ホワイトデー特別編 中
本日3話目。
「茜姉さんいる?」
家に帰ってから僕はさっそく茜姉さんの部屋を訪れていた。
ノックをするとしばらくして「はーい」という声とともに開かれる扉ーーー
「たっくんだー。どうしたの?」
ーーーと、同時に僕は柔らかな感触に包み込まれる。
うん、茜姉さんに抱きしめられてるんだろうね。見なくてもわかるよ。
「うん。とりあえず離してくれるかな茜姉さん」
「ぶー・・・最近たっくん反抗期なのかお姉ちゃん悲しいよー」
こんなに素直な弟珍しいってくらい素直だと思うが・・・口にはしない。まあ、世間一般から見たら茜姉さんも珍しい部類に入るのだろうけど、仲がいいのはいいことなのでとりあえず放置で。
「それでその・・・実は茜姉さんに頼みがあってさ・・・」
「なーに?」
「その・・・お菓子の作り方教えてくれない?」
「いーよー」
あっさりとOKしてくる茜姉さん。まあ、拒否はないとは思ってたけど・・・
「ふふふ・・・ホワイトデーに瑠璃ちゃんにあげるお菓子かな?」
「・・・そうです」
しかもばっちりと見抜かれている件について・・・
まあ、あとはたまには茜姉さんにも手作りで渡してみようかなと思っているが・・・それは口には出さないでおく。
「それで何を作るか決めたの?」
「一応、僕でも作れそうな簡単なのがいいんだけど・・・具体的にはまだです・・・」
「うーん・・・じゃあ、ホワイトチョコクッキーとかどうかな?わりと簡単でホワイトデーにぴったりだしねー」
クッキーか・・・確かにそれならキャンディーを手作りするよりは難易度が低そうだ。キャンディー手作りする男子がいるけど、そいつらマジで女子力の塊ですよね。僕にはそんな女子力はない(というかこれで女子力が上がったら本気でそっちの趣味の人にみられそうで嫌だ)ので無理だけど、それくらいなら大丈夫かな?
「じゃあ、それを教えてくれる?」
「ふふ・・・じゃあ、一緒に買い出しに行こうかー」
そうして茜姉さんと材料を買ってきてとりあえずチャレンジするがーーー意外と難しい。お菓子って分量計算を少し間違えるだけで味が変わっちゃうのがよくわかりましたよええ。
「うーん・・・これでも十分美味しいと思うけど、たっくんはホントに真面目さんだねー」
そう茜姉さんに言われるが・・・せっかくの手作りのものを中途半端で渡したくないのは当然だと思う。
何度か失敗して、材料がある限り作ってはみたが・・・僕にはどうにもこの手の繊細な作業は向かないことがわかった。瑠璃さんの女子力の高さを本気で痛感したほどですよ。
何度か失敗を繰り返して、そしてーーー
「うーん・・・とりあえずこれならまだ大丈夫かな?」
なんとか本番前に間に合わせることができた。
途中からは茜姉さんには手伝ってもらわず一人でやっていたが・・・ホントに失敗作の消費が大変なのが問題ではあるよね。順一辺りにそれは渡すとしてーーー茜姉さんと瑠璃さんの分はなるべく出来のいいものを用意する。
ラッピングは・・・あまり凝った作りのものはできないので、100円ショップで売ってるそれらしいリボンと箱でどうにか誤魔化す。最近の100円ショップは色々なものが手に入って便利なのでホントに世の中色々便利になっていることが痛感できましたよ。
そして迎えた3月14日のホワイトデー・・・決戦の時です。




