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新浜だより 行徳新聞掲載再録  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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カワセミ情報  1990年5月11日号掲載

新浜だより(行徳新聞再録) 1990年(平成2年)5月11日号掲載


カワセミ情報


 青と緑の光の矢が目の前を飛びすぎた。目の焦点が合うか合わないうちに、青い光―カワセミはオレンジ色の下面をちらっと見せ、「チーッ」と一声、金属的な鋭い声を残して、ご猟場の竹やぶの向こうに姿を消した。その間一秒たらず。四月二十七日午後のことだ。

 この冬はカワセミに会うチャンスが多かった。十二月までは丸浜川で毎日見られたし、年が明けてからはほとんどいつも保護区内の新池にいて、特に二~三月は園内観察会のたびに記録された。カワセミは動作がすばやい上、スズメくらいの小さな鳥なので、なかなか目にとまらない。八〇名近い観察会参加者全員がカワセミをじっくり見られたなんて、と指導者がびっくりしていたほど。

 三月初め、池のくいに止まったカワセミのところにも一羽が飛んできて、二羽がしきりにさえずり合っているところが見られた。それまでにも、なわばり争いのような追いかけっこや取っ組み合いのけんかが見られている。繁殖行動そのものという様子である。

 四月に入ると、カワセミはほとんど目につかなくなった。漫然と保護区を見まわっても、姿どころか声も聞かれない。そこで毎週、一時間ほど池の岸に腰をおちつけて記録をとることにした。すると必ず一度か二度カワセミが出てくる。四~五月はカワセミの子育ての季節。もしかすると、ご猟場の中でヒナがかえっているかもしれない。小魚をくわえて飛ぶのが見られればしめたもの。巣についた雌かヒナに運ぶところと考えてよいはずだ。

 行徳でカワセミが繁殖しなくなってから久しい。昨年はご猟場で夏中ずっと一つがいが残っていたそうだが、巣があったのかどうかはわからない。今年こそは行徳育ちのヒナを確認したいと思っている。

 カワセミは“清流のシンボル”と言われ、東京都内では川の汚染とともに一時ほとんど姿を消した。最近になって、あちこちの池にカワセミが戻ってきていると聞く。水がきれいになったためというより、水の汚れに強い帰化魚のカダヤシがふえ、よい餌になったことがカワセミ復活の原因ではないかと言われている。

 葛飾区の水元公園では、背丈ほどに土盛りし、一年経って土が締まったところで、土留めの板を何ヵ所か切り取って土をむき出しにし、誘いの穴を開けておいた。そこにカワセミが巣を作ってくれたと、観察グループが大喜びされていた。また、目黒の自然教育園では、ゴミ焼き用に部屋くらいもある大きな穴を掘ったところ、穴の壁にカワセミが巣を作ったそうだ。

 河川改修のため、巣作りに適した土の崖がなくなったこのごろは、カワセミは餌不足よりは住宅難に苦労しているのだろう。来年は「カワセミ様御宿」に挑戦してみたい。池の土手を掘って土の崖を作ればよいのだから、話は簡単だ。


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