01 こうして大都市にやってきた
風がそっと吹き、木の葉をかすかにざわめかせていた。
そんな光の下で、一人の少年が東南アジアの大都市の外れの小高い丘に立ち、片手にスーツケースを持ち、もう一方の手で目を覆いながら眼前の東南アジアの大都市を眺めていた。風が彼の白いシャツを揺らし、微妙に震わせる。ネクタイはきちんと締められ、金色のクリップで留められている。全身からどこか眩しいほどの陽の光が漂っているようだった。
朝だというのに、空気はまだ暖かく、少年は美しい陽光に照らされた東南アジアの大都市を眺めていた。
「もう七年か……まさかこのひきこもりの俺が、またここに来るとはな。」
彼の顔には笑みが浮かんでいるが、その笑みはどこか無理やりだった。
この少年の名は神崎河馬という。正確に言えば、もう少年とは呼べない。河馬はもう二十七歳だからだ。ただ長年室内でゲームに没頭していたせいで、顔つきが若く見えるだけだった。二十歳で大学を中退して以来、彼はこの東南アジアの大都市に一度も足を踏み入れていなかった。この七年間、家にこもってゲームばかりしていた。いわゆる立派なニートであり、甘やかされて育った世代だが、現実というものは時として小さな冗談を仕掛けてくるものだ。
「とりあえず泊まる場所を探そう。なるようになるさ。」
河馬は微笑みながら、そう呟いた。
「昔の友達に頼ってみるのもいいかもしれない。」
スーツケースを引きずりながら、彼はそう考えた。
今回戻ってきたのには、深い理由があった。
話は五年前に遡る。河馬がひきこもり二年目の時、彼の姉が一人でこの東南アジアの大都市に飛び込んでいくことを決意した。どうやらあの小さな村にいるのが嫌になったらしい。河馬のように祖母と一緒にいたいと思う性分とは正反対に、姉はまったく異なる人間だった。本当にこの二人が実の姉弟なのか疑わしいほどだが、事実そうであり、それゆえに二人の関係は非常に悪く、三年間で十回も会話を交わしたかどうか。何か話すこともなかった。
ひきこもりが嫌われるのは当然だ。たとえ姉に会っても、河馬はわざわざ嫌われる真似はしなかった。せいぜい挨拶をして、彼女が嫌そうな顔で足早に通り過ぎていくのを見るだけだった。
二度と振り返らず……曲がり角に消えるまで。
そんな時、河馬はたいてい肩をすくめて、一笑に付した。
もともと姉とはまったく縁のない人間だ。彼女とは話すこともなかった。姉はスポーツ万能で友達も多く、勉強は少々苦手だったが、それ以外にできないことはないような人間だった。それに対して自分は、勉強以外には囲碁がまあまあできる程度で、それ以外に趣味もなかった。もちろん、勉強も特に優れているわけではない。そのせいで学校ではいじめられ、なんとか大学に進んでも、大学の社会に長期間適応できず、結局中退して帰ってきた。
河馬は二度とこの東南アジアの大都市に来ることはないと思っていた。自分の人生はあの小さな村で、たまに祖母と碁を打ち、床に座って流れゆく雲の空を眺めながら粗茶を飲み、林の鳥のさえずりを聞き、壁の蔦が伸びたかどうかを確かめ、祖母の技を継いで、ささやかな職人のようにあの辺鄙な村で死ぬのだと。
しかし……
天気は予測できないものだ。
三年前から、姉の連絡がぱったりと途絶えた。生きている人間が簡単に蒸発するはずもないが、姉は家族との関係が良くなかった。彼女の外向的な性格ゆえに、よく外に飛び出していた。O型のせいかもしれない。河馬はそんな性格を羨ましく思うが、自分には真似できないと悟っていた。一年半の間、誰も彼女を探そうとはしなかった。彼女が一人で去る時、あれほど断固たる言葉を残し、髪を茶色に染め、滝のような髪を振り乱しながら、狂ったようにスーツケースとギターケースを提げて去っていったのだから。
「こんな場所、死んでも二度と戻らない。東南アジアの大都市で自分だけの天を見つけるんだ……」
田舎道に彼女の姿が見えなくなり、二つの田んぼの間のあの道に消えていくまで、彼女が振り返ることはなかった。
振り返らず、振り返らずに歩み続ける。
そう思っていた。だが三年前、彼女は突然失踪した。
失踪した……。
もともと大したことではない。ああいう奔放な娘にとっては。もしかすると彼女が意図的にやったのかもしれない。彼女の友人以外に、彼女を恋しく思う者はいなかった。たとえ仲の良い友人が東南アジアの大都市に出て行っても、彼女の知らせを持ち帰る者はいなかった。もちろん、彼女たちが街中を探し回るはずもない。
このまま……
一生彼女に会えない。
死ぬまで……
当時の電話番号はすでに変わっていた。他に連絡手段も思い当たらず、彼女は知人とも一切のやり取りをしていなかった。
河馬も多少心配はしていたが、自分よりはるかに成熟した彼女の心を思うと、考えすぎなのではないかと思っていた。
しかし半年前、ある出来事が彼を変えた。祖母が突然、非常に隠れた心臓病を患っていることが判明し、ずっと病院に寝たきりになっていた。医者は残された命は多くて三年だと言った。最後の一年はいつ死が訪れてもおかしくない。そんな突然の災難に、河馬はどうしてよいかわからなかった。ただ毎日毎日、祖母のベッドのそばでその手を握り、少しでも長く見守りたいと願い、年老いたその顔を見つめては、これまでの日々を思い出していた。大学に合格した時も、中退して帰ってきた時も、成功した時には祖母は喜び、帰ってきた時には一度も文句を言わなかった。祖母はすべてを達観していると思っていたが、ある日突然、祖母がこう言ったのを聞いた。「三年か……あの可哀想な孫娘はまだ音信不通か。あの時、私が言い過ぎたのだろうか……どうにかして、生きているうちにもう一度会いたいものだ。」
ただの祖母の何気ない一言かもしれないが、河馬の心は大きく揺れた。それは嫉妬にも似ていた。なぜなら最後に祖母が思い出したのは自分ではなく姉だったからだ。だが河馬は、祖母の残された命がたった三年だということを思った。
彼は、自分が病院にいても何の役にも立たないことを悟っていた。ただのひきこもりで、寝返りを打つ手伝いさえろくにできない。兄弟は多く、自分がやるべきことはない。
ただ……
「自分にできることをやろう。」
河馬は眼前の東南アジアの大都市を見つめた。正直なところ、内心はとても怖かった。両親にこのことを話した時と同じだ。両親は、あんなひきこもりが再び社会に飛び込む勇気を持つなんて信じられなかった。あれほど打撃を受けたのに……
しかし、彼の恐ろしいほどの決意の目を見て、最終的には承諾した。その目には、怒りと嫉妬、そして絶望にも似た哀しみが宿っていた。
人生には、後悔のないことを一つくらいやらねばならない。
そしてそのことが、河馬を家の外へと駆り立てた。
河馬は髭を剃り、髪を切り、七年ぶりにネクタイを締め、埃をかぶった白いシャツに袖を通し、初春の日に、姉と同じように旅立った。
ただ、今回はもう誰も彼の背中を見ることはなかった……そんなものは必要ない、違うか?
誰も心配しないからこそ、前へ進めるのではないか?
河馬は微笑み、眼前に迫る街並みと徐々に高くなるビル群を見つめた。
手には姉の古い写真を握っていた。写真の中の彼女はまだ若々しく、黒い髪をなびかせ、細い手でそっと髪を撫でている。高校生の制服がぴったりと合っている。あの頃の子供時代に戻れたらどれほどいいだろう。あの時は、二人の間にそんなに隔たりはなく、姉はいつも田舎道で彼の手を引いて歩いていた。
壊れた世界が二人を変えてしまったのだ……
風が写真を揺らし、紙が震え始めた。
河馬は写真をポケットにしまい、顔を上げた。半袖の腕が朝の冷気にさらされるのも構わずに。
ただ朝日の微風を受け、シャツを揺らしながら、歩き出した……
……
朝の風はいつも暖かい。たとえ寒くても、人の心に光を照らす。もしあのことが心になければ、河馬は本当に喜んで、まだ七時にもなっていないのに通りに看板が掲げられ、店が開き始めている光景を眺めたことだろう。様々なスーパーやファミレス、その他「××カラオケ」「イオンスーパー」「マクドナルド」「高級中華料理店」といった建物……
これらはかつて見たものだ。
だが今、田舎と比べると、強い視覚的な衝撃を覚えた。
陽光が、朝だというのにすでに車や人が行き交う通りを照らしていた。
「泊まる場所、泊まる場所……」
だが今は何よりもまず宿を探すことが肝心だ。河馬は小さな紙片を手に取り、あたりを見回したが、やはり途方に暮れていた。
小さな紙片を指に挟んで震わせながらも、どうしても見つからない。
事前にネットで宿を決めてあったのだが、実際に来てみると場所がわからない。
東南アジアの大都市は何もかも素晴らしいが、道が複雑すぎる。
河馬のいた田舎とは違い、村には道が一本しかない。路地すらない。
タクシーを呼ぶことなど、考えたこともなかった。
手持ちはたったの2万円。宿代もままならないのに、タクシーなんて贅沢はできない。
人に聞く?
いやいや……それはひきこもりには難易度が高すぎる。
それに全く知らない人ばかりだ。自分が話しかけたら、笑われるだろうか。きっとそうだ……
見た目は変わっても、心はそう簡単には変わらない。もともと人が多い場所ではもう耐えられないほどだった。さっきまでそのことを考えないように必死だったが、今突然その問題に直面すると、人と話さなければ解決しない。本当に話すとなると、自分が何を言い出すかわからない。
自分がどんな人間か、大学でしたあのことを思えば、とても普通の人間のすることじゃない。
いや……何もおかしくない。
ただ彼らに理解されないだけだ。
そう思い悩んでいると、何かにぶつかられた気がした。
「あ……すみません。」
まだ相手が誰かを見極める前に、私の瞳が一瞬輝いた。そう短く言われた。
そして、肩までの微かな青色のショートヘアに、白い見知らぬ学校の制服を着た少女が、私の背後から、私が来た方向とは逆へと急ぎ足で去っていくのが見えた。振り返ると、特に印象は残らなかったが、目を閉じればおおよその身長は163センチほどで、白い半袖に紺のベストを羽織り、日本のブレザー型の制服に似ている。かすかに肌色と、うっすらとピンクの下着が透けて見え、白いミニスカート、灰黒のショルダーバッグを背負い、ストッキングは履かず、細くてあまりふくよかではない太もも、膝の骨がやや突出し、足首はきれいで、足元は制式の白いローファーだった。
それに……胸が大きい、Eカップか?
うん……確かにそうだ。河馬は自分の記憶力と観察力はあまり良くないと思っているが、この程度は覚えている。
まあいいや、とにかく宿を探し続けよう。
そう思った瞬間、手にしていた紙切れがないことに気づいた。
あたりを見回し、最後に、住所の書かれた紙が、あの少女のバッグのストラップに挟まっているのを発見した。
「あ!!!まずい!!!」
私は突然叫び声をあげた。あれがないと場所がわからない。
だから私はすぐに追いかけた……
「おい!お嬢ちゃん、待ってくれ!」走りながらそう叫んだ。
通り沿いの人々が一斉に私を見たが、私は全く気にしなかった。
ただ一人の年配の男性が「けほけほ」と咳をしながら言った。
「今の若者は本当に大胆だな。街中で追いかけっこか。」
この程度の挫折は我慢できた。
しかし、その少女は全く止まる様子がなく、人混みの中を急いで進んでいく。
「おい、待て、女子高生……」
それでも少女は止まらず、むしろ多くの通行人が立ち止まった。
呆れて河馬を見つめていた。
もしかすると、呼び方が正確じゃなかったのかもしれない。しかし通行人たちは親切で、追いかけている私に道を譲ってくれた。
そうだ……
この通りの少女は非常に多く、13歳から30歳までが「お嬢ちゃん」と呼ばれることもある。女子高生もたくさんいる、彼女だけじゃない。
だから「女子高生」と呼ぶのは正確じゃない。
しかも彼女の名前も知らない。
どうすればいい?
そうだ……思いついた。
私はこう叫んだ。
「前を歩いてる、身長163、白い半袖、紺のベスト、Eカップ、ピンクのブラジャー、白いミニスカート、灰黒のバッグ、太ももが細めでふくよかじゃなく、膝の骨が少し出てて、足首がきれいなあの女子高生、待ってくれ!」
河馬は機転を利かせて叫んだ。
そうだ、自分ほど賢いことはないと思った。
そして通り沿いの人々は一瞬呆けて河馬を見つめ、賑やかだった通りが一気に静まり返った。
そして……
「あ!!!変態だ!!!」
その声が空に響き、河馬は振り返った。
変態?誰だ?まさか誰かが痴漢を?まあいいや、どうせ俺じゃない。
そう思いながら、河馬は再び叫んだ。
「俺の宿の住所が、お前のバッグのストラップに挟まってるんだ!!」誤解されないように大声で言った。
しかし通り沿いの人々は一斉に「え???」と驚いた。
「あれがないと、どこに泊まればいいかわからないんだ……」
それを聞いた年配の男性は、しばらく呆けていたが、やがて言った。
「今の若者は……もう時代に追いつけないな。街中で走るだけでなく、公然とスペックを公開するとは。だが……私は好きだよ。」
この言葉に、通り沿いの人々は慌てて避けた。しかし、その少女は突然立ち止まった。
そこで河馬は気づいた。彼女の口には大きなフランスパンがくわえられていた。食パンではなく。
彼女はパンをかじり、目を空に向けて鋭く見上げた。
あまり賢そうではないが、どこか意地の悪い目つきで、髪はしっかりとまとめられているが、その目はあまりにも意地悪というか、鈍いというか。
そして彼女は独り言をつぶやいた。
「身長163、白い半袖、紺のベスト、Eカップ、ピンクのブラジャー、白いミニスカート、灰黒のバッグ、太ももが細めでふくよかじゃなく、膝の骨が少し出てて、足首がきれいな女子高生、これって私のこと?」
そう思って、自分の胸を見下ろした。Eカップ?本当にあるのか?
まあ、あるなしはともかく、とりあえず振り返ろう。
少女は突然また考えた。そういえば、さっき何か聞こえたような……
彼女はゆっくりと振り返った。まるで一世紀が終わったかのように。
「彼女が振り返った、彼女が振り返ったよ!見えた?あの娘が振り返った!」買い物中の女性が少女を指さして叫んだ。
「見ちゃだめよ」と明らかに母親らしい女性が子供の目を覆いながら大声で言った。
しかし少女はそれに構わず、河馬を指さして落ち着いた声で言った。ただし、声自体は特に美しいとは言えない。だが、女子高生の声はやはり若々しいものだ。
「もしかしてあなたがさっきの……」
少女が言い終わる前に、河馬が言った。
「そう、そう、そう……俺だ。」
「俺の宿の住所がまだあるんだ……」河馬は続けたが、正直もう息が切れ切れだった。ひきこもりは走るのが本当に苦手だからだ。
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