団地のミミズク 1985年12月13日号掲載
新浜だより(行徳新聞再録) 1985年12月13日号掲載
団地のミミズク
「もしもし、あのう、ミミズクが二日も続けて同じ場所にとまっているんですけれど、だんだん元気がなくなってくるみたいで、どうしたらよろしいでしょうか。」
十一月二十二日、塩浜団地にお住まいの方からお電話をいただいた。夕方、手があいてから見にうかがうということにして、網やサーチライト、軍手、箱などを車に積んで出かけたのは五時二〇分ごろ。
とっぷりと日が暮れた公団住宅をぬけて、案内していただいたのは駐車場の一角だった。せまい芝生が仕切りになっていて、芝生には高さ五mほどの若木が何本か植えられている。支柱がついたまま、枝ぶりも貧弱で、とてもミミズクが止まる雰囲気ではない。すぐ下は舗装された駐車スペースで、ご主人が車を出す時に気がつかれたとのこと。ライトで照らした枝には白いふんの跡があったが、鳥の姿はなかった。どうやら夕方の採餌に飛びたったらしい。
下の芝生を探すと、灰色のふんのようなペリット(毛や骨などの消化できないかすをまとめて吐き出したもの)が二つ三つころがっていた。もう何日もこの木をねぐらとして利用していたことは確かだ。ペリットの大きさからみて、このあたりで越冬しているコミミズクかトラフズクのどちらかと思われた。人通りばかりか車の出入りも多い駐車場の中、それも枝が少ないため周囲からまる見えの植木の枝で、ミミズクが日中休んでいるなんて、ちょっと信じられないことだった。
塩浜小六年の角君が翌朝見に行ってくれたところ、予想通りコミミズクだったとのこと。塩浜グランドや湾岸道路で、獲物のネズミを狩っているのだろうか。夕方は五時ちょっと前にふわりと飛びたち、うす闇の中に消えて行ったそうだ。超近代的な高層団地のまん中で、北極圏から渡ってきた野性味たっぷりのコミミズクがひっそりと暮らしているなんて、考えただけでも楽しくなってしまう。
二十六日に植木屋さんが入り、コミミズクは姿を消してしまった。でもそのうちに、塩浜団地のどこかの木立にねぐらをとっているコミミズクが見つかるかも知れない。野生の友だちと共存できる空間がまだあるとすれば、行徳に息づく自然も捨てたものではないな、と思うできごとだった。
十月末~十一月には例年にない早々としたスズガモ大集合が見られた保護区ですが、十二月に入ってから大群が見られていません。初日の出と大群の飛行が見られるとよいのですが。




