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拗らせ陰キャの異世界自己防衛ライフ 〜イケメンに転生してもガチ陰キャ〜  作者: 玉盛 特温
第2章 学園1年編

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第43話 俺は孤独を感じる




 その後もしばらくは、ライを含めた俺、ユリア、レッド、ネクラで平和な毎日を過ごしていた。ライも別に不審な動きは無く、ネクラも少しだけライに気を許しているような気がした。俺だけが、ライと未だに気まずい。


 ユリアはライにぞっこん……ではないとは思うが、俺よりもレッドやライとばかり話して、少し寂しい。しゃあないよな、俺はコミュ障陰キャだから。それにやっぱり、あの時ユリアに怒られた時から、また距離が離れた気がするしな。


 いつもネクラと寂しく隣で、楽しく話す陽キャたちを眺めながら昼飯を食う。ネクラは良い奴だよ、こんな俺みたいな奴と一緒に飯食ってくれて……。なぜか俺を尊敬してくれて……俺は才能と環境に恵まれただけなのに。


 そして数週間経ったある日のこと。いつものように、晴れた空の下、温かい日差しの中、みんなで屋上で昼飯を食っていた。


「今日はみんなのためにお茶を入れたんだ」


 ライはそう言って、リュックから水筒をそれぞれ取り出し、俺たちに配っていく。誰がお前のお茶なんか飲むかよ。


 それぞれ色が決まっているようで、ユリアには水色、レッドは赤、ライは白、ネクラは黒、俺は黄色だ。あ?てめえ俺が誰がチー牛だって言いてえのか?チー牛だけどさ。あいつの行動すべてになぜかイライラする。


 わざわざ黄色を渡してくるのに悪意を感じる。てか、ご丁寧に水筒5個も用意しちゃってさ。ユリアはわざわざ水筒を用意しているのを見て感心している始末。


「すごい、みんなの分わざわざ用意してくれたんだ」


「ああ、この方がすぐに飲みやすいじゃないか」


 同じだろ。コップを人数分持ってくれば済む話なのに、わざわざ水筒を人数分も用意するやつがいるかよ。気遣いじゃなくてただの馬鹿だ。


 レッドは特に気にすることなく、その水筒の蓋を開ける。


「それじゃあ、いただくぜ」


「ああ」


 レッドはお茶を一気に飲み干す。豪快だなあ。


「お、うめえな。お茶ってあんまり飲んだことないけど、いけるじゃん」


「そう言ってもらえてよかったよ」


 ライはレッドに嬉しそうに微笑む。イケメンスマイル。良いねえ、俺が女なら一瞬でテュンク!だよ。ああうざ。今は俺だってイケメンだけど、未だに前世から残ってるイケメンへの憎悪は消えたわけじゃないからな。


 ユリアもつられて飲み始める。ライはユリアを見て、感想を楽しみそうに待つ。ユリアは一口飲んで……。


「うん。冷たくておいしいね、これ」


「……そうだろう?僕の自信作なんだ。ユリアにそう言ってもらえてうれしいよ」


 ユリアもライのお茶がおいしいと言う。ライは一瞬間を置いたあと、嬉しそうに話した。


 俺とネクラもちょびっとだけお茶をすする。


「美味しいっすね」


「あ、はい」


 残念ながら美味しい。ああもうこいつうぜえな。なんで剣と魔法以外はこんなに完璧なんだ。そりゃ、ユリアもライのことを好きになっても、仕方ない……よな。


 ただ、ライはユリアがお茶を飲み始めてから、少し動揺しているのか、小さく貧乏ゆすりをし始めていた。他のみんなは気づいていない。


 レッドが自分のお茶を飲まないのを心配そうに聞いてくる。


「あれ?ライは飲まねえのか?」


「ああ、今は喉が渇いてなくてね」


「そうか。にしてもいいよな、お前はいつでも自分でお茶とか作れて」


 俺だって、インスタントラーメンにお湯を入れるくらいできるさ!……言ってて悲しくなってくる。別に競う必要もないのだが。なぜか対抗心が生まれる。


 まあ、一応、前世では親がいないときに自分で簡単な炒飯とか野菜炒めくらいは作れるんだけどさ。


 今はユリアがいつも飯を作ってくれるしな。それに別に自慢するほどの事でもない。


「すごいよね、料理もできるしお茶も入れられて、かっこいいと思うよ」


「そうでもないさ、ユリアだってできるだろ?」


 ユリアもライを褒めるけど、“料理ができる男がかっこいい”なんてのは、イケメンだから成立するだけだ。ブサイクが料理を作ってもきもいし、食べたくもないが、イケメンは何をしてもかっこいいからな。


 皆で昼飯を食い終わって、休み時間も終わりが近いので、俺たちは教室に戻る準備を始める。レッドは片付けながら、ライに言う。


「ふう、食った食った。ライ、明日も卵焼き頼むぜ?」


「はは、気に入ったのかい?そう言われちゃあ、嬉しいから、明日も作ってくるよ」


 ユリアも立ち上がって、ライに駆け寄る。


「私はお茶が美味しかったな、私に今度お茶の入れ方教えてよ」


「ああ、いいとも。ん?」


 くそ、イチャイチャしやがって……。すると、ライはユリアを見て何かに気づいたようで、顔を少ししかめる。


「ユリア、顔に何かついているよ?」


「え?あ……」


 ユリアは明らかにライと至近距離になって顔を赤らめ動揺し始める。俺は、ユリアがライにこういう反応をするたびに、心に深い傷が刺さる。


 俺は現実を分かっている。こういう優しい奴は誰だってそうだが、好かれるものだ。もちろん、女子にも。


 いや、どちらにしろ、俺はユリアと釣り合うわけがないと思っていたからいいんだよ。諦めていたからいいんだよ。俺はただのユリアの騎士でしかないから。ただの幼馴染でしかないから。


 やっぱ幻想だよな、幼馴染属性なら彼女に~なんてのはさ。


 結局、ライは一番、ユリアと釣り合ってる。それでいいんだ、現実を見てきた分、諦めるのは得意だからな。


 ライはユリアの顔に近づいていく。ユリアは動揺して動けず、されるがまま立ち尽くす。そして……。ユリアを触ろうとしたライの手首が血しぶきとともに宙を舞った。



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