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【完結】拗らせ陰キャの異世界自己防衛ライフ 〜イケメンに転生してもガチ陰キャ〜  作者: 玉盛 特温
第6章 番外編

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第279話 エピローグ

 


 あれから約2年の月日が経った。


 シオリーも学園を卒業し、本格的にギルド活動に参加できるようになった。そしてもちろんだが俺との時間も増えた。


 シオリーは学園を卒業したらもうニートのようにゲームを一緒にするようになったな。彼女は可愛い妹というか、友達というか、そんな感じがするんだよな。もちろん異性としても好きなのだが。


 ユイやランとは今までと変わらず楽しく過ごしている。


 で、今日はギルド活動も休みで、俺とシオリーはスマ〇ラをしたり、家でそれぞれのんびりと過ごしているのだが。


「さっき手紙来たんだけど、クラウド君とサンちゃん、結婚するんだって」


「そっすか」


 ユイがそんなことを言い出す。まあ別に俺にとっては、そうなんだ~、くらいにしか思わないのだが。ゲームをしている俺にユイはこそこそと近づいてくる。そして隣に座るユイ。俺をじーっと見てくる。何なんだ一体……。あ、シオリーに負けた。


 負けてちょっとイラっとしつつもユイの方を見る。


「えっと、ユイさん?見つめられると恥ずかしいんすけど」


「……私ずっと待ってるんだけどなあ」


「何を?」


「むぐ~、今の話聞いてた?普通分からないかなあ」


「……いや、分からない」


「結婚だよ結婚!チー君って色々と鈍感すぎ……」


「……ああ、なるほど。却下で」


「即答!?さすがに今回は本気でショックだよ!?」


 ユイはいつものようにツッコんでくるも、少しだけ涙目になっていた。


 別に、俺はボケていったわけでも適当に言ったわけでもない。これは本気だ。なぜ結婚という形に捉われなければいけないのか。この世界でも式とかあるのか知らんけど、あまり目立ちたくもないし金もかかるだろう。


「えっと、すいませんが、結婚ってしなきゃいけないもんなんすか?この世界では」


「え?それが普通だよ?みんな、付き合って、一緒にいたいって思ったら普通は結婚するんじゃないの?」


「う~ん。ユイは、したいんすか?」


「そりゃ、チー君との結ばれた証拠でもあるし。子供だって欲しいし……」


「……」


 子どもが欲しい……。結婚するだけなら百歩譲っていいとしても、俺はその言葉が何より怖かった。なんだかんだ言って、今までは避妊の魔道具とか言う超便利なものがあったから何度もおせっせできたが、ユイは子供を欲しがっているとなると……。


 正直、俺は子供は欲しくない。ただ前世は単純に俺の超ブサイクチー牛陰キャ遺伝子を子供に受け継ぎたくない。その子供が俺と同じ道を辿ると思うと絶対に嫌だ。そもそも子供自体俺は好きでもないし。


 経済面に関しては、まあ、今は俺たちはSランクパーティで経済面で言ったらなんも困ることはないからいいんだけど。顔もユイと俺の遺伝子を受け継げばそりゃ美男美女は間違いない。問題は……


「ユイ、ちょっと質問があるんすけど、予想を聞きたいというか」


「なあに?」


「俺の今持っている遺伝子は、前世の俺と、今のこの身体、どっちが引き継がれると思いますか?」


「ほえ?」


「もし元の俺の性格や顔を引き継いだのなら、子供は絶対苦労する。ただ、今のこの世界の身体の遺伝子を引き継げば俺も文句はありません」


「そ、そんな難しい事考えてたの……?」


「当たり前だ。子供を産むってのは遊びじゃない。一つの人生を生み出す、この世に解き放つ行為です。その子供の人生がクソになるか幸せになるかは、8割以上が遺伝子や親や周りの環境によって大きく左右するんです。俺の前世みたいな思いなんか絶対にさせたくねえ」


「……」


 ユイは黙りこくる。


「そんなの分かんないよ。でも、私は、たとえ前世のチー君の遺伝子を引き継いだとしても、絶対ちゃんと育てたい」


「ちゃんと育てるのは当たり前だ。それが空回りして、子供に影響を与えたらどうする?動物を飼うみたいに、最初はただ欲しいと思っていたけど、環境の変化や思っていたより大変だとかの理由で適当になったり育児放棄したりする可能性も無くはない。俺の親はブサイクな遺伝子を残し、さらには俺に過度な期待ばかりして、虐待して、自己肯定感を奪った。俺はその子供だぞ?俺自身が、そうな親になるかもしれないだろ」


 俺は前世のクソみたいな人生を思い出して少し気持ちが高ぶってしまう。だが、ユイは俺の手を握って、優しい声で返す。


「じゃあさ、そのチー君の前世の親を反面教師にすればいいんじゃない?」


「そう、そりゃあそうする。でも、失敗したら?これはゲームじゃない、やり直しはできない。子供にとっては失敗したまま人生を歩むことになる」


「そんなの誰だって失敗はあるよ」


「だがその失敗のリスクが違う。子育てに失敗は許されない、子供の人生にもろに影響が行く」


「……ねえ、私との子ども、そんなに嫌?」


「話を逸らすな。ああ一応、ユイとの子どもはいやじゃない、でも万が一の事があったら」


「大丈夫だよ。それだけチー君が色々と子供のことを考えてるなら、失敗なんかしないよ」


「……」


 やっぱり怖い。もしブサイクに産まれたら。もし子供がぐれたら。他にだって心配事はある。


「ユイの気持ちはわかりました。でも、子供だけじゃないっすよ。子供が出来たらユイとの時間は?それに、子供が出来たら女は豹変するってよく聞く。俺の自由な時間は?そもそも、そんな形式にとらわれたもの、わざわざする必要はあるのか?」


「それも心配しなくてもいいよ。私が子供ができたからって、チー君の事おろそかにすると思う?豹変すると思う?私はずっと私だよ?確かに形式かもしれないけど、やっぱり私はそれがいいなって。憧れみたいなものもあったし」


「……はあ、そっすか」


 ユイには負けた。もう何を言っても曲げないと見た。子供については、まあ、前世の親みたいな、チー牛に育て方だけは絶対に避ける。俺とユイで情報共有しながら上手く育てていけばいい、その3人で幸せになれるように。


 金銭面も問題ない。俺自身チー牛だったから、俺みたいにならないように、かつ子供の人権も尊重しながらなら。


 ユイとの時間が減るのはもう仕方ないが、だからと言って嫌いになるわけでもないしな。


 最悪、子育てなら4人で手伝い合いながら頑張ればいい。


 ユイがしたいって言ってるのに、否定ばかりしても仕方ない。俺も感情的になってたな。


「ユイ」


「はい」


「とりあえず、もう少し待ってください。今度改めて、プロポーズするんで」


「……えへへ、嬉しい。でもそう言うのって事前に言わないと思うんだけどなあ」


 俺とユイはそのままキスを交わし合う。本当に、可愛い”嫁”を持った。


「で、そろそろチー先輩とゲームの続きしたいんですけど」


 シオリーがガン見しながらつぶやく。


「ご、ごめん。やるか」


「チー君、切替速すぎないかな……。そうだ、シオリーちゃんとランちゃんは結婚願望とかあるの?」


 まあユイとだけ結婚ってのもな……待て待て完全に異世界に脳が侵されてる。普通は1人と結婚だからな?この世界が一夫多妻だからこそ許されてるが……。にしても、シオリーはだいたい予想つくが、ユイと同じこの世界のランはどう思っているのか。シオリーは嫌な顔をしながら言う。


「私もチー先輩とだいたい同じ意見です。先輩のはともかく、私の劣性遺伝子が受け継がれると思うと……そもそも子供、苦手ですし。出産もちょっと怖いです。私は先輩との時間の方が大切にしたいです」


 まあ、さすがは俺と同じ前世の現代日本人。少子化まっしぐらの中で生きてきた人間だ。


「あたしもいいわ。別に。チーとずっと一緒にいられるなら、結婚とか別に。あ、もしチーがどうしても子供が欲しいって言うなら、考えなくもないけど……」


 ランも特に結婚願望は無いっぽい?ランの本音は相変わらず読めない。まあ、俺に任せるみたいなスタンスか。


「そしたら、ユイとだけ結婚って感じでいいんすかね」


「うん!これからもよろしくね、あなた、なんて」


「可愛すぎんだろ」


「えへへ、もっと言ってチー君」


「可愛すぎんだろ」


「邪魔ですユイ先輩」


「ひゃ!?」


 シオリーがひょいと風魔法でユイを後ろのソファに軽く吹き飛ばす。こわ。よほど俺とのゲームの邪魔をされたくないのか、嫉妬か……。あんな人に怯えるほど人見知りだったシオリーがユイをこんな扱いするくらいに成長しちゃってもう。


「もう!シオリーちゃんひどい!」


「目の前でイチャラブされる方がひどいし不快です……。でも、なんだろう、ユイ先輩だけチー先輩と結婚って、なんかずるく感じてきました」


「……確かに、なんか一人だけ抜け駆けしてるみたいに感じるわね」


 シオリーとランがじーっとこちらを見てくる。え、なに、どういうこと?


「せーんぱい?私もいつでも待ってますからね?あ、子供は大丈夫ですので」


「ねえ、あたしもやっぱりあんたと正式に愛し合ってるって証明が欲しくなっちゃったわ。いいでしょ?」


「……結局こうなるんか」


 女ってグループでの張り合いというか、そう言うのが激しいってのは聞いてたけど、まさかユイに嫉妬して二人も結婚したいと言い出すとはな。くそ、もうどうにでもなれ。


「みんな俺の嫁だよもう!もうなんでもいいわ!シオリー、続きだ!今度は負けねえ!」


「望むところですよ!チー先輩!」


「あ、私も入れて!ランちゃんもやろ!」


「あ、アタシも?ま、まあ別にいいけど」


 俺は再びコントローラーを持つ。……楽しい。幸せだ。


 前世ではあんなにクソみたいな人生だったのに、俺は今や3人の嫁を持つことになった。


 あんな拗らせて自己防衛を徹底していたチー牛が、イケメンという最強の容姿と、大魔法師と剣聖のDNAを受け継いだ最強の遺伝子と、アホみたいにお人好しのユイとの出会いで、こんな幸せになれた。


 今でも、俺は努力じゃなくて、遺伝子や環境のおかげっていう考えは変わることも無いし変えるつもりもない。実際そうだったんだから。


 もし一つでも欠けていたら、また違った人生を歩んでいたかもしれない。チハルのようになっていたかもしれない。本当に、運だよな。


 ユイとの出会いに感謝だよ。シオリーとランも。俺はこの世界で死ぬまでユイたちとイチャイチャして、死ぬほど人生楽しんでやる。こんな奇跡、もう二度と起きねえよ。


 この世は才能と環境ってことだな。


 まあ、まだ拗らせもあるけど、せっかくつかんだ幸運だ。自己防衛しつつ、今のこの環境や出会いを大事にして生きてくさ。









 拗らせ陰キャの自己防衛ライフ ~イケメンになってもガチ陰キャ~ 


 完

ここで本当にこの物語はおしまいです。


ここまで読んでくれた方、ありがとうございました。

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