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31〜まったりスローライフ1 前編〜

書ききれなかったので前編後編と分けました。

変形したフォークとナイフ。

割れた木の皿。

飛び散る肉。

空中を舞うサラダ。

穴の空いてしまった床。

天井に頭から突き刺さっている私。

頭から壁に突き刺さっているフェイリルさん。



この惨状は私がちょっとミスったので起きてしまったんだけど……



発端は2時間前に遡る……




ーーー


「おはよう…フェイリルさん」


私がそっちの気があると勘違いされてから一日経った。

私はすぐに訂正しようとしたのだが


『大丈夫です。私たちは主人のことをよくわかってますから。そんなに恥ずかしがらなくてもいいんですよ。』と、確実に誤解されたままになっている。


私の説得も虚しく私は女の子なのに女の子が大好きな人種と確定されてしまった…くそぅ。


しょうがないので開き直ってフェイリルさんと女子会を開いてやろうと私は考案する。


ところで関係ない話なのだが『人生は開き直りと諦めが肝心だ』とうちのじっちゃんがいっておりました。

よく考えたらクソジジイだな…


さて一人脳内女子会議ばかり開いている私ですが本当の女子会に参加するのは初めてだったりします。


「おはようございます。ライカさん。」


フェイリルさんは私のことをちゃんとひとりの女性として扱ってくれる。

クライブ達は…おっといけね、一応主神様だったわ。

クライブ様達は私のことを子供扱いして来るし、フェル達と森の住人達は私のことを主人様って呼ぶし、前世では『先輩!』とか『これもお願いします』とかそんな風で友達なんていなかったなぁ…と。


あれ?私、悲しい子じゃない?

なんか涙出てきた。


「あわわわ、ど、どうしたんですか?」


フェイリルさんがうろたえている。

長かった髪は肩のあたりまでバッサリと切っていてイメージがガラリと変わった。

まぁ美人さんなのは変わらないけどね。


「ぐすっ、別になんでもないです…ただちょっと悲しいことを思い出しちゃっただけで…」


友達いないとか悲しいよね…


最後に友達がいたのいつだっけなぁ


大学…いないな。みんな彼氏が居たらしく一人カラオケを月一でしたのはいい思い出だなぁ。


高校…もいなかった。なんかみんな私を取り巻いてキャーキャーと悲鳴をあげてたりしたし…その時に苦笑いをしてやり過ごすんじゃなくて話しかければなんか変わったのかなぁ……はぁ。


中学…は……『番長』とか呼ばれてたな…

忘れよう。

柔道の授業の後ってなんか試してみたくなるじゃん?

荒れてたんだよ。

アニメの必殺技の名前を叫びながら喧嘩腰の人を撫でてた(比喩表現)のは私の中の黒歴史。


小学校は流石に居たかなぁ。

もう覚えてないや。




「ライカさん…かわいそうに…今日1日はリラックスして一緒に寛ぎましょう?」


フェイリルさんが私を抱きしめてくれた。

あったかくてなんか癒される。

お母さんはこんなことしてくれなかったなぁ。

いつも『勉強しなさい!』か肉体言語で語っていた気がする。

もしかしなくてもDVですね。

そのおかげで自然と護身術(過激)が身についちゃったんだよね。それもあって『番長』に…まぁ誰にも怪我をさせずに制圧していたんだけど


前世の話はもうやめよう…



「辛いことがあったんだよね…もう大丈夫だからね…」


天使だなぁ、実に天使している。

一気に疲れがきた。


こっちにきてから頑張りすぎだったのかな。


私はリラックスして何も意識しずにただぼーっと少しの間過ごした。




■■■■■■(フェイリル視点)■■■■■■■



ライカちゃんに『おはよう』と言うとライカちゃんの目が突然ウルウルし始めていた。


なななな、何がダメだったのだろうか?


とにかく慰めないと。


私は何も考えずライカちゃんを抱きしめた。

綺麗な銀色の髪はサラサラで小柄な体は常に力が入っている。

胸に抱き寄せるとライカちゃんから森の清々しい香りがした。


これが体臭なの⁉︎


人とは思えないくらいに可愛いけど…


それからライカちゃんは遠くを見つめて少しの間ぼーっとしていた。


すると全くマナが漏れていなかったライカちゃんから少しだけ、ほんの少しだけマナが漏れてきた。私が感じるのがギリギリなくらいの少ないけど揺らぎのないマナ。

どれだけこの子は弱って いるのだろうと私は少し抱きしめる力を強くした。

すると力が入っていて強張っていたライカちゃんの体から力が抜けていくのを感じ取れた。


「ライカさん?」


私がそう聞いた時には彼女はスヤスヤと天使のような……とにかく!すっごい可愛かった!


キュルキュルとライカちゃんのお腹が鳴る。


そういえば朝から何も食べていない。


それにつられて私のお腹もぐるぐると鳴る。


私は天使だ。

でも天使だって食事は必要だし睡眠だって必要だ。

ただ3日に一回の食事でも耐えられるし3日に3時間

しか眠らなくてもギリギリ生きていけるってだけで、できれば毎日食事も睡眠も取りたい。


それで先輩が倒れたのは過労が原因だった。


頼れる女子の先輩として尊敬していた先輩が戦場でフラフラし始めたかと思ったら倒れて


飛び散る鮮血…悲鳴をあげることもなく吹き飛ばされる先輩…鎧がひしゃげる嫌な音…


思い出すだけで体が震える。


命を取り留めた先輩がそんなことになったのは働きすぎて意識が朦朧としていたのが原因らしい


神界や天界もみんな働きすぎだと思うのにあの最高神達は……


結局先輩は天界の誉れであるヴァルキリーの職を引退した。


ぐるぐると私のお腹が鳴る


あぁそうだった。朝ごはんをどうしようかと悩んでいたんだ。


ドアを開けて階段をライカちゃんが起きないように降りる。


4つある椅子の一番高い椅子にライカちゃんを座らせてキッチンに向かう。


食料は何があるか確認しようと食料庫らしきところのドアを開くとひんやりとした風が吹いた。

どうやら氷の精霊が住み着いているらしい。


「お主…何者じゃ?」


おっと失礼どうやら精霊王だったみた…い…


「えっと…氷の精霊王様ですか?」


「そうじゃけど?」


精霊王といえばこの世界の精霊を統括するとんでもないお方!


え?嘘…ほんと?


「……えぇっぷ「叫んだらあの子が起きてしまうじゃろが」…はい。」


びっくりして思わず叫びそうになったけど精霊王様が私の方を手で塞いだ。


精霊は実体を持たないけど位の高い精霊は部分的に実体を持たせることができる……と私は天使初等学校の授業で学んでいる。


「本当の精霊王様なんだぁ」


精霊王様の方があの主神のヤロ…よりもはるかに神々し…じゃなくて威厳が感じられる。


「で何用じゃ?」

「あの子に朝ごはんを作ってあげようかと」

「ほう?それは殊勝な心がけじゃ、ほれそこのドラゴンの肉でも焼いてやるといい」


そこにあったのは私の腰ぐらいまでの大きさがある肉塊だった


マジでドラゴンの肉だぁ


お腹にかなりのパンチじゃないですか。


普通のパンとサラダを合わせて薄切りにしたお肉を合わせてモーニングプレートにでもしようかな。


「ほれさっさと持って行かんか。向こうの部屋まで冷えてしまう。」


そう言って精霊王様は私にパンと卵と野菜の類と極厚に切り分けた肉を渡したあと食料庫から私を追い出した。


パンを焼き肉と卵でベーコンエッグもどきを作りその時に余った肉はどうしようもないのでステーキにした。


飲み物は…水でいいかな。


私は外にあるであろう井戸を探すために玄関から外に出た。


ガチャ


ドアを開け一歩外に足を踏み出す。


ちなみにこれは私が目を覚ましてから始めて外に出ることになる。


そこで私が見たのは



全ての属性の精霊王が集い空中を踊っている姿。

神界の下部にしかいないはずの聖なる(ホーリー)守護狼(ガーディアンウルフ)

聖なる(ホーリー)守護熊(ガーディアンベアー)

幻獣と呼ばれるユニコーン

魔王種と呼ばれる魔物のアラクネ

それらが仲睦まじく輪になって回っている光景だった。


その後ろには悠々とそびえ立つ高さが50メートルはあろうかという神気を放つ大樹がこれでもかと存在感を出している。



「ぁっ………ぇっ…………」


私の口からは声にならない声が漏れ出る。


普通ならば殺し合いを始める種族が仲良くしている。

それも猛者ばかり。




ここは普通じゃない。





ガチャ


そう判断した私は(魔境)に踏み出した足を家の中(安楽の地)へと戻しドアをそっと閉じた。


水じゃなくてもいいや。

私は果物を絞り飲み物にした。


そっ閉じ

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