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第30話 ボクの冒険は続く

 ボクはオパール。

 未来のイオネル男爵になる男だ。


 ちょっと頼りないお父さまと、優しいお母さま。

 頼りになる執事で教育係のジェイと、治癒師でメイドのコーラルと暮らしている。

 もちろん可愛い妹のルビーも一緒だよ。

 生まれたばかりの赤ちゃんは、あっという間に大きくなって、いまは絶賛ハイハイ期。

 小さな体で気に入った人のあとをついて回る姿は可愛いけれど、ちょっと心配。

 

「ルビー。お兄さまがいい旦那さまを見つけてあげるから、変な男についていっちゃダメだよ?」

「変な男とは何ですか、変な男とは」


 アクアマリンも時々顔を出し、可愛いルビーの遊び相手をしてくれる。

 いま一番ルビーに付きまとわれている男だ。

 付きまとわれ男のナンバーワンがボクじゃないのが悔しいから、アクアマリンにはちょっと意地悪になるよ、ボクは。


 アクアマリンは顔整いだし、銀色の長い髪はツヤツヤだし、淡い青の瞳もキレイだけどもさ。

 ルビーからしたら、オッサンだよね?

 オッサンのあとをついて歩いて楽しいのかなぁ。

 貴族の美形だからって、オッサンになったら臭くなると思うけど。


 もしかしてルビー、鼻が悪いのかな?

 鼻筋は通っているし、いまはちょっと低いけど将来はお母さまみたいなスッとしたキレイな鼻になると思うんだよね。

 ルビーは可愛いし、大人になったら絶対、美人になると思うんだ。

 だから安売りしないように、今からしっかり躾けないとね。

 

 薬師になりたくて騎士団の騎士という出世間違いなしのポジションを蹴って、親から勘当されるような伯爵家の令息に気のあるそぶりなんて見せたらダメ。

 ダメったらダメなの。ぶー。

 

 ボクってば、嫉妬は隠さないタイプみたいです。


「おいおい、ルビー。お前の一番のお気に入りは、お父さまだろう?」


 お父さまが乱入してきた。


「お父さまはお母さまのだから、ルビーのじゃないよ。でもお兄さまは空いてるからね」

「おいおい、オパール。妹に変なことを吹き込むんじゃない」


 お父さまが慌ててる。変なの。事実を言っただけなのに。


「ふふふ。ルビーはなんといっても、お母さまのことが好きよね?」

「ばぶー」


 お母さまに言われて、ルビーが返事をした。

 やっぱりお母さまには敵わないよね。


「おや、坊ちゃま。ルビーさまにお母さまをとられても悔しくないのですか?」


 ジェイが真顔でいう。

 

「ふふふ。坊ちゃまはまだ5歳なのですから、ルビーさまとお母さまの取り合いをしてもよいのですよ?」


 コーラルがボクをからかって遊んでいる。


「そんなことしないよ」


 ちょっとむくれてボクが答えたら2人して噴き出した。

 失礼だな、君たちは。ぷんぷん。

 ボクは子どもだから、ルビーとお母さまの取り合いをしてもいいんだけど。

 ルビーは可愛いから、負けても別にちっとも悔しくない。

 

 なんだったら、お母さまとルビーのセットがボクのだもん。

 2人ともボクのだもん。


 そういうと、お父さまが拗ねちゃうけど。

 ごめんなさい、お父さま。めっちゃマジの本気で思っている。

 お母さまとルビーのセットはボクのだよ。

 お父さまにもあげないもん。


 そんな感じでボクの日常は回っている。

 でも変化もあったんだよ。

 

 最近のボクは文字が読めるようになった。

 だからお爺さまから直接、ボクに手紙が来るようになったよ。

 いまお爺さまは、南の島で、スパイス探しの真っ最中なんだって。

 綺麗な鳥が飛んでいて、現地でヒナをもらったから、餌付けして育てているらしい。

 いいなー。鳥のヒナ。可愛いんだろうな。

 王都へ帰るときに連れてきてくれるらしいけど、その時にはもうヒナじゃなくなっちゃってるよね。

 小さな鳥さん、見たかったなー。

 ボクは文字を書けるようにもなったから、手紙にそう書いて返事を送ったよ。

 何日くらいで手紙は届くのかなぁ。楽しみ。


 今までは旅に出たお爺さまと連絡を取り合うこともなかったけど、これからは手紙でやりとりできるから楽しみが増えちゃったな。

 ボクはこれから出来ることがどんどん増えていく。

 楽しみだね。

 いろんなことが出来るようになったら、お爺さまみたいに旅に行くのもいい。

 

 その前に王都の貴族学校へ通わないといけないけどね。

 ボクは王都住まいだから、寮に入らなくても通える。

 だからルビーともずっと一緒にいられるんだよ。


 勉強は大変そうだけど、学べば学んだだけ、世界は広がる。

 出来ることが増える。

 それはきっと楽しいことだ。

 

 ボクはまだ5歳で。

 使えるスキルはマジックスキル【お弁当箱】なんていうふざけたスキルで。

 情けない前世持ちのちびすけだけど。


 前世なんて関係ないよ。

 それにこのマジックスキルだって、使い方次第ではきっと武器になる。

 その方法を、ボクがまだ知らないだけだ。

 

 ボクは、女神さまがくれたマジックスキル【お弁当箱】とみんなの教えを力に変えて、何回没落したって男爵家を盛り立てるんだ。

 もちろん栄養満点の美味しいお弁当で、もちもちほっぺも死守するよ!



 ~end~

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