29 僕と親友とメイド喫茶
「おーい親友よ!」
放課後・・・授業も終わり瑠璃さんとの待ち合わせの場所に行こうとしたら珍しく順一に呼び止められた。
「どうかしたの?」
「おう!久しぶりに遊びに行かないか?」
「あー・・・ごめん。今日は瑠璃さんとの約束があって・・・」
「あ、それなら大丈夫。さっき本人に少しだけ達也を借りると言ってたおいたから」
ん?
「いつの間に・・・」
「んなことよりたまには付き合えよ。少し・・・大事な用事もあるからな」
「まあ、瑠璃さんが大丈夫ならいいけど・・・」
というか、もはや僕は瑠璃さんの所有物扱いなのでしょうか?・・・・深く考えたら負けだな。うん。
瑠璃さんが大丈夫っていうなら僕からは何も言うまい。
そう考えていると不意にポケットにいれていたスマホが震えだした。
取り出してみると瑠璃さんからのLINE・・・
「お?なんでいきなり赤面してるんだ親友よ?」
「な、なんでもない!そ、それより行こうか!」
「お、おお、そうだな」
無理矢理気味に順一を納得させるとそのまま鞄を持って教室を後にする。
瑠璃さん・・・『ご飯作って待ってるね❤』は卑怯ですよ・・・・思わず赤面してしまったよええ。
「そういえば順一と遊ぶのは久しぶりかな?」
ここ最近は瑠璃さんと帰る道を男二人で歩く・・・なんとも味気ないが仕方無いだろう。
「まあ、お前はここ最近は彼女といちゃいちゃに夢中だったからな」
「べ、別にいちゃいちゃは・・・」
否定しようとするが・・・あれ?ヤバイ・・・否定できない・・・
「ところでどこ行くの?」
「ん?ああ、メイド喫茶だ」
・・・・・・はい?
今こいつはなんて言った?
「ごめん聞き間違いかも・・・」
耳がおかしくなったのかな?瑠璃さんに甘噛みされすぎてふやけておかしくなったのかな?
「だから、メイド喫茶だ」
「うん。帰っていいかな?」
くるりとターンした僕の肩を掴む順一・・・てか・・・
「あのな・・・僕一応彼女いるんだけど・・・」
「まあまあ、親友よ・・・わかってるから何も言うな。それに許可なら得たから大丈夫だよ」
「許可?」
「彼女さんにとある条件で許可を貰ったから大丈夫だ。とにかくついてきてくれ」
「瑠璃さんが?本当に?」
いまいち信じられないような・・・あの瑠璃さんが僕がメイド喫茶なる場所に行くのを簡単に許すなんて考えにくいような・・・
「本当本当。とりあえず大丈夫だから、な?」
「まあ、いいけど・・・」
「あ、でも先にゲーセン寄るか?久しぶりに音ゲーで遊ばない?」
「・・・・夕飯までに帰れるならどこでもいいよ」
諦めて僕は順一についていくことにした。
何やら裏がありそうで怖いが・・・まあ、瑠璃さんが大丈夫と言ったなら大丈夫なのだろう。・・・多分、メイビー。
しかし、僕はこのとき大きな過ちを見落としていることには気づかなかった。
瑠璃さんと順一・・・・この二人が揃った時にあった過去の大きなトラウマクラスの出来事の存在をぽっかりと忘れて、あまつさえ「メイド喫茶」という単語と瑠璃さんが許可をしたという点に疑問を抱くべきだったと後悔はすることになるだろう。




