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MUSIQUE OF MAGIE ONLINE  作者: 皇 欠
第一章~風の少年と水の少女~
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相乗効果

魔法の説明があります。うまく説明できたが正直不安です。

ダンジョン攻略とは名ばかりの激走と戦闘を続けること十分、二人は精緻な文様が掘られたバカでかい石門の前に立っていた。


「行きますよ」

「うん」


 アユムが門に手を触れると自動的にゆっくりと開いてゆく。その向こうは幻想的な地底湖だった。湖自体が鮮やかなターコイズブルーの光を放ち、洞窟の壁に付いた水滴がその光を反射している。


「まだまだ先は長そうですね」

「ゲームは楽しむモノよ。それに今はソロじゃないんだから」


 湖自体が十分に光源となっているため先程までの洞窟のように懐中電灯は必要ないのでストレージを開き、その中に落とし込んだ。


「それにしても綺麗ですね」

「あら、それは目が見えない私に対する当てつけ?」

「いえいえそんな事は絶対にないです!」


 首を激しく左右に振るアユム。ついつい忘れがちになってしまうが彼女は盲目なのである。ツボミが独自に身に付けた感覚能力とシステムのアシストによって問題なく歩き、戦闘も出来る為目が見えていると勘違いしがちだが、彼女の視界は真っ暗なのである。そのためこの綺麗な地底湖も彼女は見ることは出来ない。


「冗談だよ。そんな慌てないでアユム。それよりも風景を教えてくれると嬉しいなサウンドアシストが説明してくれるけど味気なくて」

「でも僕うまく説明出来る自信ないですよ」

「全然構わないよ。君が感じた事そのままを教えてくれればそれでいいよ」


 わかりました、と答えるアユム。


「え~とですね。地底湖の水がターコイズブルーに輝いていて、深い所は眩しすぎて白くなっています。それでですね、湖の波が幻想的な濃淡を作りだしてですね。神秘さに拍車をかけてます。湖だけじゃなく洞窟の壁も光を受けて、星みたいに光ってるんですよ」

 

アユムは拙いながらも一生懸命にツボミに周りの風景を伝える。その一生懸命さを感じ取ったツボミはうっすらと微笑みアユムの声に耳を傾ける。地底湖の道は一本道、まるで二人は恋人の様に仲むつまじく歩幅を合わせて歩く。だがそんな時間は長くは続かない。

 道を塞ぐように空間が歪曲し、中から〝オーク〝が出現した。


「厄介なのばっかり出ますねここ!」

「貰わないように気を付けてね!」


 オーク、ラテン語で悪魔あるいは地下世界の生物という意味を冠するモンスターだ。体長は約三メートルと大きくその丸太のように太い腕を振り下ろして攻撃するのが主となっている。動きは鈍重だがHPと攻撃力がかなり高く設定されており、四人のパーティーで一匹を倒すのに三十分はかかると言われ、その拳が掠っただけでプレイヤーの防具にもよるがHPの三分の一は持ってかれるらしい。

 ツボミとアユムはそれぞれ相手の邪魔にならないように位置取りをする。互いの動きを阻害しない位置に、攻撃が飛び火しない位置に。オークは両の拳を同時にツボミとアユムそれぞれに振り下ろす。アユムは姿勢を低く保ち、オークに斬りかかる。ツボミは舞うように一歩後ろに下がり、その手に連撃を叩き込む。斬りかかったアユムは足に三連撃を見舞うがオークのHPバーを数ドット削るだけにしかならない。


「タフですね。やっぱり」

「私達どっちとも攻撃重視(アタッカー)じゃないからね。オークと闘うのは結構根気がいると思うよ。逃げる?」

「でもそれだと先に進めませんしここは通してもらいましょう。サポートお願いします」

 一音フルートの音色を奏でる。アユムに敏捷値アップの補助魔法が発動し、突貫する。と同時にツボミもハープを一音強く奏でる。オークは両手を組み、ハンマーの様に振り下ろす。


「水の奔流(スプラッシュ)


 だがツボミは魔法を拳にぶつけ、弾く。隙が出来たオークに肉薄するアユム、右手を引き絞り剣尖を前にして左手を前に出して。そのまま体重を乗せた突きをドテッ腹にブチかます。その反動で一度距離を取り、再度接近し、足に袈裟切り、返しの刃、振りきったままターンし遠心力を上乗せした横薙ぎ、流れる様な動作でもう一度突きの体制に入り全身のバネを使って渾身の一撃。オークは苦しげに呻き、足を庇いながら後ろに下がる。


「逃がしません!」

「逃がさないよ!」


 フルートとハープの協奏曲が地底湖に響き渡る。フルートは優雅に流れるように、ハープはフルートの音を高めるように所々力強い弦の響き。最後の一音を奏でて魔法は発動される。


鎌鼬(スパイラルエッジ)

「水の一筋(ウォーターレーザー)


 後ろのツボミの掌から全てを貫く収束された水が放たれ、アユムの上を通過する時、アユムが呼んだ風が巻きつき螺旋を描く。一本だったレーザーは螺旋の風が巻きつく事により更に貫通力を増した槍となる。

 魔法には相性の良いモノと悪いモノがある。相性の良いモノが同じタイミングで放たれると互いに干渉を引き起こし、その力を何倍にも高めることがある。これを〝相乗効果〟と呼び、逆に相性の悪いモノだった場合互いに打ち消し合い、効果が半減する。これを〝相克効果〟と呼ぶ。ただ〝相克効果〟には稀に半減させずに〝相乗効果〟以上に効果を高める時がある。

 水の槍はオークの左胸に突き刺さりそのまま穿ち、貫通する。更に貫通した瞬間風が解き放たれダメ押しでオークの体を真空の刃が斬り割く。オークの潤沢にあったHPが一気に残り数ドットまで削れ痛みからかバランスを崩し、背中から大の字に倒れ込む。そのチャンスを逃す二人ではなく倒れると同時に走り、ラストのHPを削る一撃を入れた。

 ガラスの割れる音、オークの体が崩れ、ポリゴンの欠片となって消えてゆく。


「やったねアユム!」

「ええ、やりました!」


 ハイタッチを交わす二人。


「まさかあそこで〝相乗効果〟が発動するとは思いませんでしたよ」

「運も実力の内って言うけどまさかあそこまでうまく発動するとはね」


 〝相乗効果〟または〝相克効果〟にも言えることだが、この二つが発動するのは二つの魔法をタイミング良く発動しないといけない。逆に言えば少しでもタイミングが狂えば発動はしない。長年組んだパーティーは綿密な訓練によってようやく狙う事が出来る高度な技術なのだ。よってこの二人が発動出来たのは運としか言えないかまた非常に相性がいいのかもしれない。


「ほら行きましょう。また出て来られたら面倒よ」

「僕はもうちょっとのんびりしたかったですけどしょうがないですね。行きましょう」


 再び全力でのダンジョン走破を開始する。地底湖の一本道をただただ爆走する二人。爆走しながらドクペを飲んでMPを回復する。回復エフェクトが青く体を包みMPの数値を回復していく。


「まっず~。何で世界をこんな風にした奴はこれをMP回復アイテムにしたのかしら? しかも缶は赤いのに回復エフェクトは青いってどういう矛盾なのよ」

「僕に聞かれても分かりませんよ。ただこれをおいしいって言う人もいるんですよね」

「そのセンスは分かんないな」


 地底湖の道が終わりダンジョンは再び洞窟内へと戻る。再びアイテムストレージから懐中電灯を取りだし、先を照らす。


「ツボミさんモンスターの気配ありますか?」

「ううん。モンスターはいないみたいだけど……うん、何人かのパーティーがいるみたい。正確な人数までは距離が離れてて分からないけど確かにいる」

「遭遇して大丈夫でしょうか?」

「どうだろ? とりあえず会わないで済むならそっちの方がいいよね」

「面倒事は避けたいですからね」

「じゃあアユム懐中電灯はストレージに直しといて。じゃあはい」


 ツボミは自らの左手を差し出した。


「えっと何でしょう?」

「真っ暗の中を歩くんだから手を繋ごうって言ってるのよ。あなただけじゃ無理でしょ」

「そうですけど……その……」


 顔を赤らめるアユム。雰囲気でその様子を感知したツボミは意地の悪い笑みを浮かべる。


「アユムもしかして照れてる?」

「ッ!? 照れてません!」


 赤みを更に増すアユム。そしてやけくそ気味に手を握り、先に急かす。


「ほら行きましょう!」


 手を引いて洞窟内に足を踏み入れるアユム。慌てて横に並ぶツボミ。


「君が先に行ったら危ないでしょ」


 ツボミのお姉さんぶった口調にグウの音も出ず、ツボミに手を引かれながら付いていく事となった。


相乗効果は2属性だけでなく、3属性、4属性でも発動することが出来ます。また属性が増えれば増えるだけ発動する確率は低くなり、威力は高くなっていきます。

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