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拗らせ陰キャの異世界自己防衛ライフ 〜イケメンに転生してもガチ陰キャ〜  作者: 玉盛 特温
第2章 学園1年編

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第41話 さわやかな訪問者




 今日も学園が終わり、会話もない静かな中でユリアと夕食中に、部屋の扉をコンコンとノックする音。俺はびくっと体を震わせる。ま、まさか……俺を狙う殺人鬼?ユリアを狙う神声教団?少し緊張してきた……。


 ユリアは呆れたのか「はあ……」とため息をついて、俺をジト目で見つめてくる。


「チー君いっつも緊張しすぎだよ……」


「だって、その、俺たちはいつ殺されてもおかしくないし、その、ユリアこそもうちょっと危機感を」


「私だって怖いけどチー君はいくら何でも慎重すぎ!周りの人誰も信じられなくなっちゃうよ?」


「良い奴ほど、裏では何を考えているか分からない」


「……それ、私に言ってないよね?」


「とりあえず俺が開けます」


 俺は杖を持って、扉に背中をつけながら、ゆっくりとドアに手を掛ける。まるで突入前の兵士みたいだな。


 そしてドアを開けた瞬間、扉の前に飛び込んで杖を構えた。


「おわ!ちょっと待て!いきなり杖を向けるなんて人としてどうなんだ!?」


 そこにいたのは、杖を向けられ慌てふためいている白髪の男子生徒だった。


「あ、えっと、すんません」


 第一印象、まず高身長で、顔はシュッとしていて、鼻は高く、それに優男みたいな雰囲気を醸し出す感じの生徒だ。なんというか、王子様、みたいな?なんか片手にワイン持っていそう?……語彙力絶望すぎて草。


 要は、少し貴族っぽいような雰囲気がある感じ。この顔の男性に優しくされた女性は多分、いちころだろう。とりあえずその顔ぶん殴りたい。で、こいつは何しに来たんだ?てか誰だよ。


 この状況に、ユリアが慌てて男の元に駆け寄る。


「ご、ごめんなさい!この人すごい警戒心が強くて……」


「あ、ああいや、いいんだよ。……ああ、君は可愛くて優しそうだね」


「そ、そうですか?それはどうも……」


 この優男、いきなりユリアを口説きやがった!?仕方ない、ユリアは可愛いのは事実だからな。ああ、俺は絶対に口には出さない。セクハラになりそうだし。このイケメン優男が言えば罪にはならん。あ、俺もイケメンだった。


「ああ、紹介が遅れた。僕はライ。今日から転入してきたから、近くの寮生に挨拶をと思ってね。よろしく」


 ライはイケメンスマイルでユリアに握手を求めたが、割り込んで俺が代わりに握手する。なぜって、もし奴が毒針でも仕込んでいたらユリアが死ぬだろう。


 ユリアは警戒心がなさすぎるからな、そこは俺が何とかしないと……。なんで俺はこんなにも真面目にユリアのことを考えているんだ。


 ライは少し眉をひそめながら聞いてくる。


「……僕は今その子に握手を求めたんだけど……いやそもそもなんで手袋?今は夏だけど」


「あ、すんません、その、俺に手を差しだしたのかと思って……。えっと、ここ俺の部屋なんですよ。その、えっと、あと潔癖症なので手袋を……」


「きみ声小さくない?」


 うるせえ黙れ。俺は前世がキモい声で吐き気がするほどだったんだ。だから自分の声を聞くのも気持ち悪かったんだ。仕方ねえだろ……あ、俺今イケボだった。


 ちなみに手袋の理由は、もし相手が毒針でも仕込んでいたらと思うと怖くて……。すると、ライは苦笑しながら、俺に手を差しだした。


「あっはは、君、変わってるね。ぜひ友達になりたいんだけど、いいかな」


「は?え、あ、いや、あ、はい」


 断れない性格なので結局はいと返事してしまう。こいつ、なんなんだ?ずっとにこにこしていて気持ち悪い。


 こういうへらへらしてるやつほど、裏が読めない。なんとなく、目が笑っていないような感じがしないか?それに、なんだか心の中では俺をバカにしている気がしてならない。ああ、もちろん俺の偏見だ。


「ところで、君たちの名前は?」


 ライは気を取り直して、俺達の名前を聞いてくる。


「え、あ、チーです」


「ユリアです」


「なるほど。2人とも、良い名前だね」


 嘘つけや、チーがいい名前だあ?んなわけあるかよ。チーだぞ?


 あ、でも別にこの世界では”チー”という言葉に悪意はないか。でもやっぱこの名前、チー牛みたいでいやっちゃ嫌ではある。俺がチー牛なのは事実だけど。


「それじゃあ、今日はこれくらいにしておこう。もしまた会えたら、よろしくね」


「あ、はい」


「うん。私からもよろしく」


 そう言って、ライはそのまま扉を閉め、自分の部屋に戻っていった。何だったんだよあいつは……。


 わざわざ挨拶なんかしてくるとか、どんだけ非常識なんだよ……(※チー基準)


「優しそうな人だったよね」


「そうですか?その、裏で何考えてるか分からない感じがしましたけど……」


「ええ……チー君もう少し人を信じてみようよ……」


 知らねえよ。前世で人間不信はしみついてるんだから。チー牛と言われ、敵意を向けられ、失敗ばかりで親にも信用されなかった。


 それに、地味なクラスメイトに笑顔で近づいてきた陽キャが、実は“陰キャをからかう遊び”の一環だったこともあった。そのクラスメイトは、少し戸惑いながらも嬉しそうに会話していて──


 俺は遠巻きに、少しその陰キャが心配で見ていた。彼は陽キャを疑うこともなく楽しそうにしている。俺なら何か裏があると思って疑うのだが……。


 でも、やはり裏ではグループチャットで陰キャはバカにされ晒されていた。


「あいつマジで喜んでて草w」「陰キャってちょろすぎw」


 それを見て、改めて、もう“優しい奴”ほど信用できないとわかった。優しさの裏にある本音ほど、残酷なものはない。弱者に近づく奴は、何を考えているか分からない。本心か、寄り添うように装って利用するためか、ただの暇つぶしか。


 だからこそ、何となく、見ただけで分かんだよ。悪意を持った目か、敵意を持った目か、普通の目か。


 俺は前世で敵意を向けられすぎてそういう視線に敏感になったおかげ。もちろん、俺のその観察眼も絶対ではない。俺の被害妄想ってのはあるだろうさ。


 レッドも良い奴(仮)だったけど、ライも良い奴(仮)なのだろうか。



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