クリスマス特別編 上
メリークリスマス・・・クリスマスイブに甘さが欲しい方のために特別編を更新します(°▽°)
クリスマス・・・それは恋人や家族と過ごす素敵な日・・・なんて誰かが言ってたけど、ある意味リア充のみの特別な日だと僕は思っていた。
実際、親友の順一はその例に漏れずにその付近になれば女の子がこぞって順一の予定を聞いて誘ってきたり、あるいは裏で順一を巡る熾烈なバトルを繰り広げていたりと忙しそうだったが・・・あいつは何故か毎年僕を誘ってくるので謎だ。
例年通りなら、僕も順一と過ごすか、家族で祝う(場合によっては何故か茜姉さんのデートに付き添う)のだが・・・今年は僕も一緒に過ごせるかもしれない人が出来た。
「あ、タツ。クリスマスイブは私と過ごすの決定だからね」
・・・・というか義務づけられた。
12月20日の本日、僕は瑠璃さんと放課後デートを楽しんでいたらさらりとそう言われた。
「いいけど・・・瑠璃さんは家族と過ごさなくて大丈夫なの?」
ちらりと脳裏に浮かんだのは何度も会ってる瑠璃さんのご両親の顔・・・ガタイのいいお父さんと瑠璃さんをもっと大人にしたような若いお母さん。
い、いや・・・何度も会ってるって普通の高校生のカップルとしてはどうなんだと思うかもだけど・・・結構頻繁に瑠璃さんの家にも行くようになったし、何より二人とも歓迎してくれてるから何も言うまい。
まあ、それはともかく・・・あの二人と何か予定があったりしないのかな?
「うちは行事事とかあんまりしないからねー、それに・・・」
瑠璃さんはそう言って僕の鼻先にチョンと人さし指を添えて笑みを浮かべた。
「せっかくなら大好きな恋人とイブを過ごしたいからね」
・・・・・さらりとそう言われてしまえば僕にはNOとは言えない。
というか、付き合ってもう半年以上なのにいまだに瑠璃さんの些細な言動一つで赤面している僕が変なのかな?
「わかったよ・・・」
「よろしい」
にっこりと頬笑む瑠璃さんに腕を組まれてさらに赤面してしまったのは言うまでもないだろう。
「クリスマスか・・・」
瑠璃さんとのデートが終わり自室へと戻ってから僕は少し感慨にふける。
去年の今頃はこんなことを考えたりはしなかったけど・・・ん?あれ?
「プレゼントどうしよう・・・」
考えてみたら女の子・・・いや、恋人とのクリスマスイブって、何かしらのプレゼントが必要なイメージ(僕の偏見)があるけど・・・瑠璃さんに何をあげたら喜んで貰えるのかな?
ブランドのバックとか・・・いや、金銭的に無理だし、瑠璃さんはあんまり高価なものは好きじゃない。
服・・・そもそも女の子の服とか分からないしサイズも・・・間違えたら悲劇だ。
ていうかそもそも・・・
「瑠璃さんって、あんまり物を欲しがったりしないしなぁ・・・」
恋人に何かを強請るっていう話をよく聞くけど、瑠璃さんから何かを買ってと強請られたことはない。
僕からプレゼントしたりしたことはあっても、瑠璃さんはあんまりお金のかかることを好かないようだし・・・それに、なにより瑠璃さん自身の家がそこそこお金持ちのようだから、そうする必要がないのだろう。
そうすると必然的に・・・
「どうしよう・・・」
こうなる訳で・・・うーん。どうしよう・・・
仕方ない。こうなったら・・・
「同じ女性に聞くしかないか・・・」
重い腰を持ち上げて僕はそこへと向かう。
「あら~たっくん。どうかしたの?」
部屋をノックして出てきた茜姉さんに顔を確認された瞬間に抱きつかれた僕・・・うん、これがあるから来たくなかったのに・・・ていうか・・・
「ね、姉さん・・・く、苦し・・・」
「あら~ごめんなさいね」
解放されてようやく息を吸えるようになった僕・・・うん、息が出きるのは素晴らしいね!
って、そうじゃなくて・・・
「ちょっと茜姉さんに相談があって・・・」
「相談?」
「うん。実はクリスマスなんだけど・・・瑠璃さんに何かをプレゼントしたいんだけど、いいものが浮かばなくて・・・」
「あらあら」
僕の言葉に茜姉さんは珍しく少し困ったような表情を浮かべた。
ど、どうしたの?
「うーん。たっくんは、瑠璃ちゃんが何を欲しいか分からないの?」
「うん・・・」
「そう・・・」
しばらく考えるような仕草をしてから茜姉さんは優しく微笑んだ。
「たっくんがあげるものなら多分瑠璃ちゃんはなんでもうれしいと思うよ?それにプレゼントを人に聞いて買うのはマナー違反だよ?」
やんわりとそう言われてから・・・確かにとも思った。
元来、プレゼントって、渡したい気持ちが大切なのであって・・・中身は僕本人が真剣に選んだものの方がいいのだろう。
でもそうすると・・・
「女の子が欲しいものが分からない・・・」
結果的にはこうなる訳で・・・まあ、確かに瑠璃さんなら何を贈っても喜んではくれるかもしれないが・・・出来れば本当に嬉しいと思ってもらえるものを贈りたい訳で・・・
「うーん・・・たっくんはさ、瑠璃ちゃんと一緒に過ごす時間が長いから何気ないちょっとしたとこを思い出して見るといいかもね」
「普段の瑠璃さんかぁ・・・」
そう言われて思い出しているのは悪戯っぽい笑みを浮かべる瑠璃さんの姿・・・あ、待てよ・・・
「ありがとう茜姉さん」
少しはヒントになったかもしれない!
こらならいけるかも!
「ふふ・・・頑張ってねぇー」
優しく微笑みながら僕を見守っていた姉さんにお礼を言って部屋を後にする。
クリスマスイブは近い・・・




