表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/64

38〜クライブ、枕元に立つ〜

孤児院に入ってから一週間が経った。

食事は一日3回。パンとスープだけ。

でもここの子供たちはみんな明るかった。


「ねぇ!今日は何して遊ぶ?」

「そうだなぁ…かくれんぼなんてどう?」

「えー。鬼ごっこがいいー」

「ライカちゃんも一緒に遊ぼ?」


こんな感じ。

もちろん鬼ごっこもかくれんぼもする。


ふふふ…私の探知スキルと隠密スキルをなめないで欲しいな。


大人気なくなんてありません。


「私は鬼ごっこがいいかなぁ」


私の俊足スキルを見せてあげようじゃないか!


そんなスキルないけど!


ーーー


「みんなー!昼ごはんよー!」


シスターがそう叫ぶ。

もう一度言おう。叫ぶのである。


「「「「「「「はーい」」」」」」」


そんなわけで鬼ごっこを終了して孤児院の中へ


「ライカちゃん早すぎ」

「次はライカちゃんが鬼で始めようぜー」


そんな褒められても…何も出ませんよ?

そんな時ひとりの男の子が青空の下、地面に大の字になって倒れた。

「ぜぇぇぇえええ…はっはっはっ」

「ジャフゥゥウーー!死ぬなー!」

「ぜぇぇぇえええ…はぁはぁ大丈夫だ…ガフッ」

「「ジャフゥゥウ!!」」


鬼ごっこしただけなのに満身創痍になっているジャフくん可愛そう…


私たちはだいたい一時間くらい鬼ごっこをしていたんだけど、今になって思えばよくそんなにつづけられたなぁ、と思う。

鬼ごっこのルールはタッチされたらタッチされた人が鬼になってだんだん鬼が増えていくタイプの奴。


そのせいで最後はみんなに囲まれたけど、無事昼ごはんまで逃げ切ってやったよ!


…でもやっぱやりすぎた感。


まだ鬼ごっこwith立体機動&リミッター解放ではないので全力とは言いがたいのだが…


よく考えてみればいつのまにか人間辞めてた私と子供では肉体スペックが違いすぎるような気がします。


改めてリミッターの重要性を理解した。

そんなのなくてももうドアノブ潰したりしませんけど!一応です。一応。


そんなわけで私、不完全燃焼なう。


「ジャフ…また土だらけになって…全く世話の焼ける子だねぇ…」


シスターが怒っている。

どちらかというと笑顔なんだけど、神さま印の私の神眼はちゃんと怒りの感情も見透す。

やっぱ神眼の名は伊達じゃねぇぜ…というかもう色々視えちゃってるせいでプライバシーのかけらもないというか…あわわわ。


呆れ少しと愛情が大半、残りは心配の気持ちでいっぱいのシスターはみんなを連れて食堂に入る。


この孤児院にはだいたい子供が30人くらいいる。

ほとんどの子供は10歳になると冒険者になって出ていくのだそう。

あと12歳になったら出て行かないといけないらしい。


「みんないるねー?手は洗ったかい?じゃあ手を合わせて…」


質素でありながら掃除の行き届いた食堂でみんなが手を合わせる


「精霊様に感謝を、いただきます」


それに続いて『いただきます!』と大きな声が響いた。


クライブさんや…精霊に負けてますぜ。

というかよく考えたら私が精霊の元締めやってるらしいんで、自分に感謝をしながら食べるという不思議感覚。


自分!ありがとー!


ほんといつ精霊の元締めになったんだろう…


=生まれつきだね=


ん?この声は…クライブ?

何っ…あのポンコツ神が人の心を読む…だと


=ひどい言いようじゃないか、というか立派な神殿の建設ありがとう。グズッ本当に、ここまで長かったんだよぉぉグズッ=


そんなの建てた覚えないっす。

というか泣かないで欲しい。

鼻すする音がうるさいんだよね。


今食事中!


=君の眷属たちが敬虔な主神信者で僕は嬉しいよ…うん=


あっパンうまー。スープもあっさりしててうまいなぁ…でもちょっと物足りないよなぁ


=そもそも(夜ごはん)眷属なんて私には(はドラゴンステーキ)いませんよ(がいいなぁ)=


=ぜんぜん言ってることと考えてることが違うんだけどっ?!…まぁそんなことはいいや。ほら森の。ワンチャンやウサギさんだよ=


=あの子たち(でも抜け出す)私の眷属だったん(と色々とめんどくさく)ですか?!(なりそうだなぁ)=


=本当器用だね…で要件なんだけどそろそろイース侯爵様がそちらに迎えに上がりますよーって話=


=へぇー……=

=もっとリアクションプリィィィッズ=

=わーい。すごーい。やったー。これでいいですね?=

=オウ…辛辣…じゃあねライカちゃん=

=今度酒でも作って送るって皆さんに伝えておいてくださーい!=

=えっまじ⁈ありがとー!ヒャッホー!=


通信が切れた。

食事も終わった。

さて、何やろう。


というかいつのまに神殿作ってたんだ…


やることもやれることもあんまないから神様ライブラリでも覗くか…

本当の名前はアカシックレコードっていうらしいけど。


どっかで聞いたことあるような無いような。

アカシックレコードって何?

まぁどうでもいいか。


ちなみに神様ライブラリを見るときは目を瞑るだけでOK。

何かがわからなくてもいつでもカンニングできるなんてサイコーですな。


さてさて錬金術とか鍛治魔法なんて色物も面白そう…


ーーー



〜少女読書中〜



ーーー




ライカ


スキル

錬金の理2←new!

鍛治魔法の理2←new!





……実体験を伴わない知識は意味がない、と思っていた頃が私にもありました。


しばらくするとあいつが襲ってきた


思わずあくびが出る。

瞼が勝手に閉じていく。


そう、眠気である。

私はこの強敵に抗う術を持たない。

睡眠耐性とかあるけど体が子供だから仕方ないか…


寝る子は育つ!ついでに胸も育つ!というか育ってくれ。エルフとドワーフはツルペタというイメージがあるのでとても不安なのだ。

まぁありすぎても困るとは思うけど。


「シスター眠たいから寝てくる」

「あぁ、わかったよ…夜ごはんの前には起こすからね」

「おやすみ…シスター」

「おやすみ」



そして私は夢の世界へと…旅立てなかった。



ガタガタガタガタガタガタ


馬車の車輪の音が響く。


うるさい!


そして馬のいななきと共にうるさい馬車の音も消えた。


扉が開く音がする。


私は静かになったので寝ることにした。


今度こそ、おやすみなさい。


zzZ



ーーー


「僕たちの間には子供ができないと知っていたけど…」

「やっぱり子供は欲しいよね…」


揺れる馬車の中、男女は語り合う。


「僕がエルフに生まれなければよかったのに…」

「そんなことないわ!私はエルフのあなたが好きだもの!私こそ…獣人でなければよかったのに…」

「僕だって獣人の君のことが好きだよ!」


人類が砂糖を吐けるならばそこら辺の家一つが砂糖で埋まるくらい甘い空間がそこにはあった。


「だからって孤児院から引き取るのは…」


耳の長いエルフの男はどこか躊躇った様子。


「大丈夫…昨日夢で見たんだ…私たちの娘にふさわしい子が孤児院にいるって」


そう狐の獣人の彼女が言うとエルフの男は少し目を見開いた


「そうなのかい…君も見たんだね」

「あなたも見たの?」

「うん…同じ夢を見るなんて…やっぱり僕らは運命で結ばれていたんだよ…」

「レイン…」

「ソニア…」


二人が揺れていない馬車の中、見つめ合う。

ちなみに枕元に立ったのはクライブその人である。

因果を捻じ曲げる(物理)をやり遂げた彼は後でリーブさんきっちりオシオキをされたらしい。


「んんっんっん…」


そこに獣人の執事が咳払いをした。


「奥様、旦那様。孤児院に到着いたしました」


「せっかくいいところだったのに…」

「まぁいいわ。行きましょう?」


ソニアと呼ばれる獣人の女性が手を差し出す。


その目の奥深くでは『早くエスコートしてくれないかしらゴルァ…でもレインのためならいくらでも待てるわ…』と言う意思がひしひしと感じとられる。


俗に言うヤンデレ(デレ98%ヤン1%シークレット1%…ただしレインに限る)だ。


しかしこのレインという男場の空気を読めていない。


相当鈍い彼は先に馬車から出ようとする。


がそれは執事が許さない。


「旦那様。奥様がお待ちです」


執事はそう密やかに旦那様へと伝える。

彼女は怒っているのだが容姿が綺麗系ではなく可愛い系なので怖くは見えない。


「ソニア…悪かった…」


レインがソニアに口づけをする。


「んっ…もう…ずるいんだから…」


これで家五軒分の砂糖は吐ける。

流石の執事もその立派なケモミミが垂れるくらいの甘い空気に口を挟もうか迷う。


「そのようなことは寝室でお願い致します…」


執事がそう平坦な口調で言うと少しばかり二人は顔を赤くした後


「じゃ、じゃあ行こうか」

「は、ひゃい」


そうして二人は馬車を降り孤児院へ向かう。


「シスターはいるか?」


レインは孤児院のドアをノックしてからそう言った




PVが10000ほど来ました!

ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ