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141.プログラムから復元された者たちの選択

141.プログラムから復元された者たちの選択


翌日。

ニューレオンの拠点の一室に、ジュンは静かに座っていた。

昨日の会議で、オットーたち“元2120年の人間”は帰還を望み、

一方で、復元された七人はこの世界に残ると宣言した。


だが、ジュンはまだ決断できずにいた。


「……俺は、どうすべきなんだろうな。」


独り言のように呟いたその時、扉がノックされた。


「ジュン、入ってもいい?」

柔らかな声が聞こえる。


「リリルか。どうぞ。」


扉が開き、エルフの女戦士リリルが入ってきた。

その後ろには、ブルーファルコンの三人――ドノバン、ジュガ、ルード。

さらにアーチバルド元子爵、ユリア、ハンスも続いて入ってきた。


七人全員が揃っていた。


「……どうしたんだ?」

ジュンが驚くと、ドノバンが杖を軽く鳴らした。


「お前が悩んでいると聞いてな。

我々も、改めて話をしておこうと思った。」


リリルが一歩前に出る。

「ジュン。

昨日も言ったけれど、私たちはこの世界に残るわ。

それは……あなたが作ってくれた“私たちの人生”が、この世界にあるから。」


ジュンは静かに頷いた。

「……ありがとう。でも、君たちは“復元された存在”だ。

元の世界に戻れば、法律上の存在すら認められない。

それを考えると……俺は、君たちを置いていくことに抵抗がある。」


ユリアがそっと手を挙げた。

「ジュン様。

私たちは、この世界で生きることを選びました。

それは、あなたが与えてくれた“第二の人生”を大切にしたいからです。」


アーチバルド元子爵も深く頷く。

「私はかつて地位を失い、全てを失った。

だが、この世界で再び立ち上がる機会を得た。

それを捨てる理由はありません。」


ハンスが静かに言葉を継ぐ。

「我々は、この世界で生きる覚悟を持っています。

ジュン様が罪を恐れて元の世界に戻る必要はありません。」


ジュンは胸が熱くなるのを感じた。


「……でも、俺が残れば、オットーたちとは別れることになる。

彼らは長い間、俺と共に旅をしてきた仲間だ。」


ジュガが腕を組んで言った。

「仲間なら、別れを受け入れるさ。

お前がどこにいようと、絆は消えない。」


ルードが穏やかに微笑む。

「ジュン様。

あなたは“どちらかを捨てる”必要はありません。

どちらの世界にも、あなたを想う者がいるのです。」


ドノバンが杖を突き、静かに言った。

「選ぶのは、お前の心だ。

我々は、お前の決断を尊重する。」


リリルがジュンの目をまっすぐ見つめる。

「ジュン。

あなたがどちらの世界を選んでも……私はあなたを誇りに思うわ。」


その言葉は、ジュンの胸に深く響いた。


しばらく沈黙が続いた後、ジュンはゆっくりと口を開いた。


「……ありがとう。

君たちの気持ちは、しっかり受け取った。

そして……俺の答えも、決まった。」


七人が静かに息を呑む。


ジュンはまっすぐに彼らを見つめ、言った。


「俺は……この世界に残る。」


リリルの瞳が揺れ、ユリアが小さく息を呑んだ。

アーチバルド元子爵は深く頷き、ドノバンたちも微笑んだ。


「ジュン様……」

ルードが静かに呟く。


ジュンは続けた。

「2120年の世界では、俺は罪人だ。

でも、この世界では……俺は俺として生きられる。

ニューレオンの町も、君たちもいる。

そして……魔素と科学の融合という、新しい未来がある。」


リリルがそっとジュンの手を握った。

「……ありがとう。

あなたが残ってくれるのは、本当に嬉しい。」


ジュンは微笑んだ。

「こちらこそ。

君たちと一緒に、この世界で生きていきたい。」


七人は安堵の表情を浮かべ、静かに頷いた。


こうして、ジュンはついに決断した。

二つの世界の狭間で揺れていた心は、ようやく一つの道を選んだのだった。

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