美しく、悲壮
お嬢様の過去と思いについて書いてみました。
登場人物の一人一人に人生があります。
俺はそれを大切にしていきたいと思っています。
「おはようございます、お嬢様」
ガレッドの声だ。誰よりも私の傍にいてくれる私の執事。
私を守ってくれる強い騎士。
私が情けないから・・・弱いからガレッドにいつも迷惑を掛けてしまう。
彼は笑って「良いのですよ」と受け流すのですが私はそうは思っていない。
私もガレッドの様に強くなりたい。
お母様のようにしっかりとした人になりたい。
否、違う。そうならなくてはいけないのだ。
私はケルビムの、三啓使の後継者なんだから。
「おはよう!ガレッド」
「お嬢様やはり・・・行ってしまうのですか?」
心配そうな彼の顔。何もかも私が弱いから、何も出来ないから。
だから毎日――
「よう、ラディア!相変わらず眠そうな顔だな。まぁ、もう慣れたけど」
「ねぇ、ラディア。遊びましょう!面白い秘密基地があるの!」
ガチャン
「三啓使の跡継ぎなのに愚かね。母君とは大違い。
そこで頭を冷やしなさい。また後で来るから、ね?」
いつも、いじめられた。
どうして?私は何もしていないのに・・・暗闇に閉じ込められた。
この大きな扉は中から開けられない様に作られていて、
中には窓もなく、一切の光がない。怖い・・・。
何度も声を上げて「助けて」と叫んだけれど誰も来てくれなかった。
それでも彼は私のことを探し出してくれた。
ガチャ
扉が開いた。差し込む光は彼を照らして、
まるで昔話に登場する天使のようだった。
「如何なさいましたか?お嬢様」
ガレットは優しい笑みで私に近づいてハンカチを渡してくれた。
涙が止まらなかった。
色んな感情が混ざり合って私は何も言えなかった。
それでも彼は静かに私の傍に立って光を灯してくれた。
「ご安心を、お嬢様は私がお救いしますから・・・泣かないで」
私は安心して気を失った。
そして気付けば家に戻っていたの。きっとガレッドが運んでくれたんだ。
私の過去がふと浮かんだが、頭を振って切り替える。
私に友人と呼べる人は居なかった。
それでもショコラとガレットさえ居てくれれば幸せ。
彼等は友人以上に信頼できる存在だったもの。
「もう行かなくては、ガレッド・・・馬車を用意して」
「・・・承知致しました」
私はオファニムの屋敷へ行く。もう、弱い自分は嫌だから。
覚悟を決めた、懐に銀のナイフを隠して。
少し暗めの過去でしたが、ラディアの覚悟と決意が見て取れたのではないでしょうか?
次は新たな人物が登場します。次回もお楽しみに!




