こがらし 1988年1月1日号掲載
新浜だより(行徳新聞再録) 1988年1月1日号掲載
こがらし
空のすみずみまで晴れ渡った日、風にまじって小さなきらきら輝くものが次々に飛んで行くのに気付いた。はじめは鳥の羽かと思っていたが、それにしてはあまりにも数が多い。風が強いのでなかなか正体がわからず、ふと思いついて、だいぶぼろぼろになったオニグモの巣のところへ行ってみると、案の定どっさりひっかかっていた。草の種子。からりと乾いた風にパラシュートをいっぱいに開き、新天地をめざして出発!
青空のもと、陽光を反射しながら、風に乗ってどこまでも飛んで行く種子たち。毎年こがらしが吹くころになると、種たちのあとを追って無性にどこかへ旅立ちたくなる。いってらっしゃい、気をつけて。小さな飛行家さんたち。
あたりまえのことだが、種たちの姿は種類ごとに違う。タンポポなどでよくわかるように、キク科の植物(セイタカアワダチソウ、ノボロギクなど)の種は頭にパラシュートとなる綿毛をつけている。センダングサなどは綿毛のかわりにフォークのような鋭いとげをつけて、通りすがりの動物にがっちりととりついて旅をする。靴下やセーターなどにくっつくと、チクチク痛くてどうにも始末に負えない連中だ。一方、イネ科の植物では(アシ、ススキなど葉の細い草の大多数)綿毛の上に種がすわった形になる。綿毛の長さや種子の形も種類ごとに特徴があるので、慣れてくれば飛んできた種ひとつからでも種類がわかる(ようになるといいなあ)。
今年はよやくススキとオギの見分け方をおぼえた。いったん特徴がわかると、ススキばかりかオギもそこら中にいっぱいあることがわかった。まったく、いつまでたっても、観察舎のまわりにある自然のほんのかけらしか目に入っていないことが身にしみてよくわかった。でも、毎年何かしら初めてのものにぶつかるのは幸せなことだともしみじみ思う。
ところで、11月17日の夕方、西の空を見ていた方、いらっしゃいませんか。この日も、こがらしのあとの洗ったように美しい空に、何と五色の雲が出ていたのです。夕焼け雲はもちろんですが、いわゆる彩雲という現象で、さざ波のようなみごとな絹積雲が緑と桃色に染まっているのを見ました。ほんのいっとき、四時から20分くらいの間しか見られず、消えてしまったのですが、私一人で見るにはあまりにももったいないような美しさでした。
新しい池もどうにか順調。中間報告も無事に終えた。こがらしの中での水の調査は冷たいけれど、がんばらなくっちゃ。
第四日曜にやっています。午後からは暖かい室内でのソーティング(砂やごみから生物をよりわける作業)。どなたでも(小学生以上)できますので、のぞきにいらしてください。よいお年を。




