閑話 『烈兎隊』部下からの報告に・・・
本日3話目です。
次辺りに達也が・・・?
「なんですって?」
達也の家からの帰り道・・・雲雀瑠璃はその部下からの電話に眉を潜める。
『はい・・・連中の様子を探っていた奴等からの報告によれば間違いないかと・・・真由美様と密会されているのを密偵が報告にあげておりますし、虚偽の可能性は低いかと・・・』
「そう・・・やっぱり真由美が・・・」
部下からの報告に表情を一瞬歪める瑠璃だが・・・すぐにキリッと表情を引き締めた。
「いずれにしても、警戒を怠らないこと。後、不審な動きがあれば即座に報告をすること。いい?」
『はい!姐御!あ、あとそれと・・・これは未確認の情報なんですが・・・例の連中とグルと思われる女なんですが・・・どうにも最近、達也様のご自宅付近での目撃が報告されています』
「本当に?」
『あくまで報告のみなので断言は出来ませんが・・・もしかしたら達也様の身を狙われているのではないかと・・・』
「そう・・・」
瑠璃の声のトーンが低く・・・そう、どこまでも底冷えするほどに低くなったことに部下は恐怖しつつ、慌てて付け加える。
『あ、あくまで可能性の話です!大丈夫です、姐御!達也様の周りには何人かの護衛を常に潜ませていますし!』
「それでも万が一・・・がないとも限らないわ」
そう・・・部下の言う通り達也の周りには、本人は知らないところで常に何人か護衛と監視を含めた人員が設けられている。
そのことについては、幹部のメンバーは元より、達也本人すら預かり知らぬことだが・・・
「その護衛は大丈夫なの?」
『はい!皆忠誠心の高い精鋭のみのメンバーです!』
「それならいいけど・・・いずれにしても、真由美が裏切る可能性があるなら、間違いなくタツを狙うかもしれないし・・・十分注意して事に当たって」
『はい!命に変えても!』
「よろしく」
その言葉とともに電話を切り・・・ため息をつく。
せっかく、達也と楽しいひとときを過ごしたのに台無しだと言わんばりの(むしろそうとしか思えない)ため息をつく。
幹部の一人である真由美のここ最近の自身への反発から近いうちに何かしら動きがあるかも・・・とは、予感していたが、実際に危惧していた事態になりそうなことに内心で舌打ちをする。
(真由美が黒なら・・・間違いなくタツが狙われる可能性が高いわね)
瑠璃にとって、もっとも危惧すべき事態は組織への幹部の裏切り・・・ではなく、そこから生じる達也への危険に関してがメインだ。
もちろん、組織のリーダーとして、組織のことについては考えてはいるが・・・瑠璃としては先代の指名と周りの支持が無ければとうの昔に『烈兎隊』から遠のいて達也とイチャラブしているつもりであった。
今でもかなりラブラブではあるが、瑠璃としてはまだまだ全然足りない・・・どころか、達也が奥手でなければ子供を身ごもって、既成事実を作るくらいはしていただろう。
ただ、瑠璃自身、一応、妊婦の体で達也を守ることの難しさや組織の体裁・・・・あとは達也の気持ちを慮り、できるだけライトに過ごしてはいるが・・・それも若干限界にきていた。
(いずれにしてもタツに手を出すようなら・・・始末するけどね)
夜道で薄ら笑いを浮かべた瑠璃の姿は・・・目撃者がいればかなりの迫力に思わず土下座していたであろうぐらいであった。




