ホワイトデー特別編 上
本日2話目。
バレンタインデーよりホワイトデーに力をいれたのは達也のヒロイン属性からだろうか(困惑)
「どうしよう・・・」
3月のとある日ーーー僕は珍しく一人でスーパーに来ていた。
目的は食材の買い出し・・・ではなく、3月14日のホワイトデーに瑠璃さんに何を渡せばいいのかの下調べだ。
家にいてもなかなか考えがまとまらないのでこうして出掛けてみたけど・・・やっぱり季節がらかこの手の店はどこもホワイトデー用のコーナーが出来ているのでそこを覗いてみるが・・・
「どうにもしっくりこない・・・」
これだ!という商品には未だ巡りあえずにいた。茜姉さんの分はいつも通りでいいとしても初めての彼女に初めて渡すホワイトデーの品があまりショボいとイメージが悪いし、何より大切な彼女にバレンタインデーの感謝を込めて返したいのでもっといいものはないかと売り場を見て回るが・・・
「困ったな・・・全然いいものがない」
いや、これは言いすぎかもしれないけど・・・バレンタインデーと違って売り場に華やかさがないよね。ここ数年でこれでも結構マシになっているんだけど・・・でもどうみてもバレンタインデーの時のあの売り場の華やかさがないのはやはりリア充男限定のイベントだからだろうか?
本来ならこんなコーナーがあろうがなかろうが困りはしないのだが・・・今年に関しては大切な人に大切に送りたいので慎重に選ぶ。
結局、しばらく見てみたがめぼしいものは見つからず・・・僕は大型のショッピングモールまで足を運んでいた。
ここなら何かあるかもと思ってきてみたが・・・
「そうか・・・これが俗にいう、ホワイトデーの3倍返しというやつなのか」
ブランドコーナーで思わずそう唸ってしまう。
不思議なものだが・・・バレンタインデーはチョコレートというイメージなのに対してホワイトデーというのはどうにもイメージにばらつきがあるような気がする。キャンディーかマシュマロっていうイメージがあるにはあるけど、ホワイトデーの鉄則として3倍返しという言葉があるが・・・それをまさに体現しているのが高価な時計やアクセサリー、バック、衣類のコーナーなのだろう。
「うわー・・・高い・・・」
どれも値段設定が凄い。0が何桁か多すぎる気がするんだけど・・・・しかも、違いがまったくわからない上に店員さんの雰囲気もなんか違うし、居心地が悪いにもほどがある。何より僕にはこんな高価なものを買う甲斐性はない。
・・・言ってて悲しくなるがあくまでも家は一般家計なのでこんなブランド品には縁がないのだ。
まあ、茜姉さんが恋人である正一さんに貰ったらしいブランドの時計やらアクセサリーはあるけど・・・うん?そうか正一さんに聞けばいいのか
僕は急いでブランドコーナーを離れると正一さんに電話をかけてみる。
『おや?達也くんから連絡なんて珍しいね。どうかしたの?』
「実は正一さんに相談したいことがあるんですが・・・今大丈夫ですか?」
正一さんは僕のいきなりの連絡に少し驚きつつも大丈夫だと言ってくれたので僕は端的にホワイトデーのことで迷ってることを話してみた。すると返ってきたのは・・・
『うーん・・・達也くんのあげるものならなんでも喜ぶとは思うけど、その答えじゃ達也くんは納得できないよね?』
「ええ・・・ちなみに正一さんは毎年茜姉さんに何を渡してるんですか?」
『年によって色々だよ。去年はネックレスを送ったかな?』
・・・流石イケメンなお義兄様・・・プレゼントにもイケメン成分が滲み出ている。
『まあ、茜の場合普段からあまり欲がないからこそプレゼントはなるべく似合うものを渡してるだけだから、参考にはならないだろうけど・・・』
「そうですか・・・」
確かに僕には真似できない。一応メイド喫茶のバイトでそれなりにお金は貯めてるけど・・・瑠璃さんの家はそこそこお金持ちなのでそういったものには困ってないし、何より瑠璃さん自身があまりその手の物欲が強くないので逆にプレゼントに迷うくらいだ。・・・うん、メイド喫茶のバイトで貯めたお金を使うのがなんとなく複雑って理由もなくはないけどね・・・
『まあ、色々悩んでみるといいよ。それも愛ゆえの苦悩だからね』
「はい・・・ありがとうございました」
正一さんに御礼を言ってから電話を切ってぼくはため息をついた。
「ん?おう親友!こんなところにいるなんて珍しいな」
そんなことを考えていたら後ろからハイテンションに呼び掛けてくる声・・・うん、まあ、僕の知り合いでこんなテンションで親友呼びしてくる人物は一人しか思いあたらないけど・・・
「順一か・・・」
「おう!なんか暗い顔してどうしたん?」
どうしようか迷ってから・・・ふと、順一を見て思った。
「参考になるかな・・・ねえ、順一はホワイトデーのお返しって普段何をあげてるの?」
こいつは昔から大量にチョコレートを貰ってるからこの手の問題にも慣れてるはずだと思い聞いてみたが・・・順一はそれに面倒そうに答えた。
「あぁ・・・そういえばそろそろホワイトデーか。んー・・・俺は毎年適当にキャンディー買って済ましているかな」
「そういえば毎年配ってたな・・・」
営業スマイルでもこいつから手渡しでキャンディーを貰った女子が歓喜に身を震わせているのを何度も見かけた記憶があった。
もちらんイケメンな親友だからこその芸当で・・・残念ながら僕には真似できないものだった。イケメンさんは皆凄い。
「んで?そんなことを聞いてくるからには彼女への贈り物にでも迷ってるのか?」
「うん・・・」
「お前のあげたものならなんでも喜ぶと思うぞ?」
やはり順一にもそう言われてしまう。うーん・・・確かに瑠璃さんは優しいから喜んでくれるだろうけど・・・
「できればその・・・気持ちを込めたものを渡したいと思ってさ・・・」
「乙女だねー」
「それは断じて違うけどね」
半眼で否定すると親友は笑いながら言った。
「いいじゃん。もしあれなら竜子ちゃんモードで渡せば彼女も喜ぶと思うけど?」
「あれは僕じゃないからダメでしょ」
そもそも日常生活でもあれをやるメンタルはぼくにはないので当然却下だ。
「うーん・・・まあ、ぶっちゃけお前ら仲良すぎるから幸せな悩みというか、それはのろけにしか聞こえないけどな」
「そうかな?」
うーん・・・確かに他人に彼女のプレゼントで迷ってるなんて相談すればどこぞのリア充さんですか?と聞きたくなるけど・・・
「ま、お前の気持ちを込めたものならいいんだろ?だったら手作りとかでもいいんじゃねぇ?」
「手作りか・・・あんまりお菓子とか作ったことないんだけど・・・」
「茜さん得意だから教わればいいだろ?それに、手作りチョコのお礼は手作りって相場が決まってるからな」
言われてみると確かにと思った。・・・お返しの価値は確かに金額で決まるものでもないし・・・試してみる価値はあるかな。
「うん・・・そうだね。ありがとう順一」
「おう!親友だからな!」
イケメンな親友にお礼を言ってから僕は自宅へと足を向けーーー
「頑張れよ竜子ちゃん!」
「その名で呼ぶなー!」
ーーー向けて足を動かした。うん、あの親友には感謝もあるけどいつか天罰があたることを祈るのまじで。




