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貴方に黒い花束を  作者: 雪逸 花紅羅
消えゆく理と運命の狭間で
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天の助け

今回はショコラ視点でお送りします。

前回はガレッドが「神殺し」を達成しました。

心強い味方が現れます!それでは、お楽しみください!

俺はラディアと二人、大広間に取り残された。

漂う静寂と血の匂い。足元に転がる瓦礫の数々。

その全てが不愉快でならなかった。

ガレッドは遠くへ走り去り、居場所も掴むことが出来ない。

只、俺が今すべきことはラディアの傷を何とかすることだ。

痛々しい傷に目をやると・・・夥しい量の血が流れ出ている。


とてもじゃないが見ていられない


近くに衣料品に代わるものがないか探すが見当たらない。

クソッ・・・このままじゃ動くことも出来ないだろうな。

ラディアは死ぬことはないだろうが、それでも傷は痛むだろう。

何にせよ止血しなければ、今後のことにも影響がある。

それに近くに敵が潜んでいるかもしれない。


辺りを注意深く見渡す。

何だ?柱の影に気配がある?


「姿を見せろ。柱の影に隠れても良いことは無い」


俺がそう告げると柱の影から意を決した様子で人が現れる。

その人物は赤いマントに身を包んでいる。嫌な予感がした。


・・・俺はその人物をよく知っている。

優しくて、強くて、とても大きな存在だ。


「例え恩人でも手加減はしない。申し訳ない」


俺は腰に佩いていた刀を抜く。

そして一定の間合いを維持する。

完全な戦闘態勢だ・・・とはいっても相手は動かない。


「待て。ラディアにもう手を出すつもりはない」

「どういうつもりだ?」

「私は真実を知ったのだ。だから我が子を護りたい」

「真実?」


相手は一向に戦う様子は見せなかった。

その代わり、手には医療品の入った籠が握られている。

これは信じても良いのだろうか?判断に困る。

俺の空気を感じ取ったのかマリー様は言葉を続ける。


「私は全て聞いた。創造主より命を受けている」

「それは、どのような?」

「お前達を助けよとの命令だ。そしてこれは私の意志でもある」


成程な。確かに、あの神ならば有り得ることだ。

この話は本当だと断定しても大丈夫だろう。


「分かった。ラディアの手当を頼む」

「当然だ。お前は周囲への警戒を怠るな」

「嗚呼」


言われなくてもそうするつもりだ。

それでも、その言葉には強い意志が見受けられた。

この人は本当にラディアを愛している。

だから、今ここに戻って来たのだ。

張りつめていた空気が少しだけ緩和する。


決して器用な手当とは言えなかったが、それでも十分だ。

マリー様にしてはよく頑張った方だと思う。


「ルカとの戦いを見ていたが、ガレッドは行ったようだな」

「どこへ行ったか分かるか?」

「創造主を救いに行ったのだろう?」

「だが不死身ではなかったのか?」

「まぁ、そうだな。しかし救う方法は伝わっているぞ」

「そうなのか?知らないな」


ずっと神は不死身なものだと思っていたがそうでもないらしい。

殺す方法が地上に伝わっているとは何故だろう?

やはり自分を救ってほしくて、策を弄したのだろうか。


「どんな方法なんだ?」

「それには堕天使の存在が必要不可欠だ」

「ガレッドのことか」


「神に離反した神に近い存在。それが堕天使だ。

漆黒の翼は神聖なるものを退け、やがて神を滅ぼすという」


「そんな言い伝えがあったのか」

「だからこそ堕天使は忌み嫌われ、鴉も不吉とされている」

「神を滅ぼす予言から、風習が生まれたのか」

「その通りだ。しかし堕天使にも同じことが言える」

「同じこと?」

「堕天使は聖なるものが苦手で、聖なるものに触れられない」

「だから銀とかが苦手だったのか」

「そうだろうな。これは黒猫の言い伝えでもあるぞ」

「それは気になるな」


一通りの話を聞いて納得する。

堕天使は神に近い存在であり、神を唯一滅ぼす存在。

神の聖なる力を跳ね除け、その命を奪う危険因子。

黒い翼はその象徴であり、魔の具現化した姿であると。

しかし堕天使も同じく聖なる力を苦手としている。

現にガレッドは銀に触れると火傷をしていた。

互いが互いを傷付けるようになっているのか。

天使が神に逆らうものを罰するのは堕天使を生まない為か?


「鴉と真逆に位置するのが黒猫だ」

「何故、黒猫なんだ?黒でなくてはいけないのか?」

「黒猫は闇を照らす存在として魔除けとされたのだ」

「闇を照らす??」

「黒猫は黒くて暗闇では眼しか見えんだろう」

「単純な理由なんだな」

「確かに、単純かもしれん。でも私は良いと思うぞ」

「そうなのか?」

「それで猫を飼うものが増えれば傷付くものも減るだろう?」


そういってマリー様は俺に笑いかけた。

意地悪そうな笑みの奥には何とも言えない愛情が籠っている。


「俺の正体に気付いてるのか?」

「当然だ。お前は私について恩人だと語った。それに聞いているからな」


そんなことだろうとは思っていた。

しかし、なかなか面白い言い伝えが聞けたものだな。

ラディアの手当もちゃんとされているようだし文句は無い。

心配なのはガレッドについてだ。


「神殺し」か・・・


果たしてアイツにそんなことが可能なのか?

条件は揃っているとはいえ本当にその道を選ぶのか?


「ガレッドについては心配するな。きっと救える」


力強い声だ。その声は信じるに足るだろう。


「ケルビム・・・貴方達を決して神とは認めない」


聞きなれない男の声だ。

振り向くとそこには槍を手にする若者がいる。


「どういうつもりだ、アンリ。創造主の命を忘れたか?」


俺とラディアを庇うようにマリー様が前へ出る。

その手には燃え盛る炎の剣。相手の槍にも引けを取らない。


「神は滅び、次代の神は定まっていない。だろう?」


その声は威圧に満ちており、狂気に満ちている。

こいつはまともではない。きっと歪んだ奴だ。

刀を握り直し、ラディアを庇う。これ以上の傷は危うい。


「白羽の矢が我々に刺さったと言いたいのだな?」

「神殺しはケルビムの執事が行ったのだろう。見損なった」

「ハッ・・・どうとでも言うがいい。ラディアは渡さない」

「知っているだろう?不死性の高いものは神の条件だ」

「だからどうした。貴様には指一本触れさせん」

「彼女が次代の神である可能性は高い。奪うなら今だ」

「何だとッ!貴様は自分の言っていることが分かっているのか?」

「次代の神に仕えるのは当然だ。そして傍に居るのは俺だけでいい」

「性根が腐っているようだな。この私が貴様の性根を叩き直してやる」


目の前で口論が繰り広げられている。

口を挟む間も無い程の剣幕で互いは睨み合っている。

アンリという男はラディアを奪い、自分が次代の最高天使になる気だ。

だがマリー様がそれを許す筈が無い。

アンリが言っていることは、どれも自分勝手なことなのだ。

ラディアを利用する魂胆が明らかだった。


「勝負だ、ケルビム。次代の神を渡してもらう」

「貴様のような奴に我が子を渡す訳にはいかん」


――今まさに戦いが始まろうとしていた



何と!マリー様が仲間になりました。

何と言うかマリー様がいるだけでホッとしますね。

こちらとしてもありがたいです。安心して見てられます。

次回も面白くなりそうですね。是非、ご覧ください!

いつも、ありがとうございます。お疲れ様でした!

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