獣人第2話「役目」
※「発言など」※《以心伝心》※
「トニー、ダックス、ラルフ!よくぞ戻ったのう。」
「ヒューおじさん。」
「どこか怪我をしておらんか?大丈夫かの?」
「大丈夫だ。途中、空を飛ぶ謎の生物がいたが、無事に帰って来れた。」
「何⁈それは黒色の見た目だったかの⁉︎」
「いや、黒というよりは灰色だったよな。」
「あぁ、何よりも物音が丸聞こえだった。」
「生命の囲いの外でのことを詳しく聞けるかのう?」
「もちろんだ。まず、生命の囲いからほど近いところには、ここと同じ植物が生い茂っていた。」
「それで、しばらく進むと先が見えないほど生い茂った森があった。」
「その森を音頼りで進んでいると、物音が聴こえてきたんだ。」
「その物音に向けて慎重に近づいていたら、突然音が聞こえなくなった。」
「そうしたら、別の物音が大量に聞こえ始めて、来た道にも一体いるようだった。」
「その物音的に、こちらに向かっているようだったから、トニーが木に登って、上からの奇襲で倒して帰って来た。」
「1つ、生命の囲いについて語り継がれてきた話があるんじゃ。」
「生命の囲いについて、ですか?」
「そうじゃ。かつて、この世に生命の囲いはなかった。」
「生命の囲いがなければ、『外敵』から身を守れないではないですか!」
「その『外敵』がいなかったからじゃ。そもそも、『外』敵という言葉にも誤りがある。」
「外でなければ内側とでも言うのですか!」
「この話を語り継ぐ上で、注意すべき事も語り継がれておる。」
「注意すべき点?」
「『力ある若者』と『意思の強い者』には、決して語り継いではならない。」
「トニー、ダックス、ラルフ。おぬし達はその両方に当てはまるじゃろう。」
「なんでですか!」
「私たちは平和のために働くことを役目とする種だ。そのために得た力が暴走するような事が、あってはならない。」
「言い伝えを教えてもらえないなら自分たちで探し当てるだけです!」
「『生命に平和を』じゃ。忘れるでないぞ。」
〜トニーの所属する木〜
「おかえり!」
「ただいま。」
「アン。猫との同調はできたか?」
「うん!猫ちゃんと同調した!」
「じゃあ、猫ちゃんの身体を借りれるか?」
「うん!あ、猫ちゃん来た。」
「それなら、アン。大事な役目を与える。」
「何?」
固有名詞解説
同調:②同調する相手の生物と合意しなければ同調できない。同調した相手の身体を借りることで操る事ができる。