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お母さんの説明が長い

たまにいますよね。

どう考えても口が滑りました。


「3人……ほんとに?」


ほんとは隠れている人7人とここにいる私とお母さんとフェルで10人なんだけど…


普通の一般人はプロのアサシンさんたちが必死に気配を消しているのにそれを看破するなんて芸当できないわけですよ。


「うん、3人」

「ざんねんでしたー。正解は10人です」

「えーうそだー」


棒読みになったのは仕方ないよね。

だって知ってるし。

それに私は知ってるんだ。

床下にいる人が今必死にゴキちゃんと音を立てないように格闘してるってこと。


「ライカちゃんには紹介しておくわね。みんな出てきて」


そうお母さんが言うと壁が回ったり天井が開いたり床が開いたりして中から黒装束に身を包んだ人たちが出てきた。

ここは忍者屋敷なのかな?


「この人たちはイース家に代々仕えてくれている家臣たちよ、諜報とかを主な仕事としているわ。『影』とか『闇』とか色々な呼び方があるけどうちでは『黒』って言う名前で統一してるの。これからはこの7人がライカちゃんを守るからね。」


アサシンではないんだね。

というかまさかの監視役ですよ。

監視というよりはSPとかボディーガードみたいなものなんだろうけど……見張られてるのはなんか嫌だね。


「今日からライカ様の護衛を勤めさせていただきます。リーダは私がしておりますので御用の際は私にお申し付けください。」

「うん、わかった」


でもさ、君たち見た目がほとんど一緒だからそれなりにできる人じゃないと見分けつかないよ?


「忘れておりました。私のことは『イチ』とお呼びください」

「は、はぁ。わかりました」

「よかった…じゃあライカちゃんさっそくだけど着替えましょうか?」

「え?」


さっき着替えたばかりだと思うんですが…


「その格好じゃ体を動かしにくいでしょ?」

「うん」

「だから着替えるの」

「はい」


これ私物なんですけど…大丈夫だよね?

まぁミーシャが買ってきたとか言って誤魔化せば…誤魔化せるよね?


そんなわけでついてきたらウォーキングクローゼット。

服屋かと思うくらいにドレスとか可愛かったり綺麗な服が色々と手前にはあった。

手前にはいかにも貴族らしいものばかりだった。


ただ奥に行くにつれて…

肩口が豪快に破れてる道着とか甲冑とか革鎧とか鎖帷子とかなんだかバトル要素が強くなって来ていた。

しかも結構いいものばかりだ。

とは言っても私が作った普通の服の方が性能が一段階ほど良かったりする。

アラクネの糸は硬いし強いし柔軟だからね。


というか段々と地下に言ってる気がする。


ここまで来るのにもう2つほど隠し扉らしきものを通ってるし…さすが忍者屋敷!


移動の間お母さんはずっと私から手を離さなかった。

手を繋いで歩くなんて親子らしくていいよね!


「ライカちゃん。到着したよ。」


お母さんがそう言って扉を開くと


「おおおおぉぉぉ」


なかなかの広さの地下空間が広がっていた。

そこでは数十人の人たちが組手をしたりトレーニングをしたりと自分を鍛えていた。

ぱっと見だとそれぞれそれなりに高いレベルだろう。


「ここはイース家が誇る地下訓練場よ!ちなみに『黒』の本部でもあるわ」

「秘密基地っぽくてよくないですか?」


『イチ』がそう話しかけて来た。

他の6人は黒装束から訓練着に着替えている。


「さぁライカちゃんも訓練着に着替えましょうか…ミーシャ」

「はい…特注のものですにゃ」

「はい両手をあげてねーバンザーイ」


私は言われるがままに服を脱がされた。

私の体を見られるのが気にくわないのか、フェルがすぐに布で周りを囲っていた。


別に脱がされるのはもう慣れたからいい。

ブラを外された挙句パッドを没収されたのも構わない。


でもサラシはキツイんです。


「せめてスポーツブラ…」

「ダメよ?汗をかいて蒸れたら大変ですもの」

「サラシだって…」

「サラシを巻いておけば私みたいに胸が大きくなるわよ?」

「ほ、本当ですか?!」

「うん、根拠はね……「申し訳ございません奥様、ここは訓練場ですので場所を長くとるわけには…」

「わかったわ、フェル」


まぁ色々あって私の着替えが完了した。


「ライカちゃん可愛い!」

「ありがとうございます…」


胸にぎゅっと顔が押し付けられているんです。

ちょっと苦しい。


「じゃあライカちゃんにはこれから訓練をしてもらうわ」

「はい!」


最近動けてなかったので結構楽しみではある。

令嬢として正しいのかはわからないけど。

多分間違ってる。


「じゃあまずは槍ね」


私は木製の槍を受け取る。

お母さんは私に背を向けて訓練場で槍を使っている人を指差しながら話を始める。


……長そうだなあ。


私は槍を構えて基本の動きをする。

突き、薙ぎ、打ち、そして流れるように動きを繋ぐ。

うん、まぁまぁかな。

ちょっとの間触ってなかったせいで腕が鈍ってるかもしれない。


「……と間合いが取れることによっての有利性は高いわ。剣で槍に勝つには3倍の腕が必要とも言われているわ、わかったかしらライカちゃん?」

「うん、わかった!」


要は槍は強いってことでしょ


「さて、まずライカちゃん…“気”の扱い方について知っているかしら?」

「なんですかそれ?」


マナはわかる。

マギナさんに教えてもらったし。

神気もわかる。

クライブが私の中にあるよって教えてくれたし。

そうなると…私が昔に体の中の混ざってた力を純粋な3つの力に分けた時の残りの一つってことかな?


「うーんとじゃあマナってわかるかしら?」

「はい、わかります」

「じゃあマナが魂の力のあまりっていうのはわかるかしら」

「全く知りません」

「えぇ…」


お母さんがなんか絶望というかどよよ〜んってしてる。

知らねーよ!マギナさんは魔法の使い方を教えてくれただけだし!『頭の中で術式を構成してそれを発動させてねー』って感じだったし!

マナのことなんか教えてもらってないし…


「じゃあまずはそこからね。私がちゃんと教えてあげるから安心して」

「……うん!」


後から神様文庫を見てくるか…というか今から見ようかな



私は神眼を発動させて神様文庫に意識を飛ばした。



ーーーーーーーーーーーーーーーー


ふっと視界が開ける。

周りには本、本、本。


「さーてと、マナについてーマナについてー」


私がマナや気、神気について詳しく調べようと思ったその時後ろから声がした。


「えぇ!?ライカちゃんじゃないの!?

どうしてここに?!」


本を抱えていたマギナさんは驚いたような声と顔をしていた。


「どうしてって調べ物?」

「いい?ライカちゃん。ここは私の自室の一つ…というか私が管理している場所の一つなの。あまり長くいていい場所じゃないわ」

「えっ…そうなんですか」


普通に小説とか読んでたけど大丈夫だったよ?


「とにかく!どうやって入ったか知らないけどライカちゃんにとってここは危険な場所なの!それに色々と責任問題とかあるし。ライカちゃんはここへの立ち入り禁止!」


そうマギナさんがいうと私の足元が輝いて気づけば元の場所へと意識は戻っていた。




「軽く幽体離脱して神域に来るとかあの子は何考えてるのかしら…ふふっ本当に見てて飽きないけどもうちょっとセキュリティの強化が必要ね……はぁ」


ライカを追い返したマギナは嬉しそうにしながらも神域のセキュリティの組み直しを余儀なくされたためにため息をついた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



マギナさんに追い返されてしまった……


「ライカちゃーん」

「はい…」

「元気ないけどどうしたの?もう疲れちゃった?」

「なんでもないです」


お母さんが話し始めようとした時周りの人が不憫そうな目でなぜか私を見てきた。


「じゃあ続きを話すわね、マナは精神力……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………というわけなのわかった?」

「はい、わかりました」


お母さんの話がとても…それはとても長くなったので要約すると


『マナは精神力の余剰エネルギー、つまり魂の力であるため気分の浮き沈みやその時の精神状態によって回復のしやすさが変わりやすいということ』

『気は生命力の余剰エネルギー、つまり肉体の力であるため体調によって回復のしやすさが変わりやすいということ』

『マナは万能だが自分の肉体に関することだけならば気の方が遥かにコストパフォーマンスが良いということ』

『獣人はマナが少ない代わりに気を貯めることができる唯一の種族だということ』

『マナと気の他にも仙気や竜気などと色々な変わり種の気もあるということ』


……うん、一度に説明することじゃないよね。

しかも専門用語バンバン使うの。

気の流れはまだいいよ、点穴とか何?

わからないワードはすぐに鑑定とか色々を使って調べた。

仙気って神気の下位互換ですか…

竜気があるかもしれない…と思ったけどなかった。


「お腹のちょっと下、ここら辺に暖かいなにかを感じないかしら?」

「はい…感じます」


お母さんの指導のもとで私は気の扱いをマスターしたのだった。


ステータスを見ると新しく


気の理5 というものが追加されていた。


「まぁ獣人にとって気の扱いは本能みたいなものだからこれぐらい早く覚えるのも普通ね。といってもやっぱりライカちゃんは特別早いし上手だけど。じゃあやっと槍の扱いについて教えれるわね」

「はい!」


正直に言おう。


槍はあまり得意じゃないけどお母さんよりは使えるのです。

そんなことを思っていると


「『三連突き』!」


お母さんがそういうと綺麗な突きを三連続でした。


「これが武技よ。これを何回も繰り返すと自然と型が身につくわ」


また知らない単語が出てきたんだけど。


「武技ってなんですか?」

「…もしかして知らない?」

「はい、全く」


お母さんが話し始めようとした時今度は周りの人が目を合わせてくれなくなった。


「それはね……」


長かったので割愛します。

要するにステータスの武術に関するところをタップするとその武技っていうものの名前の一覧が出て来るそうです。

でその名前を言いながら攻撃しようとすると武神の加護が一時的について身体が勝手に動くのだそう。

その時にマナを使うらしいので獣人はあまり使わないとか色々教えてくれたけど。


「奥様少しよろしいでしょうか?」

「フェル…今説明中なの」

「御夕食の時間でございます」


時計を見ると7時だ。

良い子ならば後2時間ほどで寝なければならないだろう。


どうやらお母さんは自分の持っている知識を話し始めるとだいぶ時間を使う人のようだ。


結局私は体を動かすことが出来ず、なんというか生殺しな気分でリビングにお母さんと一緒に戻るのだった。


フェル、もう少し早めに割り込んでくれても良かったのに…


「お嬢様の為でございます」


また考えを読まれた?!

一方的な会話はあまり面白くないと感じる時と面白いと感じる時があるのですが、その違いはなんなのでしょううね。

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