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第1話 なぜか異世界に転生?!

世界を動かす大きな仕事をしてみたい! と思う人に、ぜひ読んでいただきたいです!

小説読みながら、そんな脳にできたらいいな…。


頑張りますので、ぜひ、ブックマーク、お願いします!

淡い若草色のスーツに身を包み、黒江ミナは窓の広い明るいオフィスで必死になってパソコンのキーを打ち続けた。


AIの相棒アイと共同作業で、交互に文章やデータを企画書に織り込んでいるのだ。


「アイ、ここの表現だけど、もっと訴求力の高い言葉、ある?」

アイと対話しながら、企画書を進めている。


 ミナは東海岸にある世界最高峰のビジネススクールで、経営学修士号(MBA)を取得した。卒業後、西海岸の大手コンサルティング会社に勤務して3年目だ。28歳の今、自分のキャリアには自信があった。


 プレゼンの日は迫っているが、なかなか企画書が書きあがらない。


 2日連続のほぼ徹夜。夜の8時になってもまだ満足できる企画書がつくれない。視界が霞む。

 コーヒーカップを持とうとしたが、手が震えた。なんとか締め切りに間に合わせなければ…。


 とりあえず立ち上がって窓のそばで背伸びをし、新鮮な空気を吸った。

 少し休憩して、もう一度見直しをするつもりだった。


 しかし、ミナは急に目の前が真っ暗になった。倒れこんだ。

(あ…? 立ち眩み?)


 急に眠気に襲われたように意識が亡くなり、ミナは窓の外に落ちてしまった…。

 そのとき、光と闇の境界が反転し──視界が白く弾けた。


* * *


「…ここは?」


 目を開けると真っ青な空が見えた。膝くらいまでの高さの草むらにいるようだ。風がささやく音がして、鳥の声が聞こえる。自然公園? 植物園? こんなところ、あったっけ?


 体を起こすと、スーツに草やはっぱがくっついている。足元はグリーンのパンプスのまま。


(えっと…。ここはいったいどこ? アメリカのどこかじゃないの? こんな緑の場所って…。ヨセミテ? ザイオン?)


 少し歩いてみる。

 すると、動物の叫び声のような音がする。なんだろう? 人の叫びのような声も聞こえる。

 ミナは音のする方に近づいた。


 木の影から覗くと、巨大な怪物のような生き物に、男が一人、剣を振り回して戦っている。

(ええ~?!)


 声にならない声を上げて、ミナはザーッと血の気が引いた。

(映画の撮影…かな…?)


 男はあっという間に怪物を倒した。そして、その胸に剣を突き刺したかと思ったら、そこから何かを取り出す。

 それは石だ。

(ま、魔石…?)


 ミナは自分は夢を見ているのだと思った。これはゲームの世界ではないか。

 魔物を倒して、魔石を取るっていう…。


 男は木の陰に隠れていたミナに気づく。

「誰だ?!」


 ミナは身体が固まってしまった。恐ろしくて動けない。男は剣を持っている。どうやら本物の剣だ。どうすればいいかわからなかった。この林の中をパンプスで走れるわけがない。


 男がミナに近づく。ミナは木を盾に怯えている。


 その男はどう見ても、冒険者のコスプレだった。だが、怪物は本物のようで、魔石を取り出したその手は血まみれだ。


 ミナはゾッとした。今まで見たことがないほど猟奇的だった。

 思わず後ずさりしたが、靴がひっかかって、ドサッと尻もちをついて草むらの中に倒れてしまった。


「あんた、その格好……変わってるな。…何者なんだ?」


(…え?)


 ミナは自分の服装を見回したが、自分が変わった格好をしているとは思えなかった。

(変わっているのはどう見てもこの人のほう…)


 ミナは声を発していなかった。口の開き方を忘れてしまったように。


「俺はカイルだ。あんたの名前は?」

「ミナ…」

 それだけは声になった。


「ミナか。なんでここにいるか知らないけど、もうすぐ日が暮れるぞ。近くの村まで送る。一緒に行こう」


 そう言って、カイルは剣をしまうと、血をぬぐって、きれいなほうの右手を差し出した。


 それは黒髪の若者で、よく灼けた肌に黒い大きな瞳。手はがっしりとしていて、武道家のようだった。

 

 ミナはおそるおそる手を差し出した。

 カイルが手を引っ張り、草むらからミナを立たせる。


 すると、カイルが驚いたように目を見開く。


「そ、そのドレス…、短すぎて子供みたいなんだけど…」

 カイルは自分が恥ずかしそうな様子で顔を背け、自分が着ている茶色のマントを外して、ミナに着せた。


「え?」

 ミナのスカートはひざ丈で、決して短すぎるはずはない。マントで隠すような恥ずかしい恰好はしていないと思うのだけど…。

(もしかすると…この人、コスプレしているんじゃなくて…ここ、い、異世界?)


 心臓がバクバクした。さっきまでは夢だと思っていたが、そうではないらしいと感じたら、急に怖くなった。

(いやいや、異世界の夢かもしれないし…。もしかして私、頭でも打った? それとも死んだのかな? 


 死んでここに転生した? 彼の服装も、どう見たって現代じゃない。冒険者? コスプレじゃなくて? 

 異世界って本当にあったの~???)


「あの…、大丈夫か?」

 おそるおそるカイルが声をかける。


 まるで人間ではない者を見るように、ミナを見る。

「あんたは…人間…じゃないのか? ……なに?」


「に、人間…」

 少なくとも、ここで変な生物だと思われたら、絶対にここにおいていかれる。それだけは避けなければならない。


 夢だとしても、こんなところで野宿なんて、そんな恐ろしい夢は見たくない。

 

 カイルはおそるおそるミナの手を取った。実在なのかを確かめるように。

 手が握れるとわかると、手を引っ張って歩き出した。


 ミナは黙ってついていく。


 カイルにとって、ミナはなにもかも初めて見るものだった。つやつやした布の、足丸出しの服装も驚きだが、カイルの目には、ミナは村では見たことがないほど美しく映った。


 村娘には見たこともない、目の周りの化粧。緑の宝石のピアス、頭の後ろにつけている豪華な髪飾り、 さらには右の薬指にきらめく石のついた金の指輪。

 まるで貴族のようだが、貴族というには現実感がない。


(いったい何者なんだろう? 本当に……人間? もしかして、人間じゃない?)

 そこからして疑問だった。


 背の高い草むらに埋もれて倒れているのを手を掴んで起こしたとき、草原から浮きあがって生まれたようだった。まるで、不確実なイメージだったものが手を握ったときに現実化したようだ。


(妖精?…)

 そんな言葉がふと浮かんだ。


 普通の人間ではないのは確かだと思った。それが不安な気持ちにさせるが、なんとなく、ミナのことはていねいに扱わなければという気にさせられるのだ。


 これが、ミナとカイルの出会いだった。

 カイルはミナを自分の住むエルノー村の家に連れて帰り、ミナを家族に迎え入れたのだった。




今回は、異世界転生のお約束、転生したところから。

主人公がこのスタート地点から、成長していくところ、お楽しみに!

ミナとカイル、二人とも、ここから進化していきます!

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