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貴方に黒い花束を  作者: 雪逸 花紅羅
その灯が消えるまで
3/38

黒猫ショコラと執事ガレッド

今回からやっと物語が始動します。二人の運命は如何なってしまうのでしょうか?

黒猫ショコラと執事ガレッド。

何かと相性の悪い組み合わせですが、それは・・・何故なのでしょうか?


懐中時計の針が一時を示す。もうそろそろ時間か。

お嬢様の部屋へ行かなくては・・・。


「お呼びでしょうか?お嬢様」


扉の外から声をかける。


「どうぞ、入ってガレッド」


優しげな声が響く、いつもと違う楽しげな声にホッとした。

いつもの悲しげな声とは違う。それだけで私は幸せだった。

少しでも貴方に幸運が訪れてほしいと願う。

そう願うのはきっと悪いことではない筈だ。


「失礼します」


扉を開けて部屋の中へ入った。

その途端、お嬢様の膝の上でくつろいでいた黒猫が警戒し始めた。

この黒猫はショコラ。お嬢様の飼い猫であり、

この国で神聖視されている動物だ。

何故か私は嫌われている。一体どうして?


「ガレット、貴方やっぱりショコラに嫌われてるみたいね」


ショコラは残された片方の目で必死に私を睨み付けている。

今にも飛び掛かりそうな勢いだ。


「そのようです。何故でしょうか?

他の黒猫は私に無反応なのですが・・・」

「きっと、ショコラは片目を失ったせいで警戒心が強いのよ。

余り人には懐かないから」


奥様から聞いた話によれば、

ショコラは鴉に襲われていたところを助けられたそうだ。

それ以来この屋敷でショコラを飼うことになり、

お世話は私とお嬢様に任されている。


「おいで!ショコラ」


お嬢様に名を呼ばれた黒猫は緑のリボンを揺らしながら後ずさる。

そして一瞬のうちに振り返り、お嬢様の許へ駆け寄った。


「私は黒猫が余り好きではありません」


正直に申し上げた。私は黒猫が得意ではない。

世話もする気になれないのだ。


「そんなこと言わないで、ガレッド。

私の唯一の友達なの・・・。それに可愛いと思うのだけれど」

「承知致しました。

ご安心ください、私も心を込めてお世話しますから」


私が黒猫をどんなに嫌いでも、

それがお嬢様の癒しであるならば

私は心を込めて世話をしますとも。

私にとっては貴方が一番なのですから。


「そう?ありがとう、ガレット。

これで私も安心して泊りに行けるわ」


それを聞いた私は軽いショックを受けた。

お嬢様は優しすぎる節があり、

いじめの対象となることが多かったからだ。


「お嬢様、お泊りというのは?」

三啓使さんけいしの一族、オファニムから招待があったの」

「それは危険すぎます。

お嬢様、今からでも遅くありません。私が手配致しますので・・・」

「ガレッド!行かなくてはならないの。

三啓使の仲が悪いと噂が広まれば国は混乱に陥るのですよ」

「しかし、お嬢様の命が危うい状況になりえます。

オファニムといえば我々と敵対する一族ではありませんか

・・・私は反対致します。命より大切なものは何もありません」


私は断固反対だった。

お嬢様を危険な目に会わせたくなかったし、

何よりオファニムというのが気がかりだった。

あの一族は正統派で何の黒い噂もない。

お嬢様の一族ケルビムとは正反対の一族なのだ。

だからこそ恐ろしい。

貴族たる者に黒い噂が一切ないということは異例中の異例だ。

権力で揉み消している・・・もしくは軍事力をちらつかせ

脅しをかけて口封じをしていると考えた方が良いだろう。


「ガレッド・・・私は国の為に行くわ。

大丈夫、満月の夜に迎えに来て。待ってるから!」

「お嬢様・・・必ずや、お迎えに上がります」


貴方は自分の命より国の方が大事だと仰るのですか?

無理に笑うお嬢様に私は涙を流しそうだった。

余りにも勇敢で悲愴。そして優しかった。

奥様そっくりだ。無意識に思った・・・血は争えないと。





次回から物語が動き始めますよ!

そして、やはり頭を使います。頭まで血が届いてません(笑)ゾンビかっ!

雲行きがかなり怪しくなってきましたが、次回またお会いしましょう!

ありがとうございました!

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