家の事は帰ってくるまでしばらく頼むよ?」
「はい、熱りが冷めるまで、どうかお気をつけて!」
見送るソーリンとマイホームを背に、アラヤ達は突然、デピッケルから旅立つ事になったのだった。
『アラヤ君、行き先はどうしますか?』
御者台で馬の舵を取るアラヤに、アヤコが念話で尋ねてきた。とりあえずはデピッケルから出たものの、今は更なる東へと進路を取っているだけだ。
『このまま、東に向かうと何処へ着くのかな?』
『確か、インガス領だったと思います。ほら、あのカレーに似た食べ物がある領地ですよ』
そういえば以前、ソーリンからカレーに似た料理を作ってもらった。その時に、調味料を手に入れたいと考えていた事を思い出す。
『よし、それなら最初の目的地はインガス領にしよう!』
アラヤは技能の脳内マップを広げて、インガス領を探す。
インガス領は縦長に広く、街が3カ所、村が6カ所と意外にも多い。デピッケルに一番近いのは、ポッカという村のようだ。
とりあえずは、関所を通ってそのポッカを目指すとしよう。
「それにしても、いきなりの事で驚いたわね」
「やはり、デピッケルで魔王が1人消えた事に美徳教団側も気付いたのでしょう」
「いや、それ以前の問題でしょ?あれだけ前世界の物を販売してたら、バルグ商会は疑われて当然だし、カジノで豪遊している夫婦が居たら目立って当たり前でしょう?」
「それはカオリも同罪じゃない?」
「皆様、今は落ち着きましょう。私達は、ご主人様が居れば何処へ向かっても大丈夫です」
皆んなを諭そうとするクララの尻尾が、プルプルと震えている。クララはまだ、アヤコ達には遠慮気味な態度を取っている。
「大丈夫よ、クララ。私達は別に喧嘩してる訳じゃないの。ちょっとだけ、新たな冒険みたいで皆んなドキドキしてるだけだから」
「確かに、デピッケルに来てから三カ月だからね。家買ったり、結婚したりであっという間に過ぎた気がするけど、そろそろ新天地を探すのもアリかもね?」
嫁達で盛り上がっている中、アラヤは、雪で視界が悪くなってきたので馬の速度を落として走っていた。アラヤ自身は体温調節があるので大丈夫だが、この寒さでは馬達の体力がもたない。
「とりあえず、デピッケルからはかなり離れたから、ここらで野営にするかな」
アラヤは馬を止め、アースクラウドで馬車を囲む様にドームを作り上げる。それを鉱石化して、積雪にも耐えられるようにした。
換気穴を数箇所開けたら、即席巨大かまくらの出来上がりだ。
「皆んな、とりあえず雪が止むまでは、ここで野営するよ」
「「「分かりました」」」
皆んなは馬車から降りると、それぞれの役割を理解していている様で、テキパキと行動する。サナエからリクエストされたレシピをカオリが調べて書き出し、アラヤがその食材を亜空間から取り出す。アヤコは焚き火や食卓の準備をして、クララは馬に餌をやり寝床を準備する。
皆んなが皆んな、家族の得意分野を理解しているのでスムーズに進める事ができるのだ。
「今日は寒いから、白菜と豚バラ肉のにんにく味噌鍋にしたわ。沢山食べてね?」
アラヤの大食いに合わせて、レミーラに頼んだ特注品の大鍋いっぱいに、サナエ渾身の料理が出来上がる。
クララとアヤコが、皿によそおい皆んなに配る。
「それじゃあ、食べようか。いただきます」
「「「いただきます」」」
皆んなで美味しく夕食をいただく。デピッケルを抜け出したばかりというのに、のんびりと旅を満喫している。ちょっと緊張感が無い気がするけど、正直、アラヤも楽しく感じていた。
ソーリンとの旅も、途中で終わったっきりで、社長就任やらで出掛ける事も無くなったし、この際だからいろんな場所を旅してみようと思う。
食事の後は、皆んなで技能の熟練度上げだ。カオリは仮死状態があるので、たまにしか一緒にできないけど、皆んなで頑張ってきた。
アラヤ=クラト
種族 人間 (ハイヒューマン) 男 age17歳
体力 571/571
戦闘力 332/332
耐久力 292/292
精神力 198/198
魔力 332/332
俊敏 289/289
魅力 72/100
運 28
職種 暴食王LV 3
技能 捕食吸収LV 2 鑑定LV 4 隠密LV 2 魔導感知LV 2 身体強化LV 3 精神耐性LV 2 物理耐性LV 2 全属性魔法LV 2 保護粘膜LV 1 一点突貫LV 2 言語理解LV 3 亜空間収納LV 1 魔法耐性LV 2 威圧LV 2 剣技LV 2 槍技LV 1 弓技LV 1 自己再生LV 1 毒耐性LV 2 集団引率術LV 1 体温調節LV 1 感覚補正LV 2 感覚共有LV 2 念話LV 2 魔爪連撃LV 1 ポイズンバイトLV 1 超嗅覚LV 1 超聴覚LV 1 望遠眼LV 1 超音波LV 1 魔力粘糸LV 1 竜鱗防御LV 1 暗視眼LV 1 鈍感痛覚LV 1 絶倫LV 1 溶解耐性LV 1 強化胃酸LV 1 操縦士LV 1 脱皮LV 1 熱感知LV 1 超集中LV 1 平行思考LV 1 料理LV 1 痕跡視認LV 1 罠解除LV 1 瞬歩LV 1 熱耐性LV 1 盲目耐性LV 1 即死耐性LV 1 バルクアップLV 1 交渉術LV 1 魔術の素養LV 1 全属性中級魔法LV 1 調教LV 1 酒豪LV 1 脳内マップLV 1 念写LV 1 コールLV 1 メッセージLV 1
特殊技能 【弱肉強食】LV 2 【技能与奪】LV 2
アヤコへの【技能与奪】使用により、前回より熟練度が落ちてはいるけど、毎日の訓練でそれなりに上げている。
カオリ=クラト
種族 人間 (ハイヒューマン) 女 age 17
体力 152/152
戦闘力 91/91
耐久力 83/83
精神力 163/163
魔力 482/482
俊敏 181/181
魅力 58/100
運 51
職種 色欲王
特殊技能 【愛欲見返】LV 1
技能 カメラアイLV 2 言語理解LV 2 全属性魔法LV 2 全属性中級魔法LV 2 魔法耐性LV 1 毒耐性LV 1 睡眠耐性LV 3 腐敗耐性LV 3 即死無効(術が効果中の為) 体温調節LV 2 魔術の素養LV 1 2属性合成LV 1 ダブル魔法LV 1 窒息耐性LV 1(実際にはまだ知らない)
彼女のステータスは分からなくなったが、おそらく今ははこれくらいだろう。
サナエ=クラト
種族 人間 (ノーマル) 女 age 17
体力 183/183
戦闘力 125/125
耐久力 121/121
精神力 108/108
魔力 131/131
俊敏 212/212
魅力 76/100
運 50
職種 踊り子LV 2
技能 感覚補正LV 2 鎮魂の舞LV 1 戦士達の鼓舞LV 3 精霊の祝舞LV 2 魅惑の艶舞LV 2 光属性魔法LV 2 闇属性魔法LV 1 料理LV 2
未だにアンデットと遭遇していない為、鎮魂の舞は上がっていないが、料理等でクリーンを使う為、光属性が上がっている。
アヤコ=クラト
種族 人間 (ノーマル) 女 age 17
体力 171/171
戦闘力 110/110
耐久力 114/114
精神力 171/171
魔力 143/143
俊敏 180/180
魅力 71/100
運 43
職種 伝道師LV 1
技能 念話LV 1 念写LV 1 コールLV 1 メッセージLV 1 感覚共有LV 1 言語理解LV 1 全属性魔法LV 1 念動力LV 1 弓技LV 1
一度技能を全て奪われた為、熟練度が全て最低になったけど、努力は続けている。
クララ=クラト
種族 亜人族 (狼人)
雌 age 16
体力 422/422
戦闘力 231/231
耐久力 189/189
精神力 187/187
魔力 131/131
俊敏 402/402
魅力 77/100
運 39
職種 獣狩人LV 1
技能 身体強化LV 2 気配感知LV 2 超嗅覚LV 2 咆哮LV 2 魔爪連撃LV 1水属性魔法LV 2 風属性魔法 LV 2
彼女の場合は、姿でステータスが多少変化する。後、籍を入れた事で苗字が付いた。母親のクレアには付いていなかったのは、正式には結婚していなかったからだそうだ。
これからも、皆んなで更なる精進していこうと思う。今回みたいに、いざという時がいつか来るかもしれないのだから。




