目次 次へ PR 1/12 プロローグ 未羽は、泣かない子だった。 けれど、泣かないことと傷つかないことは、まったく別の話だ。 僕は未羽の兄で、未羽と同じ日に生まれた。 それなのに、未羽がどこで何に傷つき、何を諦め、何を抱えたまま笑っていたのか、僕はほとんど知らない。 いじめられていたことも。 異国で言葉に詰まった夜のことも。 失敗して、誰にも言わずに眠った日のことも。 知っているようで、知らなかった。 これは、僕の話ではない。 僕たち幼馴染が、それぞれの場所から見ていた、未羽の話だ。