表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
17/176

第17話 カイルの運命の魔道具

異世界に来てしまったミナ。MBAのキャリアがパーに。

しかし、ミナはこの世界で自分にできることをやろうとしている。それは野菜の一括買い取り便を出すことだ。一方、ミナを救ったカイルは、ミナにプレゼントされた魔道具のために、魔物を狩ろうとしていた…。

 森の奥で、空気がひどく歪んでいた。霧のようなものが地面から立ち上り、木々の影が不自然に揺れている。


(……いたぞ)


 カイルは足を止めた。左手のトーチの画面を見ると、右斜め前方に巨大な魔物がいることがわかる。そして、その魔物は、少し離れたところにいる、これまた巨大な熊に似た獣を狙っているのだ。


 魔物はセイルフェン。この領地特有の風魔法を操る魔物だ。


 黒い毛に覆われた巨大な狼に似た姿だが、背中から生えた帆のような神経棘しんけいきょくが二枚あり、それが波打っている。その帆…セイルで風魔法を操るのだ。


 カイルは風魔法を操る魔物の魔石を必要としていた。


 だから、セイルフェンをずっと探していたのだ。やっとみつけた。


 しかし、セイルフェンは危険だ。普通は手を出さない。その風魔法…風刃は、狙ったものは必ず斬る。唯一の防御法は、身体に当たる前に他の物をぶつけることなのだ。


 そのセイルの芯が青白く光っていた。


 ――魔力を溜めている。

 まだカイルには気づいていない。目の前の獣を攻撃しようとしているのだ。


 しかし、次はカイルを襲うだろう。獣を倒した後か、それとも前か。


 カイルは少しずつ近づく。剣を抜かず、まず、観る。


 カイルの未来視のスキルだ。


 高速でカードを1枚1枚めくるように、脳裏に「絵」が現れる。どの動きをすれば、どんな結果が出るのか? 


 魔物に狙われていることに気づいた獣はどう出る?

 魔物が獣よりも先にカイルを襲う可能性は?

 どのタイミングで魔物を狙う?


 カイルが死なない絵はまだ出ない。それが出るまで待つ。


 トーチのおかげで、接敵するかなり前からそれができるようになった。

 その分、勝てるカードが出るまで待つ時間の余裕ができた。安全性が増したのだ。


(よし…)

 勝てるビジョンを確認して、打つべき動きを決める。


 魔物に狙われていることに気づいた獣がバッと逃げる。

 すると、魔物がガクンと頭を下げた。それは風刃を飛ばす動作だ。


 獣は木々に隠れたが、巨体を隠し切れず、背中の一部を斬られて倒れた。


 その瞬間、カイルは魔物に向かって飛び出した。


(また溜めに入るはず。連射はできない)

 もう一度、魔物は頭を上げて、魔力を溜める。セイルが青く光る。カイルはその隙に魔物に一挙に近づく。


 近づいてくる新たな敵の勢いに驚き、魔力をためる余裕のなくなった魔物は、不十分なまま風刃を放った。それはスピードも遅く、威力が低い。


 カイルは風刃に向かって、剣を振り下ろす。


 攻撃魔法は、それを放ったものが意図した対象に作用する。

 つまり、魔物が意図するのはカイルの身体だ。


 対象に到達する前はまだ魔法は可能性の状態だ。その状態で意図しないものが混ざれは、魔法は霧散する。


 つまり、魔物がカイルの身体を対象にした以上、剣には効かない。だから、魔法は剣で切れるのだ。


 焦った魔物は体勢を崩し、魔法障壁を張った。しかし、まだ魔力が溜まっておらず、薄い。


 カイルは魔法を切った剣を返して、斜め下からすくい上げるように障壁を斬った。そのまま剣を上から袈裟懸けに下ろして頭を落とした。


 魔物は声もなく崩れ落ちた。霧が消え、森の空気が元に戻る。


 カイルは剣を拭い、深く息を吐く。


 魔法を何度か使わせて、魔力を削ぐ。それから勝負する。それがカイルの戦法だ。

 森の中を自由に動ける俊敏性と、魔法を切りそこなうことのない剣の腕が必要だ。


 背中を斬られた獣は倒れたまま、動かない。カイルは止めを刺して殺した。


 そうして彼は、魔物のそばに装備を運んで、解体を始めるのだった。


 カイルがセイルフェンを狩ったのには理由があった。


 ミナが買ってくれたトーチには小鳥の卵大の魔石がついていたが、あれでは小さい。


 すぐに魔力を消費してしまう。半日くらい使えるようにするには、大きな魔石が必要だ。


 しかし、大きな魔石は高いので、武器屋では手が届かない高額になる。


 それで、トーチ用としては小さめの魔石がついている。


 しかし、カイルは自分で大きな魔石を狩れる。セイルフェンの魔石はこぶし大ほどの大きさだ。

 

 こうして、カイルはトーチの性能を上げることが可能となった。


 このトーチは、のちにカイルにとって、必須の魔道具となったのだった。


これは、ひとりの女性が、経済の知恵で国を侵略から守るという壮大なストーリー。長いお話ですが、よかったらお付き合いください。まだまだ序盤です。


よかったら、ブックマークと高評価、お願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=828069169&size=135
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ