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拗らせ陰キャの異世界自己防衛ライフ 〜イケメンに転生してもガチ陰キャ〜  作者: 玉盛 特温
第3章 学園2年編

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第79話 魔法の天才少女に色々裏がありそう




 俺はこの魔法教本に助けられてきた。


 詠唱は時間がかかるもので、戦場ではそれが欠点となりやすい。それを解決してくれるのが、詠唱短縮だ。


 数秒でも、短縮することで戦闘の幅が広がる。隙も多少は減らせるし、剣を振りながらの詠唱も楽になる。最近それができるようになったのも、この教本のおかげなのだ。


 とはいえ、この本を読んでる人はほとんどいない。かなりマニアックな本だった。学園では国が公式に認めた魔法教本での学習となるので、基本はそれで事足りてしまう。


 もちろん、教本以外にも公式の参考書もある。だから、わざわざ、このような個人の魔法教本を手にする人など、魔法を極めたいって思ってるやつ以外は、まず手に取らないだろう。


 まさか、その著者が、目の前にいるとは。……とはいえ、本物かどうかはまだ分からん。同姓同名かもしれない。念のため確認するしかないと思い、一応聞いてみる。


「えっと、多分ですけど、ほんともしかしたらですけど、違ったらすみません、あの、この本の著者……だったりします?」


 どうやら図星らしく、ビクッと体を震わせて……なぜか頭を下げて来た。


「ひえっ!?えっと、その……あの、うぅ……そ、そうです……。き、気持ち悪いもの書いて、すみません……」


「いやいや、誰も気持ち悪いとか言ってないっすけど……」


「はう!?す……すみません……」


 いやマジでこの子の反応はまるで俺を見てるみたいだ。俺を女の子にしたらこうなるのか。めんどくさいのに、可愛いと思ってしまう理不尽。


 この子は女子だからいいけど、俺は気を付けないと、それこそめんどくさがられる……って、もう遅かったわ。レッドやユリアに呆れられたり、めんどくさがられたり、もう経験済みだったわ……。


 ユリアたちはそれでも、こんな俺と友人(仮)として接してくれるのはやはりありがたいものだ。


 そういや今思えば、この魔法教本読んでる時に、やたら見られてた気がするな。自分の本読んでくれてる!的な視線だったのかあれは。


 すると、シオリーはもじもじしながら、聞いてくる。


「あ、あの……ですね……と、特に……どの部分がよかった……とか、ありますか? い、いえっ、なんでもないですっ! わ、忘れてくだしゃい!……うぅぅ……」


 ……噛んだ。か、可愛いなこいつ。なんだこのしゃべる物体は……。こいつ、わざとそのキャラ演じてるとかないよな?


 にしても、どの部分が良かったか……まあ感想くらいなら言ってもいいかと思ったけど、やっぱそれはそれで恥ずかしい。的外れなこと言うかもしれないし。


 誰だって自分の書いた本の評価とかは気にするものだろうから、言ってあげたいが、やはり恥ずかしいし自信もない。


 そういや俺も昔、自作小説とか作ったことあったけど、結局誰にも見せずに終わったな。だって友達いねえもん、いたとしても見せるの恥ずかしすぎて隠すやつな。ただの自己満。


 この子は勇気出して感想聞けるだけ偉いよ、マジで。その勇気に免じて、感想伝えてやるよ。


「えーっと、その……あなたの説明、全体的にすごくわかりやすいです。あと、その、詠唱短縮のところは……何度も助けられました、です」


 シオリーはこちらをじっと見つめて沈黙。


 だから嫌なんだよ……自分の語彙力の低さを恨むぜ。何この薄すぎる感想。シオリーのその反応も仕方ないわ。穴があったら100mくらい掘って入りたい。あ、それじゃ崩落して生き埋めになるわ。


「え?そ……そうなんですか?詠唱短縮を……マスターしたのですか?」


 え?普通に聞き返してきた。


「マスター、とまではいかないですけど」


「それでも、すごい……です! 周りの人は、みんな……難しそうにしてましたから……」


 詠唱短縮は難しいのか。周りの人って言っても、本を書いたときのシオリーと同じくらい歳の子だったら、そもそも魔法習得すら難しい気がするが……。


「あ……すみません。つい、話しすぎちゃいました……」


「あ、いえ、その、著者に会えて光栄です」


「そ、そんなことは……でも……読んでくれる人がいて、ちょっと安心しました。私の本が……人の役に立ててるなら……。私、この力で……忌み嫌わ……あ、なんでもないですっ。その……また、お話できれば……なんて……」


 ……すこし、この子には裏がありそうだ。こういう人見知りな子は過去に何かあったことが多い。人の性格ってのは家庭環境や人間関係が一番要因としてでかいからな。


 褒めてあげたり、過程もちゃんと見てくれる親に育てられれば自己肯定感の高い子に。否定されたり、結果だけ見たり、口答えだと黙らせられたりされた子はチー牛に。


 もちろん遺伝子的な性格もあるしすべてがそうではない。でも明らかにその傾向は高いだろう。家庭環境や周りの人間関係って、それくらい人の性格とか人生に影響するんだ。理不尽だよな。


 まあ、俺からは少女の事情は聞かない。興味ないし。


 それにしても、こういう子から、またお話ししたいと言われるとは、かなり勇気を出したんだろうな。俺自身も、まあ……この子に癒されるし……話したく……なくもないけど……。


 シオリーはうるうると俺を見つめ、答えを待っている。はあ、断れねえ……この雰囲気……。話すだけなら、まあ、いいか。セクハラ発言には絶対気をつけて、物理的接触だけはマジで避ければ、まあ……。


「あ、はい、その、俺でよければ」


「ほんとですか?よかったです……。では……また」


「あ、はい。また……」


 シオリーは少し笑みを浮かべて、ぺこっと軽く頭を下げた。可愛いなあ……。いやでも裏の顔があるかもしれないし気を付けなければ。


 こうして今日はシオリーと別れた。まあ、あいつ使えそうだし、次は魔法についてもう少し色々と聞いてみようかな、なんて考えながら自分の部屋に戻った。





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