大雪の中で 1990年2月23日号掲載
新浜だより(行徳新聞再録) 1990年(平成2年)2月23日号掲載
大雪の中で
一月三〇日の夜半すぎからちらちらと舞いはじめた雪は、翌朝には本降りになって、うっすらと地表をおおった。昼すぎに勢いが弱まり、積もった雪が溶けて消えるのを見て、峠は過ぎたと思ったのも束の間。水気たっぷりのぼたん雪は、時々みぞれや雨にかわりながら降り続け、夜になると再び勢いを強めた。明けて二月一日、あたりはみごとな銀世界にかわり、雪はなおも降り続いている。
この日は木曜で私の週休日。他の方には申しわけないけれど、雪の日にぬくぬくとこたつにもぐっているのは、まさに至福。みかんやコーヒーを手の届くところにおいて、こたつをのぞくと、毎日が至福の境地という顔の猫たちが、うっとりと薄目で見返した。
戸外で暮らす生きものたちは、そんなのどかなことを言ってはいられない。雪を含んで白っぽく濁った丸浜川の水面には、カモたちが雪をわけて泳いだあとが筋のように残っていた。餌場の近くは筋だらけで、餌を求めるカモの集まり具合がよくわかる。
禽舎のそばのトキワサンザシには、ひっきりなしに小鳥が来ている。二羽で来るヒヨドリは、油断なくあたりに気を配りながら、大急ぎで赤い実をむしる。ヒヨドリが枝を離れると、ツグミがすばやく枝にもぐりこむが、ヒヨドリはツグミを見かけるたびに、目の仇にして追い払う。
雪の中でほかほかと湯気を立てている堆肥置場のまわりは、土がいくらか顔を出していた。雪の具合を見ようとして窓を開けると、茶色の小鳥が地面に下りてしきりに餌をとっている。スズメかと思ったが、よく見ると、このあたりではめったに見かけないカシラダカという種類だった。ホオジロの仲間の小鳥で、特に珍しいものではないが、林と開けた土地の組み合わせが好きで、草原ややぶ地中心の保護区には少なく、これまで観察舎のそばで見たことはなかった。
雪で餌探しにだいぶ苦労しているのだろう。二羽のカシラダカは、窓を開けて見ている私を気にする様子もなく、敷きわらについた餌の残りをせっせとついばんでいる。一羽は雄らしく胸の赤茶色の模様がはっきりして、背中も冬羽の黄褐色から赤茶色に変わり始めていた。時々頭の羽をさかだてる様子が、「頭高」という名の由来をよく示している。
春の繁殖時期に備えて、色鮮やかな夏羽へ衣替えを始めたカシラダカ。大雪に負けず、しっかりね。春はもうすぐそこだ。




