おまけ小話 七草粥
活動報告にUPしたSSを加筆修正したものです。
美佳子と佳貴のヤンデレバカップルがいちゃいちゃしているだけのIF話です。
「佳貴様、七草粥が出来ましたわ」
美佳子は嬉しそうにお粥を佳貴に差し出しました。
今日は1月7日。七草粥の日。美佳子は愛する佳貴の為に、七草粥を作ったのです。
「ありがとう、美佳子。美味しそうだね」
にっこり笑って佳貴は受け取りました。
愛しい人の手料理です。嬉しいし、美味しいに決まっています。
美佳子は佳貴の為に料理の腕も磨いていますが、壊滅的な料理の出来であっても、きっと佳貴は美味しく頂くでしょう。
彼の美佳子に対する恋愛眼鏡は日に日に強力になっています。彼女の手料理であれば、おそらくアスファルトをバター醤油で和えて出しても、美味しく感じるのではないかと思うくらいです。
今回の七草粥は、実際に美味しそうです。七草だけではなく、鶏肉も入っているようです。たんぱく質もとりましょう、ということでしょうか。
「佳貴様に召調理し上がって頂くのですもの。頑張って作りましたのよ」
そう、それは佳貴も知っています。
歌を歌いながら七草を刻む姿を、蕩けそうな目でひたすら見つめていましたから。
きっと、エプロンもいいけれど、割烹着も捨てがたい、とか。
後ろから抱きしめたいけれど、包丁持っているし危ないから我慢しよう、とか。
そんなことを考えていたに違いありません。
七草粥は、シンプルな味付けでしたが、出汁がきいていて美味しく仕上がっていました。
豪華な食事に疲れた胃に、優しいお粥。ほっこりと身も心も温まります。
「美味しかったよ、美佳子、ありがとう」
二人で七草粥を食べ、佳貴は美佳子に微笑みかけました。
「佳貴様にそう言って頂けると嬉しいですわ」
美佳子は頬を染めました。
「本当は、いつも佳貴様の食事は私が作って差し上げたいんです」
美佳子は手を胸の辺りで握り締めました。
そう、愛しい人の食事なのです。色々と美佳子も思うところがあるのです。
「食べたものが佳貴様の血肉になるのですもの。そう考えますと、他の人が作った料理ではなく、全て私が作って差し上げたくなります。いいえ。本当は食材から全て私が作りたいくらい」
「美佳子……」
結構アレな発言に、佳貴は息をのみました。
「その気持ちはとても良く分かる。私も同じ気持ちだからね」
ひくかと思ったら同類でした。
「美佳子の身体を構成する要素になるのだからね。本当は私の血肉を上げたいくらいなのだが。流石にそれは問題がありそうだから」
ありそうじゃなくて、あります。大問題です。
「服もね。美佳子の身体を包むものなのだから、叶うものなら私が手ずから作って……流石に、私の体毛で作るのは無理そうだし、色々とままならないものだね」
良く男が服を贈るのは脱がせる為だとか、自分の色で染めたいから自分の趣味の服を着せるとか言いますが、これは流石に一般的ではないでしょう。
そんなかなりぶっとんだ発言に、美佳子は頷きました。
「本当に、ままならないものですわね。私も髪の毛でせめてマフラーなり作って差し上げたかったのですが」
やっぱり同類でした。
「髪の毛は細いからね。それで編むのは大変だろう。それに美佳子の髪を身につけられるのは嬉しいが、綺麗な美佳子の髪の毛が短くなってしまうのも悲しいよ」
佳貴さん、髪の毛のマフラーで考えるところは、そこですか。
普通は髪の毛のマフラーは怖いとか気色悪いとか、そういった感想を持つと思うんですが。
「佳貴様……編む労力まで考えてくださるなんて……本当にお優しいのですね」
いや、美佳子さん。それ優しいとか優しくないとかの問題じゃありませんから。
「美佳子……」
「佳貴様……」
二人の世界に入ってしまいました。
これ以上見ていても年齢制限がかかりそうなので、このあたりで。
美佳子が無事だった場合、もしくは蝶子に目移りしなかった場合でしょうか。
何も問題が無いと、この二人はこんな感じでいちゃいちゃしてます。
話の中で美佳子が歌っていたのは、七草粥の歌です。
ちなみに私が母から教わったのは
「ななくさたたき、とうたたき。とうどのとりがわたらぬさきに、すててこてんてん」
でした。