少数精鋭
本拠点に向かう道中敵との接触はなく、何の問題もなく本拠点が見渡せる東に位置する高台の上から様子を窺う。そしてその光景を見て驚愕する。本拠点の東西南北に配置された門の前に総数五百人弱のプレイヤーが守っていたからだ。
「これはちょっと難儀しそうですね」
「そうね。どう攻めるべきかしら?」
「ツボミ。気配で敵の一番薄い所と厚い所探れないかな?」
「一番防御が厚いのはやっぱり正門がある南かな。その次は裏門がある北。東と西はあまり大差ないけど若干東の方が少ないみたい」
「ふむ。なら私が南から攻めるからツボミは東からアユムは西から攻めて頂戴」
「戦力を分散するのは各個撃破を狙われるため得策ではないと思いますが」
「いや一塊になってる方が囲まれて身動き取れなくなる恐れがあるからやめた方が良い。それに私が囮になれば二人が本拠点に侵入できる確率が上がるでしょう」
「でもそれだとフィリアンが危ないわよ」
「私の実力を信用してないのツボミ?」
「それについては心配してないけどそれでも何があるか分からないでしょう」
「ホント可愛いな~ツボミは。ウリウリウリ」
フィリアンはツボミに抱きつき頬ずりをする。
「やめなさい!」
ツボミはうざったそうな顔でフィリアンに拳骨を落とした。
「本当に大丈夫何でしょうね?」
ツボミは念を押してフィリアンに問いかける。
「心配しなさんな。私に掛かればあんな有象無象の集まり楽勝よ」
自信満々に言い切ったフィリアン。その姿からは微塵も臆した様子がない。
「それじゃ動くわよ。配置に着いたら互いにコールすること。けどられないように気を付けてね」
「分かってるって」
「問題ないと思います」
そう言って三人はそれぞれ受け持つ方角へ移動する。一番距離の遠いアユムは姿勢を低くし、風と一体となって森の中を駆け抜ける。フィリアンも自らの持ち場に急いで向かう。それを見送ったツボミは静かに高台から降りて下の森に身を潜める。
高台を解散して五分後、最後にアユムから二人にコールが掛かった。
「配置に着きました。いつでもいいですよ」
「敵に見つからなかったアユム?」
「大丈夫ですよ。ツボミさん」
心配げな口調で問いかけるツボミに気軽に返すアユム。これから五百人を相手にしようとしてるとは思えない程気負った様子はない。
「よし、それじゃ二人共今から私が出ていった三分後にお願い」
「気を付けてね」
「油断大敵ですよ」
「二人共私を舐め過ぎよ。私の力を侮ってもらっちゃ困るわ」
「ならその力たっぷりと見せつけて頂戴」
「そのツボミの期待にしっかり答えてあげる! じゃあお互いに生き残りましょう」
それだけ言い残してフィリアンは通信を切った。そしてフィリアンは槍を持ち直して正面から突貫する。
「さぁ私の前に屍を晒しなさい!」
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