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新浜だより 行徳新聞掲載再録  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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珍しいお客たち  1990年4月6日号掲載

新浜だより(行徳新聞再録) 1990年(平成2年)4月6日号掲載


   珍しいお客たち


 二月二四日の夕方、護岸堤にずらりと並んでいるゴイサギに何気なく望遠鏡を向けたバンダー(鳥類標識調査―バンディング―のライセンスを持つ調査者)の原島氏が、いつになく興奮した様子で、「アカガシラサギがいるよ!」と呼びに来た。一大事!

 アカガシラサギは日本ではごく稀にしか記録のない珍鳥で、保護区でも今回の渡来が二例目。最近、少しずつ分布を広げているらしく、昨年千葉県下の繁殖が初めて発見されていた。この一月中に鴨場付近で二度ほど別々に目撃されたが、まさかいきなり目の前に出てきてくれるとは思わなかった。

 一見したところ、ゴイサギの若鳥をひとまわり小さくしたような褐色のサギだが、翼と尾が白い。大きめの頭や首を縮めたずんぐりした姿勢は、まるでゴイサギそのままだ。護岸堤に止まったアカガシラサギは、妙になれなれしい様子で、食い入るように餌場の方を見つめている。もしかしてゴイサギのように餌場の魚のアラが欲しいのじゃないか、と餌を出しに餌場におりたところ、アカガシラサギはコサギと一緒に飛び立ち、そのまま姿を消してしまった。下りている時はゴイサギそっくりなのに、飛ぶと白い尾と翼が目立ってコサギにまぎれてしまう不思議さが印象的だった。

 三月十三日の午後四時ごろ、強い北風をよけて集まっている三〇羽あまりのサギをかぞえようとして双眼鏡を向けると、ひさびさに「小柄なゴイサギ」くんの姿を見つけた。アカガシラサギは、自分では白鷺の仲間のつもりらしい。でも、となりのダイサギに叱られて、腹いせにコサギにちょっかいを出したり、と、どうもあまり相手にされていないようだった。

 そろそろ春の渡りの季節。さみしいアカガシラサギにお仲間が渡ってきて、新浜鴨場で巣を作ってくれないかしら。

 丸浜川の水位が低い時にはコガモの群れが入るようになった。おまけに、珍しいオオハシシギ(これもごく稀にしか見られない鳥だが、保護区では何年か続けて越冬)まで定着している。たいていは二羽が連れ立って、長いくちばしをしきりに泥にさしこんでは、せっせと何か食べている。このシギが見たいばかりに来館される熱心なバードウォッチャーも少なくないのだが、「オオハシシギはいますか」と聞かれる時に限って、どういうわけかいつもの場所にいないことが多い。薄情な鳥だ。

 ウグイスの歌、沈丁花のかおり、青草の芽。あたりは見るみるうちに春一色。カモメの白い羽がまぶしい。



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