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プロローグ

未羽は、泣かない子だった。


けれど、泣かないことと傷つかないことは、まったく別の話だ。


僕は未羽の兄で、未羽と同じ日に生まれた。


それなのに、未羽がどこで何に傷つき、何を諦め、何を抱えたまま笑っていたのか、僕はほとんど知らない。


いじめられていたことも。

異国で言葉に詰まった夜のことも。

失敗して、誰にも言わずに眠った日のことも。


知っているようで、知らなかった。


これは、僕の話ではない。


僕たち幼馴染が、それぞれの場所から見ていた、未羽の話だ。

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