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新浜だより 行徳新聞掲載再録  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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ツルクイナ  1984年11月16日号掲載

   ツルクイナ


 外が何やらさわがしい。

「おばさん、って呼べよ。」

「おまえ、言えよ。」

 何ごとかとドアをあけると、近所のわんぱく連が五人、学校帰りの格好で、持っていた鳥の死体を大事そうにさし出した。これが何と、私にとっては生まれて初めてのツルクイナとのご対面だったのだ。十月二十五日のことである。

 ツルクイナは東南アジアにすむ種類で、日本ではおもに十月、稀な旅鳥として記録されている。大きさも姿もバンに似るが、ちょうどキジのめすのように淡褐色で黒褐色の斑が入っている。足は長く、首もほっそりしてやや長め。この付近では十五年ほど前に何回か記録されているが、観察舎では始まって以来の初記録。おまけにちょうど二百種目の記録鳥種になる。

 ツルクイナの死体が見つかったのは、御猟場正門横の欠真間三角かけままさんかくと呼んでいる船着場跡の湿地のふち。おそらく前日の夜、すぐ上を通る電線に衝突して死んだものと思われる。家庭廃水の流路となり、ゴミが漂着しておよそ美しからぬこの湿地でも、バンやカルガモがヒナをかえし、コチドリやコガモが餌をとっている。ツルクイナのような湿地性の珍鳥が立ち寄ったことで、改めて眺めてみると、ヨシ、ヒメガマ、ケイヌビエといった典型的な湿地植物が、なかなかみごとな群落をつくっている。これで水さえきれいなら、ちょっと他にはないほどりっぱな湿原ではないか。植物のたくましい復元力に今さらのように感心させられた。

 ツルクイナを届けてくれた南新浜小六年三組の曽・倉田・深谷・尾形君、三年一組の藤本君、どうもありがとうございました。

 十月十四日には保護区内の北池で十八羽ものセイタカシギが見られた。冬に備えて移動する前に集まったものかも知れない。ところが二十二日の午後、保護区本土の観察路でタカ類の食痕特有の丸く散らばった羽を見かけ、調べてみると、白と灰色の羽の他に、赤っぽい長い脚が一本見つかった。明らかにセイタカシギの若鳥で、ハヤブサかチュウヒにやられたものらしい。自然淘汰として当然のことではあるのだが、残念。

 ちなみに、この食痕は翌週にはほとんど消え、脚も白骨のようになっていて、風化の早さに驚いた。




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