表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
60/60

最終話「これにて完結!!!!」

 あの戦いから、半年が過ぎた。


 世界の終焉を賭けた戦いは、歴史書に残ることもなければ、誰かに語り継がれることもなかった。なぜなら、その真実を知る者があまりにも少なかったからだ。


 空白との戦いも、アーカディアで起きた崩壊も、世界の外側から訪れた存在も、そして《創界帰還門・エデンゲート》のことも.......

 

 ——それらはごく一部の者たちだけが知る秘密として静かに胸の奥へしまわれ、やがて人々の日常は何事もなかったかのように動き始めた。


 人々が知るのは、ただ一つだけ。


 あの夜、遺跡から溢れ出した魔物の大群と、それを命がけで食い止めた王国軍の存在だ。


 リリアーナを始めとする騎士団は、レインたちが境界回廊アーカディアの奥で戦っている間、ずっと外で戦い続けていたのだ。


 次々と溢れ出す魔物を相手に、何時間も剣を振り続け、何人もの兵士が傷を負った。


 誰も知らない場所で世界そのものが揺れていたあの瞬間、王都の外縁ではそれを守るための、もう一つの戦いが確かに繰り広げられていたのだ。


 終わってみれば、誰もが何が起きたのか正確には分からないまま、ただ「とても大きな何かを乗り越えた」という実感だけを抱えて、日常へ戻っていった。


 ーーー春


 長い冬が終わり、新しい季節が訪れた。それは出会いの季節でもあり、まさに一期一会という名が相応しい、そんな季節だ。


 王都の街路樹には薄桃色の花が咲き誇り、風が吹くたびに花びらが舞う。それはまるで世界そのものが、新しい未来を祝福しているかのようだった。


 卒業式の日。


 学園の周りは、内外問わず朝から賑わっていた。校舎の前には多くの生徒が集まり、それぞれが友人たちと最後の時間を過ごしている。


 笑い声が響き、写真を撮る者がいて、涙ぐむ者もいる。だがそのどれもが平和だった。だからこそ尊い。かつて失われるはずだった未来だからこそ、その光景は誰よりも価値のあるものだった。


 そんな賑わいの中で、リリアーナは少し離れた場所から校庭を眺めていた。風が吹き、長い髪が揺れる。..........彼女はふっと微笑んだ。


 思い返せば、本当に色々なことがあった。学院へ入学したばかりの頃、いつも面倒事へ巻き込まれていた少年、何故かトラブルを引き寄せる少女、騒がしい仲間たち、馬鹿みたいな日常........


 そして誰にも知られない場所で行われていた、本当の戦い——全部が昨日のことのように思い出せる。


「........終わったのね」


 小さく呟いたその言葉は、誰に向けた言葉でもない。ただ自然と口から零れでた。


 後ろから足音が聞こえる。


 振り返ると、アイラだった。


 「何してるの?」


 「別に。ただ少し昔を思い出していただけよ」とリリアーナは答える。アイラは不思議そうな顔をしたあと、小さく笑った。


 「歳取ったみたいなこと言ってる」


 「失礼ね」とリリアーナは返したが、否定はしなかった。あまりにも濃すぎる半年だったのだ。少しくらい感傷的になっても許されるだろう。


 そんな二人の視線の先で、エリクが誰かと話していた。相手は一人の少女。以前、彼へ想いを伝えていた少女である。エリクは照れ臭そうに頭を掻きながら何かを話していて、少女も嬉しそうに笑っていた。


 その光景を見てアイラが肩を竦める。


 「なんか上手くいっているみたいね」


 「そうみたいだな」


 「ちょっと意外だったかも」


 「私も」


 二人は顔を見合わせて笑った。エリクが幸せそうなら、それでいい。きっと彼にも色々あったのだ。だからこそ、こういう未来が似合う。


 その頃、学院から少し離れた桜並木の道を、二人の男がゆっくりと歩いていた。


 俺とヴェルナルトだった。春風が吹き、花びらが舞う。世界を救った英雄たちにはあまりにも似合わないほど穏やかな光景だった。


しばらく無言で歩いたあと、レインが口を開く。「で.........お前は結局これからどうするんだ?」


 ヴェルナルトは空を軽く見上げた。


 ーーー一面に広がる青空


 あの日、守りたかった空と同じ色をしている。


 「そうだな」と少し考えてから笑う。


 「まずは寝る!」


 「……は?」


 「何十年も働いたんだぞ。少しくらい休暇をもらっても罰は当たらんだろ」


 俺は呆れたようにため息を吐いたが、側から見れば、その顔は楽しそうであることが疑うまでもない事実だろう。


 半年前なら考えられない。


 こうして並んで歩いていることも、他愛もない話をしていることも、全部が奇跡みたいなものだった。


 ヴェルナルトがふと足を止める。


 桜の花びらが肩へ落ちた。それを指先で摘みながら静かに言う。


 「ありがとうな」


 「何がだ......?」


「全部だ」とヴェルナルトはそう言って少しだけ笑った。


 「俺は途中で諦めかけていた」


 その言葉に嘘偽りはない。


 何百年も失敗を繰り返した、何千回も絶望した。それでも立ち上がってきた、だが最後の最後には、自分一人が犠牲になればいいと思っていた........


 そんな彼を止めたのは俺自身なのだから。いや.......俺だけではない。セレフィーナ、仲間たち、他にも数えきれない程の助けや救いがあった。

 

 だから、今こうして生きている。


 俺は少し照れ臭そうに頭を掻いた。


 「礼ならセレフィーナに言え」


 「もちろんあいつにも言うさ」とヴェルナルトは笑う...........穏やかな笑みだった。もうそこには孤独なんていう言葉はない。


 その時だった。


 遠くから聞き覚えのある声が聞こえた。


 「……なんか騒がしくないか?」


 「こんな平和な時間を話してくれるなんて、たいそうな部外者もいたもんだな」


 二人は顔を見合わせる..........嫌な予感がした。そして、そういうときの予感というのは、大抵当たるもので........


 桜並木を抜けた先、待ち合わせ場所だった噴水広場には、数人の男たちが集まっていた。その中心にいたのは銀髪の少女...........セレフィーナである。


 「お姉さん可愛いねぇ。ここの卒業生でしょ? 実は俺たちもそうでさぁ」


 「だからさぁ、お茶くらいいいじゃん?」


 「俺たち暇なんだよ」


 「可愛いんだから付き合ってくれよ。大人な楽しみってやつを教えてあげるよ」


 見るからに面倒な連中だった。


 セレフィーナは困ったように笑っている。断っているのだろうが、相手は引く気配がない。


 その光景を見た瞬間、俺とヴェルナルトの足が止まった。沈黙、そして数秒...........やがて二人は同時にため息を吐いた。


 「何してるんだ、あいつ」


 「相変わらず、モテるんだな」


 呆れながらも歩き出す。


 男たちは近づいてくる二人に気づいた。そして露骨に顔をしかめる。


 「なんだぁ、お前ら? 邪魔すんなよ。俺たちはな.......この学園を主席で卒業してーーー」


 俺もヴェルナルトも何も言わずに、ただセレフィーナの前へ立った。その瞬間、セレフィーナの顔がぱっと明るくなる。


 「レイン!」


 「姫様や、待たせたな。お迎えに上がったぞー、で........これは邪魔しないほうがいい感じのやつか?」


「そんなわけないのは見ればわかることでしょうに..........サクッとやっちゃってくださいよ!」


 「“婚約者”使いの荒いお嬢様だな..........お礼は学食の卒業生かつ今日限定、スペシャルハイパー究極アルティメットおにぎりでいいぞ」


 「なんですかその頭の悪そうな名前。てか..........究極とアルティメットって同じ意味じゃないですか!?つけた人は相当頭がお花畑なようですね」


 男たちが苛立ったように前へ出る。


 「だから何なんだよ? 目の前でイチャコラしやがって.........文句あんのか? やる気か? あぁぁあん!?」


 この平成に閉じ込められていそうなチンピラどもは完全に相手を間違えていた。


 世界最強クラスの門主と、何十年も世界を守り続けるために戦っていた男へ、喧嘩を売っているのだから..........


 レインとヴェルナルトは顔を見合わせ、そして.........どちらからともなく笑った。次の瞬間、二人は全く同じタイミングで前を向き、同じ言葉を口にする。


「「.........俺たちに勝てるとでも?」」

最終話まで見てくださりありがとうございました!!

少しでもいいなと思いましたら、作者フォローと、下部にある評価を1でも5でもいいのでしてくださると嬉しいです!!!


今回の作品は僕が書いた作品の中で、頭ひとつ飛び抜けて読んでいただけた作品です。累計pvは8万越え、ポイントは約1600、ランキングにも入りました。


こんなどこにでもいる男子高校生の小説をこんな多くの方に読んで頂けたと考えると、驚きが隠せずにいます。


どれもこれも読んでくださった皆様のおかげです!!

本当にありがとうございました!!!


これからも精一杯執筆していこうと考えているので、何卒よろしくお願いいたします。


恋愛とか言っておきながら、最後のほうがほぼ戦闘だったのには目を瞑っていただきたいです!!!


加えて、来週中に一本短編を出そうと考えているので、よかったらそちらも見て、評価していただけると幸いです。


少し変わる可能性はあるのですが、題名だけ発表しとこうと思います!!!


名付けて.......


最弱モンスターのスライムに転生したい......!!!

〜前世、全知全能の神と呼ばれていた大賢者の俺、異世界に自力で転生したら、魔王軍にスカウトされたんだが!?〜


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ