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拗らせ陰キャの異世界自己防衛ライフ 〜イケメンに転生してもガチ陰キャ〜  作者: 玉盛 特温
第2章 学園1年編

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第67話 少女の大胆過ぎる行動にビビる




 後日、俺の部屋に手紙が届く。学園からの手紙だ。


 封を開けてみる。そこには魔剣士科・合格と書いてあり、魔剣士科での勉学を許可すると書いていた。


 もう一枚の紙には、詳しいことが書いてあり、魔法科と剣技科の両方の講義を自由に受けられるとのことだ。それと、杖と剣が交わったデザインの小さいバッジのようなものが入っていた。これを胸ポケットにつけるだけでいいみたいだ。


 ちなみに、魔法科は杖、剣士科は剣のバッジだ。ユリアにはすでに魔法科のバッジが制服に付いている。


「さすがチー君だよ!合格すると思ってたもん!」


 後ろから手紙を見ていたユリアが褒める。これは出来レースだったんだ。だからすごくもなんともない。


「あ、いや、魔剣士科の試験って、よほどひどくなければ、受ければ誰でも合格らしいですよ」


「もう、自分を卑下するために嘘つかないでよ」


「嘘じゃないです、学園長が言ってましたから」


「そうなの?う~ん、ほんとかなあ……受ける人少ないから本当かどうかも確かめられない……」


 魔剣士科の数が少ないのは単純。剣士は剣士、魔法師は魔法師に進む人が大多数なのがこの世界の常識だから。そもそも受ける人が少ないだけだ。


 魔法の発現には集中力と詠唱が必要で、剣との両立は非現実的だからな。


 にしても、入学から一年経って、ユリアはますます女性らしい身体になっている。ずっと一緒にいるから分かるが、二つの果実も、前まではほんとにちょっとだけふくらみがわかる程度だったのに、最近は徐々に成長してきている。


 でかいとまではいかないけど……いや、ちょうどいい。むしろ巨乳にならないでくれ(切実)。するとユリアは視線を感じ取ったのか、両腕で胸を隠す。


「ちょっとどこ見てるの、チー君」


「虚無」


「ひど!?私の胸が虚無だって言いたいの!?」


「いや、目開いてるように見えて何も見ていないだけです」


「意味わからないよ!?」


 あぶねえ、胸見てたなんて言えるかよ。てか、精神年齢永遠に高校生の思春期童貞の俺には、年頃の女子と一緒とかきつすぎるってばよ、意識するなという方が無理だ。


 俺、よく毎日ユリアといられるよな。すると、部屋の郵便受けにまた手紙が届いたようだ。


「あ、チー君、また手紙来てますよ?」


「え?あ、ああ、はい……」


 俺は部屋の前の郵便受けに入っている手紙を取り出す。そしてソファに戻って、封を開ける。


「は?」


 送り主はギルド協会からだった。え?俺、なんかしたっけ?


 俺は不安を抱えて鼓動が速くなりながらも、落ち着いて封筒の中身を確認してみる。


 紙には、”ギルド体験イベント”と書かれていた。


 しかし謎だ。なんで俺当てに来るのだろうか。絶対にそんなことしたくない。まあ、いずれはユリアたちとギルドに加入してパーティ組んでみたいとは思っているけど、別に体験はしなくていいだろ。


 知らない人とパーティ組むなんて無理に決まってんだろ。人見知り発動してなんもできなくなる。未だに人が怖いし憎い。コミュ力のあるやつなら、知らない人とでもチームワーク発揮できるだろうが、俺はただの置物になりかねない。


 それに、ギルド体験なんて言うくらいだし、血気盛んな不良みたいな奴らがわんさかいるに違いない(偏見)。無理無理無理無理。


 それで「足引っ張ったら〇すから」なんて言われるんだ。ああ恐ろしい。


 ん?そのパンフレットの後ろにまた紙がある。それを見てみると、俺の名前が思いっきり書かれてて、”申し込みありがとうございます”と書かれていた。


「?????????????????」


 俺は意味が分からなくて完全に冷静さを失い、何度も紙を見直すが、やはり申し込みしている。え?俺申し込みしてないぞ?なんで?そして具体的な日にちや時間などが書かれていた。


 ……理解が追い付かない。これ有料だぞ?しかも金も払ってないし。キャンセルしたいけど、キャンセル料もかかると書いてる。


 でも、もし申し込んでないって抗議すればキャンセル料かからないのでは?私文書偽造罪だって言えばきっとなんとかしてくれる。と色々考えていたが……


「あ、ごめん、それ私が申し込んだの」


「は?お前が?」


 俺はユリアを軽くキッと睨んでしまう。口調もつい素で”お前”と言ってしまう。


 ユリアはキレ気味の俺に肩をすくめて戸惑っているようだった。お前さ、ちょっと常識知らないところあるよな。普通は人の名前で勝手に申し込むか?立派な犯罪だぞ?


 とりあえず事情話せばキャンセルにできるかもしれない。


「ギルド行ってきます」


「え?体験は今日じゃないはずだよ?」


「何言ってんだクソガキ、事情言ってキャンセルしてくるんだよ」


「クソガキ?……え、でも」


 ユリアは何かを言おうとしている。待つのも時間がもったいないので俺は部屋を出ようとした。しかしユリアが待ったをかける。


「待って。その……私はチー君のためを思って、申し込んだの」


「は?俺のため?なんで?」


 なんて無茶な言い訳だ。“俺のため”って言っときゃ全部丸く収まるとでも思ってんのか?でも冷静に、一応ユリアに聞いてみる。


「その、確かに、勝手に申し込んで、申し訳ないと思ってる。レッド君と相談して決めたの。でも、チー君言ってたよね。自分に自信を付けたいとは思ってるって。でもこの1年、チー君は変わった?」


 ハッ、急に説教か?一応俺だって変わってるさ。例えば……


「友人ができた」


「え、それはすごいことだけど、自己肯定感はどう?いまだに低いままだよね?私までたまにネガティブ思考移るときあるからね?今回ギルド体験が嫌なのも、人と関わるのが嫌で、自信もないからだよね?」


 まあその通りだな。でもそれとこれとは関係ない。余計に俺のストレスを増やすのはクソだ。


「行ってみたらどう?その、なにか、変われるかもしれないよ?」


 変われる?ふざけんなよ。人がそんな簡単に変われるなら、とっくに変わってる。前世でどれだけ辛い思いをしたと思ってるんだ。俺は怒りで拳を痛いくらい握りしめた。


 もう、“絶対に変わりたい”って気持ちすらぶち壊されるくらいに、変われないって思い知らされたんだ。行動して変われるなら誰だってそうするんだよ。クソが。


 ……はあ、一旦落ち着け。深呼吸をしてから、冷静に俺は話す。


「……確かに自信をつけて、もっと気楽に生きたい。コミュニケーション能力も付けたい……でも、別に今じゃなくていいだろ。

 もう緊張して過呼吸になるのも嫌だし、人と関わるのもストレスしかない。人を信じるのも、疑うのも、全部疲れるんだよ。

 ああもう、なんてめんどくさいことに巻き込みやがった!集団行動も無理なんだよ!俺は前世からずっと、ろくに人と関わってこなかったんだ!知らない人とパーティ組む?連携取る?バカか、こんなの一種の拷問だろ!

 余計なことすんなよ……やっぱり、俺の事嫌いなんだろ?このクソみたいなネガティブ思考の俺が受け入れられないんだろ?その嫌がらせだろ?何なんだよマジで」


 落ち着いたのに、話しているうちにイライラで、結局言いたいことを言ってしまう。でも、ユリアの目は俺をまっすぐと俺を捉えていた。


「でも、以前もそうやって、まだやらなくていいって言って、今回もまた逃げるの?」


「ああ逃げるさ、逃げるが勝ちってな……」


 そうだ。俺はこうやって、どうせできないと、ずっと逃げてきた。行動しなかった。いや、前世は逃げというより、わざわざ可能性の低いものに挑戦するリスクを回避するためだった。


 話しかけるだけで気持ち悪がられるからな。前世で行動できなかったのはチー牛だったから仕方ないとはいえ、今世は、イケメンに転生した今は、顔が―とか、きもいからーとか、そんな言い訳なんてできないのは分かってる。


 この性格は、結局行動しないと治らない。ユリアの言う通りだが、体が動かない。「どうせ無理だ」「できるならとっくにやってる」と、そう言う考えが頭をよぎってしまうからな。人間がもう、トラウマなんだよ、俺は。


「……それに、チー君。やっぱり、転生者だったんだね」




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