第218話 変な屋敷の捜索することになった
おっと?これは感動の再会か?どうやらシオリーの兄らしき人と出会ってしまい、シオリーと男が見つめ合っている。
男はそのまま手を広げ、シオリーを呼ぶ。
「シオリー、おいで。この村でシオリーが帰ってくるのをずっっっっと待っていたんだよ」
「お兄ちゃん……生きててよかった……」
シオリーは促されるままに兄の元へ駆け寄り、抱き着く。兄は背中をポンポンと叩いている。俺は何を見せられているんだ。クソ、なんかうぜえ。
シオリーの兄は俺たちの方に向き直り、お礼を口にする。
「ありがとうございます。シオリーを返しに来てくれたんですね?」
クラウドは少し困りながらも、同じく丁寧に接する。
「いえ、僕たちもシオリーの故郷とは知らずにここにきて……」
「そうなんですか……これも運命ですね。ここじゃあれですし、家に案内しますよ。私はセオリー・ブックカーバです」
「俺はクラウドです。よし、みんな、ひとまずこの方に付いて行こう」
セオリーはシオリーの手を繋ぎながら、暗い夜道を歩いて行く。俺たちは付いていくことになった。
---
セオリーに付いていくと、この村では目立つような、少しだけ豪華な屋敷に案内された。セオリーはここに1人で住んでいるのか?一人にしてはかなり広い。
ここでずっとシオリーの帰りを待っていたのか。なぜだか負けた気がしてネガティブになりそうだ。シオリーに「お兄ちゃんの方が金持ってるし私のこと愛してくれるのでこの家に住みます。さようならチー先輩っ」とか言われたら……。
「シオリー、えと、この家の方が豪華なんで、その……俺から離れるとか……」
「そんなこと絶対ないですから!家が良いんじゃなくてチー先輩が良いんですっ!」
「え?あ、はい」
可愛いが過ぎる!何なんだこいつは、一生大事にすりゅ。きっしょ。
客間に案内された俺たちは、ソファに促されそれぞれ座っていく。セオリーはお茶を持ってきてそれをテーブルの上に置いて行く。……なんか嫌な思い出があるな、ライとかいうキザな殺し屋が毒入りの水筒のお茶とか出してきて……あの時は俺の人間不信がユイを助けたんだよな……。
「毒は入ってませんよ」
「え?あ、はい」
セオリーになぜ俺の心配がバレたのか……どちらにしろ飲まねえよ、怖えから。まあそれは置いといて。クラウドは事情を話し始める。
「実はこの村の人口調査に来てまして、以前ここに調査員が来たはずなのですが、どこにも人気が無い上に、昨日も個々にギルドのパーティが訪れたはずなのですが帰ってきてないんです」
「そうなんですか」
セオリーは軽く頷いている。それだけだった。
「あの、調査員やパーティの方々は今どこにいるかご存じでしょうか」
クラウドは聞いてみる。セオリーは笑顔で答える。
「はい、いますよ」
「え、でもこの村のどこにも……」
「いますよ~。あ、あなたたちに振る舞いたい料理があるんです。食べていきませんか?今日はここに泊まってください。料理してくるので」
「え、いや、まず質問に……」
なぜかどこにいるのかは答えず、そのまま部屋を出ていった。なんで料理?別に、どこにいるか答えるくらいできるだろうに。
「お兄ちゃん、きっと嬉しいんですよ、私が帰ってきてくれて」
「そうなのかな……」
そう言えば気になることもある。シオリーはこの村の魔法師たちに迫害されてたんだろ?その魔法師すらいないのか?兄だけ生き残っているのもなんでなのか。
「俺たちもここまで全然食ってないし、頂こうぜ」
「え、まあ」
「でもさ、その前に、この屋敷探検しないか?料理なんて速くても10分もかからんだろ」
子どもか。
「怖いのでパスで」
「怖くねえよ、別にうろつくななんて言われてねえだろ?見つかっても謝ればいいんだよ。優しそうなやつじゃん。シオリーの兄貴」
まあ、レッドの言う通りではあるんだけど……俺はシオリーとユイと目を合わせる。ユイは笑顔で答える。
「チー君行ってきなよ、レッド君だけじゃちょっと危なそうだし」
「確かに」
「どういう意味だよ」
そういう意味だよレッド。お前勝手な行動しすぎなんよ。まあ、確かについて行ったほうが良いかもしれない。
「あ、私も行きます。お兄ちゃんの家、気になりますし」
「え、まあ、いいけど」
「よっしゃ、三人で行こうぜ!」
レッドは俺と肩を組む。ほんと調子のいい奴だな。
「あまり遅くなりすぎるなよ」
「来なかったらサンたちだけで食べちゃうもんねー」
クラウドとサンに見送られ、俺たちは部屋を出た。
---
俺たちは少し広い廊下を歩く。本当に人が一人もいない。こんな広い屋敷を一人で持て余しているのか。広い家って、トイレとか料理とか移動に時間かかるし、あんまり良さそうに思えないんだよなあ。けっこう不便じゃねえの。
なんて思いながら、シオリーとレッドと適当に雑談しながら散策。しばらくして、セオリーが向かったであろうキッチンらしきところに着いたのだが、誰もいない。
料理作ってるんじゃなかったのか?
「あれ、ここキッチンだよな。いなくね?」
「材料とか運んでる最中なのでしょうか」
2人は疑問を口にする。まあ確かに、セオリーが部屋から出ていって数分も経ってないし、この広い屋敷だもんな。まだ料理に取り掛かっていないだけかもしれん。
「まだかかりそうだし、まだ散策続けようぜ」
「まあ、はい」
俺は少し不安になりながらも楽しそうなレッドについていく。
その先の廊下を進むと、何やら地下に続く階段が現れる。どこに繋がっているのかは分からないが、こういうのって、だいたい嫌な予感しないか?見つかって後ろから刺されたり……
「どうした、行ってみようぜ」
レッドはすでに階段を降りていた。なんでだよ!お前に危機察知能力はないのかよ!俺はシオリーと目を合わせ、互いに苦笑しながら、肩をすくめて降りていった。




