第15話 初めての魔道武器
異世界に来てしまったミナ。MBAのキャリアはパーに。しかし、ミナはこの世界が自分の望むことをしようと、起業する。そして、農協のシステムをこの世界に作ろうとしている。
しかし、邪魔をする村人もいて、オオカミに襲われそうになる。そこでミナは武器を持つことにした。
ミナ … 主人公
カイル … 冒険者でミナを助けた
翌日、ミナはカイルを伴って、タンブリーの質屋…買い取り屋に来ていた。
この世界では買い取り屋は貴族たちの行きつけの店で、庶民は行かない。
そこに、ミナが所有していた3つのアクセサリーを出して、見積もりをお願いした。
「こ、これはすばらしいものですな」
店主はルーペをかざしながら、一つ一つのアクセサリーを見ていた。
大きめのグリーントルマリンをメレダイヤが取り囲むピアス。
ゴールドに0.5カラットのダイヤの指輪。
そして、カジュアルなパールの髪飾りだ。
「こちらのピアスが300ポル。めずらしい良い色です。留め金もゴールドですな。指輪はゴールドで石も良いものですが、サイズが合う、合わないがありますので200ポル、こちらの髪飾りは…」
(いやいや、ピアスは10万円、指輪は50万円だったんだけど…)
全然異なる評価にミナはあきれていた。髪飾りは期待できない。
ミナは500ポルに+αくらいに思った。
「800ポルでいかがでしょうか?」
「え…?」
ミナは驚いた。髪飾りはもともと4000円くらいのパチンと止める留め金付きで、本物の宝石は使われていない。
「こちらは見たことがない宝石です。おそらくは、真珠と呼ばれているものではないかと思いますが、この国では存在しません」
なるほど。本物であろうがフェイクであろうが、そもそも存在しないのだから、どちらでも良いのだ。
ミナは横を向いてカイルの顔を見たが、彼もアクセサリーの相場はまったくわからないという顔をしていた。
「わかりました。では、その価格でお願いします」
そう言って、ミナはその3つをお金に変えた。
次に、ミナとカイルは武器屋を訪れた。
カイルもかなり興味があるらしく、一つ一つ武器を見ていた。カイルは冒険者なので、店主は上客だと思ったらしく、丁寧に対応してくれる。
ミナが指輪型の魔道具を見ていると、「こちらは声を記録する魔道具で…」と店主は魔道具を説明する。
「俺たちが欲しいのは武器なんだ」とカイルが言った。
「おお、そうでしたか。では、お勧めなのはこちらですね」
ベレー帽をかぶったちょっと太り気味の店主が出してくれたのは、棒状の魔道具だった。
「こちらは、土魔法と火魔法を組み合わせたものでして、長距離の攻撃ができます」
それは、魔法の杖と呼ばれるものと似ているが、実際の大きさは杖ではなく、少し太めで15センチくらいの棒だ。
店の裏庭に行き、そこに置かれた的に向かって、店主が見本を見せる。
バシュッ!
それはまるで銃のようなものだった。
棒の先から小さなとがった石が目に見えないスピードで発射され、相手を倒す。
石は高熱を持ち、小さい魔物なら一発で死ぬし、ロックベアのような大きな魔物でもかなりの打撃を与える。
銃のように照準を合わせなくても、心の中で対象に当てるさまを思い描いて発射と唱えればよいのだそうだ。
「小さな魔石が6つ入っておりまして、6連発撃てますが、そのあとは1日経たないと魔石が復活しません。射程は約80メートルです」
カイルは別の魔道具を見ていた。それは戦うものではなく、周囲を感知する魔道具だ。いわばレーダーのようなものだ。
「こちらは風魔法を利用したもので、最大半径100メートルの気配を感じ取り、状況を示してくれます」
形状はアップルウォッチに似ていて、左の手首にはめて起動すると、直径15センチくらいの丸いディスプレイが少し上に浮き上がる。
そこに100メートル周囲の情報が浮かび上がるのだ。
ディスプレイとは別に魔石のはまった本体があり、これは腰につける。
価格を聞くと、銃のような棒「ピッター」は500ポル、レーダーのような「トーチ」は800ポルと言う。トーチは常時魔力を発するため、大きい魔石が必要で高いのだ。
ミナは、その価格がちょうどアクセサリーと同じであることに運命を感じてしまった。
しかも、髪飾りがあんな高値で売れるとは思わなかったので、トーチが買えるのは運命としか言いようがない。
「これ、両方ともください」
驚くカイルに、ミナは振り向いてニッコリした。店主はお金と引き換えに、にこにこして2つの品をミナに差し出した。
「カイル。助けてくれたお礼」
店を出ると、ミナは買ったばかりのトーチを両手でカイルに差し出す。
「え…?」
「カイルは二度も私を助けてくれた。ありがとう。私ができるのはこれくらい」
そう言ってほほ笑むと、カイルはうれしそうに受け取った。
「ありがとう。ミナに借りができたな」
「カイルはドレスも買ってくれたわ。でも、もう私、持っているものはないの。だから、これ以上のお礼、できないけど、また助けてくれる?」
カイルは笑った。
「天然をやめない限り、危ないことしそうだよな」
「うう~ん…。自分ではやめたいんだけど…。どうやめていいのかわからない…」
ちょっとほほを膨らませて、愚痴を言った。
(でも、今回はいい体験だったわ。レイがいて、カイルが助けてくれたから無事だったけど、この世界の危険性がやっとリアルに頭に入ってきた…)
このお話は、ひとりの女性が経済の知恵で、国を侵略から守るまでのストーリー。壮大なお話です。よかったら、お付き合いください。まだまだ村娘で、序章です。
評価、ブックマーク、お願いします!




